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写真集 [豊川さん]

豊川さんの写真集が発売されるそうです。

発売は3月下旬の予定。

撮影は蜷川実花さん。

大阪で撮影したみたいです。

3月は映画『プラチナデータ』の公開もあるし

豊川さんの誕生日のある月でもあり

加えて写真集の発売だなんて、超HAPPYな月になりそう[黒ハート]

蜷川実花さんのblogに豊川さんとのツーショットが載ってます。

久々のBIGニュースにココロが踊っちゃいました[るんるん][わーい(嬉しい顔)]


なかなか睡眠が戻せず頭痛がしたり・・・でblogも書けず 訪問も滞ったままですが、あまりに嬉しかったので短い記事だけ書きました。 この土日も今晩は理事会、明日は防災訓練と予定があり ゆっくりPCには向かえそうもありませんが どうぞご容赦下さいませ。
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ビューティフルレイン 第12話(最終話) [豊川さん]

ビューティフルレイン 第12話(最終話)

朝、圭介と美雨が二人で洗濯物を干している。
突然美雨が「ねぇ、父ちゃん。父ちゃんの夢って何?」と尋ねる。
「父ちゃんの夢?それは・・・美雨が毎日明るく元気に
大きくなってくれること、かな?」
「それだけ?もっと、父ちゃんが父ちゃんの為に
してみたいこととか、ないの?」
「なんで、そんなこと聞くんだ?」
「美雨は、いつも父ちゃんに色々してもらっているから
たまには美雨が父ちゃんの為に何かしてあげたいの。
もし父ちゃんの夢があるなら、美雨が叶えてあげたい。」
「急に、そんなこと言われても…」と圭介が言うと
美雨は「う~ん、じゃ、考えておいて」「わかった。」
「今日中だよ」「今日中?」「うん」と言って笑う美雨。

中村家では、富美夫と千恵子がケンカしている。
「お祭りの実行委員長?」
「今年の実行委員長は肉屋のたかし君だったんだけど
急に盲腸で入院したらしくってさ、代役頼まれちまった。」
「まさか?引き受けたの?」
「困った時は、お互い様だろ?盲腸で入院してる奴に
実行委員長が務まるか?」
「今年はバザーの当番なのよ。」
「だから?」
「実行委員長は断って!」
「男が一度、引き受けたもんを断れるか!」
「バザーの当番と飲食屋台を仕切る実行委員長、両方やれると思う?」
大声を聞きつけたアカネが顔を出して「どうしたの?」と聞くと
千恵子が「どうもこうもないわよ」と言い
富美夫は「大丈夫だよ。アカネにも手伝ってもらうから」と言う。
千恵子は更に「ダメよ~!アカネにはバザーの方、手伝って
貰うんだから。」と言うが、訳の分からないアカネは
「ちょっと待ってよ。何の話?」
「今年のお祭り。」
「アカネには俺の右腕として、実行委員長の補佐、やってもらう」
「勝手に決めないでよ!」
「ちょっと!あたし、何も聞いてないよ~?」
「聞いてなくたって、手伝うの当たり前だろ!」
「そうよ!あんた、この町内の一員なんだから」
「えぇ~?!」
そこへ圭介がやって来て「おはようございます。どうしたんすか?」

工場で明生が「で、結局どうなったんすか?」と圭介に聞いている。
「社長が実行委員長、奥さんがバザーの担当をそれぞれやるみたいで…。」
「アカネちゃんは?」と宗さんが聞くと
「なんだかんだで結局、両方手伝うみたいですよ」
「うわ~!大変すね!」と明生が言うと、宗さんが
「大丈夫だよ。中村産業は毎年、焼きそば屋台、担当して来たんだから」
と言うが、明生が「焼きそばの屋台一つと、屋台全部、それにバザーまで
つけるのは大違いじゃないっすか!ねぇ、圭さん。」と珍しく
まともなことを言うが、考え込んでいる圭介を見て
「どうしたんすか?」と声をかける。
「明生、夢、あるか?」と思いがけないことを聞く。
「夢?」
それを聞いた宗さんは「俺の夢は万馬券取って、ハワイに行くこと」と言い
「ハワイ、いいっすよね。」と明生が言うので
「お!行ったことあるのか?」と宗さんが聞くと
「あるわけないじゃないっすか!TVで見ただけっすよ」
「なんだよ~!紛らわしい事言うな」
「すいやせん。で、夢がどうしたんすか?」
「ん?いや、ちょっと。」と微笑む圭介。

病院では古賀が英文でメールを打っている。
「返信が遅れて、申し訳ありません。
アルツハイマー病研究チームに合流の件ですが
来月から、お世話になります。
被験者が同行するかについては、もう少し考えさせて下さい」
と書いて送信する。
圭介のカルテを見ている古賀先生。

圭介は仏壇の妙子の写真に向かって考えている。
「そうだ!そうしよう!」
美雨が「父ちゃん、ご飯だよ」と呼びに来る。
「美雨。父ちゃん、決めた!父ちゃんの夢は美雨と旅行に行くことです。
どうしても美雨に見せたいものがあるんだ。
父ちゃんの夢、叶えてくれるか?」
「うん」と言って嬉しそうに笑う美雨。それを見て笑う圭介。

「えぇ?二人で旅行に?」と千恵子が聞く。
「はい。出来たら今度の3連休にでも。」と圭介が答えると
「二人きりで?」とアカネ。
「うん。」
「今度の月曜は、まつりだぞ」と富美夫。
「えぇ。だから申し訳ないんですけど、土曜に行って
日曜には帰ってこようかと。」
「じゃ、いつもの焼きそば屋台は、担当してもらえるんだな?」
「もちろんです。」
「圭さんの焼きそば、旨いんだよ~!」と富美夫。
「それはいいけど…大丈夫なの?」と心配して千恵子が聞くと
「細かく予定表も作って、旅先からマメに連絡を入れますんで。」と
圭介が言い、美雨も手を合わせて
「お願い。父ちゃんと二人で行かせて」と頼む。

圭介たちが部屋に戻り、富美夫たち三人が話している。
「気持ちはわかるけど、ホントに大丈夫かなぁ?」
「う~ん、旅先で、もし何かあったらねぇ…」
「だけど圭さんの気持ちも考えると・‥。今のうちに
美雨ちゃんと二人で楽しい思い出を作っておきたいって
ことなんじゃない?」とアカネが言い
「あぁ、なるほどなぁ」と頷く二人。

部屋に戻った美雨と圭介も話している。
「箱根?そこに見せたいものがあるの?」「そうだ。」
「ねぇ、見せたいものって何?」
「それは、行ってからのお楽しみ。」と美雨の鼻をつまむ圭介。
「う~ん、いいじゃん。教えてよぉ~!」
「ほら、もう寝ろ。おやすみ。」しぶしぶ美雨も
「おやすみなさい」と言って眠りにつく。
その後、仏壇の妙子の写真を見て、微笑んでいる圭介。

古賀が歩いている。
中村産業から、声が聞こえる。
「じゃ、こうしよう。俺と圭さんと二人で焼きそば。
明生は射的に綿菓子。」と宗さんが言う。
「ちょっと、待って下さいよ。なんで、そっちは二人で1つで
こっちは一人で2つやんなきゃいけないんすか!」と異議を唱える明生。
「だってしょうがねぇだろ。人手不足なんだから。」と宗さんが答える。
それを聞いたアカネが「じゃ、あたしが圭さんの焼きそば手伝うから
二人で射的と綿菓子、担当すれば?」と言えば、千恵子が
「何言ってのよ~!バザーも人手不足で困ってんのよ!」と言い
見かねた圭介が「じゃ、俺が焼きそばやりながら、時々バザー
手伝いましょうか?」と言うと、千恵子は
「いいの。圭さんは、慣れてる焼きそばだけで。」と言い
「だけど、このままじゃ、いつまで経っても、担当
決まらないじゃないっすか。」と圭介が言えば
宗さんが「待てって。俺が今、話まとめるんだから。明生、我が儘
言わないで、射的と綿菓子、両方やれ!」
「一人で二つは無理っすよ。」
「圭さん、一人にするわけには、いかねぇだろ!」
「じゃ、宗さん、やって下さいよ。俺が圭さん手伝いますから。」
見かねた社長が「よーし、わかった。俺が実行委員長やりながら
圭さんの焼きそばを手伝う。これでどうだ」と言う。
圭介は「あの、焼きそばくらい、一人で大丈夫ですから」と言うが
「圭さんは、黙ってろって。俺が今、話まとめてるんだから。」
「宗さんが黙った方が話、早くまとまるんすよ」
「なんだと!このやろう!」
紅白の垂れ幕を明生に投げつける宗さん。
「なんすか!ちょっと」投げ返す明生。
「キャ~!」
「先生!」と古賀に気付いたアカネが声をあげる。
古賀が頭を下げると、圭介も「どうしたんすか?」と声をかけた。

部屋で古賀と向かい合って座る圭介。
「アメリカに?」
「はい。新薬の開発チームに参加してみないかって
ずっと誘われていたんですが、ようやく決心がつきまして…。」
「新薬って?」
「アルツハイマー病の新薬です。アメリカで根治を目指している
チームがありまして、もちろん、簡単に行かないことは
わかっているんですが、参加してみようかと。」
「そうですか。」
「ですから、今月いっぱいで病院の方は…。木下さんの担当は
信頼出来る後輩に託しますので、ご安心下さい」
「それを伝えるために、わざわざ?」
「実は、気になっていたんです。木下さんと美雨ちゃんが
皆さんと、どんな風に暮らしてるのか?正直、親戚でもない人達と
同居すると聞いた時は少し驚きました。ですが、ここに来てわかりました。
中村産業の皆さんは、木下さんにとって、本当に家族同然だったんですね。
実は、私の兄が木下さんと同じ病気だったんです。さっきの皆さんを見て
自分たち家族も、あんな風に前向きに兄を支えてやれたら良かったのにって
今更ながら思いました。木下さんのように頑張っている人を一人でも多く
救う為にアメリカで頑張って来ます。新しい薬の開発に成功したら
真っ先に連絡しますから。」
「ありがとうございます」
頭を下げ合う二人。
「失礼します」アカネが入って来た。
「あの、母がこちらを。今、お茶を淹れますね。」
と皮をむいて食べやすく切った梨を出すアカネ。
「もう、お暇しますので、どうぞお構いなく。」
「父が、もし宜しければ、お食事でもご一緒にと。」と言うと
「ありがとうございます。皆さんにもよろしくお伝え下さい。」
と答える古賀。
笑顔で頷くアカネ。
「先生も頑張って下さい」と言う圭介。頷く古賀。

二人でベランダに居る、アカネと圭介。
「出来るといいね。新しい薬。」とアカネが言うと
「出来たらいいな。だけど俺は、今、出来る事を毎日、精一杯
やっていくしかないから。」
頷いたアカネは「悪くないね。こっち側からの景色も。」と
向こうを向いて言う。
圭介はアカネの方を見て「うち、禁煙だよ。」
「タバコ、止めたもん」圭介を見て言うアカネ。
「ホントかよ。」
「ホントだよ。」
笑い合う二人。
「ただいま~」美雨が帰って来た。
「お帰り。」「美雨ちゃん、お帰り。」
「あれ?アカネちゃん、どうしたの?」
「旅行の荷造り、手伝ってあげようかな~と思って。」
「ほんと?父ちゃん、早く荷物、準備しよう!」
「おう!手帳に予定表も書かなきゃな。」
「うん、早く!早く早く!」

翌日。
「じゃ、行ってきます。」
「行って来マンモス」と、おどける美雨。
「気を付けてな。」「ホントにマメに連絡入れてね。」
「はい。」
「でも心配だなぁ。俺も付いて行こうかな?」
「余計心配だよ」
出かける二人を見送る、中村産業の面々。
「楽しい思い出、沢山出来るといいね。」とアカネが言うと
「二人で旅行するなんて、これが最後かもしれねぇもんなぁ。」と
社長も話している。

バス停でバスを待つ、美雨と圭介。
「来ないね。電車の時間、間に合う?」
「うん、まだ充分間に合うよ。」「良かった」
中学生くらいの男の子と女の子が仲良く話しながら、通りかかる。
それを見ている圭介。

「15歳の美雨へ。
美雨、誕生日おめでとう!15歳と言えば、中学三年生。美雨にも
そろそろ好きな男の子が出来る頃ですね。美雨がどんな男の子を
好きになるのか、すごく気になるけど、実際に、その男の子を見たら
父ちゃんは嫉妬してしまうかもしれません。でも、誰かを好きになる
というのは、とても素敵なことです。恋をすると、ドキドキしたり
わくわくしたり、胸が締め付けられそうになったりします。だけど
美雨が好きになった相手が必ず美雨の事を好きになってくれるとは
限りません。時には失恋して傷付き、泣きたくなる日もあるでしょう。
だけど美雨には、傷つくことを恐れないで、いつも自分の気持ちに
正直に生きて行って欲しいです。どんな時も自分に正直に生きていれば
例え傷付いても、きっと美雨の将来に役に立つと思うからです。」

列車に乗り、車窓を楽しそうに眺めている美雨。
美雨を見つめている圭介の視線に気付き「な~に?」と尋ねる美雨。
「楽しいか?」「うん」笑顔で答える美雨。
微笑む圭介。

中村産業の皆は、お祭りの準備に大わらわ。
「やっぱり付いて行った方が良かったのかなぁ?」
「心配し過ぎだって。」
「ま、箱根なんて、いざとなったら走って行けるんすから」
「走って行ける?」
「ほら、大学生がよくお正月に走ってるでしょ?」
あきれるアカネ。
「時々、猪が出るんだぜ。箱根の山ん中は。」
「やだ!ホント?」
「猪注意って標識もあるんだぜ。」
「ええ~!?」
そこへ春子と小太郎、菜子がやって来る。
「こんにちは。バザーの商品、持ってきたよ」
「ご苦労さん。」「待ってたホイ」

箱根湯本駅に着いた美雨と圭介。
バスの時刻表を見ていると美雨が「ねぇ、父ちゃん、喉渇いちゃった。」
「何か買ってきてやろうか?何がいい?」「う~ん、オレンジジュース」
「よし、じゃここで待ってろ。」と言って、自動販売機に向かう圭介。
ところが自動販売機を前にしても、ジュースの買い方を思い出せない。
圭介の様子を見ていた美雨がそばに来て「どうしたの?」と聞く。
「これ、どうやって買うんだっけ?」
美雨は一瞬息を飲むが、すぐに笑顔になって「お金、貸して」と言い
「ココにお金を入れて、オレンジジュースのボタンを押す。ほらね。」
と圭介の顔を見て言いながら、オレンジジュースを買ってみせる美雨。
開けて飲み「美味しい!父ちゃんも飲む?」
「うん、ありがとう」と言って、圭介もジュースを飲んだ。

三人で食卓を囲む中村家。
「やっぱり寂しいね~」
「何言ってんだ。これまでは、こうやって三人で食べてたじゃないか。」
「だけど~」
そこで、電話が鳴る。
慌ててアカネが出ると
「はい。中村産業。圭さん?無事、着いた?」
「うん、さっき旅館に。これから風呂にでも入ろうかと思って。」
「あぁ、良かったぁ。美雨ちゃんは?」
「うん、元気だよ。」
無事を喜び合う三人。
「さて、こうなると、アカネに、ちょっと話があるんだ。昼間電話で
信用金庫の理事長と話してたら、お前の話になって、働いてみないかって。」
「あたしが?信用金庫で?」
「まぁ、とりあえずは臨時雇いっていう形になるそうなんだが、ゆくゆくは
正規雇用も考えてくれているらしい。」
「工場の経理を手伝ってもらうのは大助かりなんだけど、あんただって
いつまでも、こうしてるわけには行かないでしょ?」
「ちゃんと第二の人生を踏み出す為にも、いい機会だと思うけどな。
どうだ??」
「ありがと。いろいろ心配してくれて。ちょっと考えてみるね。」
「まぁ、どうしてもって話じゃないからな。」
「うん、気軽に考えればいいからね」と話す二人。
夜、一人ベランダに出て、タバコを出そうとして、誰もいない
灯りの消えた、木下家のベランダを見るアカネ。
タバコをしまう。何かを決めた表情のアカネ。

旅館の布団の上で、あや取りをしている美雨。
「出来た!ゴム!次は箒を教えて。」と言う美雨。
圭介は「それは又、明日。もうそろそろ寝なきゃな。」と言い
紐をまとめる。
「ねぇ、父ちゃん、明日見せてくれるものって何?」
「いいもの。」「な~に?」「まだ教えな~い。」「なんで~?」
「その代わり、父ちゃんのもう一つの夢、教えてやろうか。」
「もう一つの夢?」「美雨の花嫁姿を見る事。」「花嫁姿って?」
「美雨の結婚式だよ。」
「結婚式って、どうやるの?」
「よし、教えてやる。立て。」
二人で部屋の隅に行き、圭介が説明する。
「いいか、花嫁さんの美雨は、父ちゃんと腕組んで
ヴァージンロードっていう赤い絨毯の上を歩いて入場するんだ。
わかったな。」「うん」「よし。」
「美雨、結婚おめでとう。」「ありがとう」
「そういう時は『長い間、お世話になりました』って言うんだ。」
美雨は頷くと正座して「父ちゃん、長い間、お世話になりました」と言い
頭を下げる。
圭介は美雨を見つめ「幸せになれよ。」と思いを込めて言い
「うん。」としっかり頷く美雨。
「皆様、お待たせいたしました。新婦の入場でございます。」
美雨は少し離れて「よ!待ってました!」と声を上げて拍手すると
すぐに圭介の隣に戻って、結婚行進曲を口ずさむ圭介と
腕を組んで、ゆっくりと歩き出す美雨。
しかし、圭介は少し歩いただけで止まってしまう。
「やっぱりだめだ。結婚式は中止しよう。」
「どうして?」「父ちゃん、やっぱり美雨をお嫁に行かせたくない。」
「え?」「父ちゃんは美雨を一生離さないぞ。」
「やだ。結婚式の続きやる。」「ダメだ!」「やだ!」
「どうしても結婚したいって言うんだったら…」と言って始まったのは
お決まりのくすぐりっこ。
「どうだ!まいったか。お嫁に行かないって言え~!」
「や~だ~」と笑いながら言う美雨。
布団に入って眠る美雨。

「18歳の美雨へ。
誕生日おめでとう。進路は、もう決めましたか?18歳の美雨が
どんな勉強をしているのか、それとも、もう社会に出て働いているのか
残念だけど今の父ちゃんにはわかりません。だけど美雨がやってみたいと
思ったことは全部やってみたらいいと思います。相談にも乗ってやれなくて
申し訳ないと思うけど、美雨ならきっと自分で自分の道を決め、夢を持って
生きて行ってくれると信じてます。」

翌日、中村家では、富美夫が射的の銃を手入れしている。
ガチャッと音がして、ビックリする千恵子とアカネ。
その時、電話が鳴って千恵子が出る。
「あ、圭さん、おはよう♪」
「おはようございます。今から旅館出ますんで。」
「あ、じゃ、芦ノ湖回って、電車に乗って帰って来るのね。」
「芦ノ湖出る時、又、電話します。」
「じゃ、電話待ってます。気を付けてね。」
電話を切り「よし、じゃ行こう」と美雨に声をかける圭介。
「芦ノ湖行くの?そこに美雨に見せたいものがあるの?」
「しょうゆうこと。」

橋を通る時に走り出す美雨に「美雨、走るな。危ないぞ。」
と言ったのだが、やっぱり楽しくて走りだし転んでしまう美雨。
慌てて美雨に走り寄った時、圭介の首にかけていた手帳のひもが切れ
予定を書いてある手帳が川に落ちてしまう。
川に降りて、取ろうとするが流れて行ってしまったらしく見付からない。
「ごめんなさい。大事な手帳だったのに。」と謝る美雨に
「気にすんな。大丈夫だよ。」と言う圭介だったが
何か様子が変だ。「父ちゃん?」美雨が声をかけると
「美雨、父ちゃん、どこへ行くって言ってた?」と言う圭介。
美雨はハッとするが、笑顔で
「芦ノ湖だよ。芦ノ湖に行くんだよ。」と答える。
「芦ノ湖行って、何するって言ってた?」
「美雨に見せたいものがあるんだよ。」
「見せたいもの?」
「忘れちゃった?」
「忘れちゃった。」
「芦ノ湖まで行けば、きっと思い出すよ」と圭介の手を取り
歩き出す美雨。
バス停に着くが、次のバスまで1時間以上ある。
「どうする?」
「歩いて行こう。美雨、大丈夫か?」
「ダイジョウブイ」
手をつないで歩き出す二人。

中村産業では千恵子が「そろそろ芦ノ湖に着いた頃かなぁ?」
「猪に出遭ってなきゃな。」
「やめてよ。もう。」
そこにアカネが来て「昨日の話、よく考えてみたんだけど」
「おぉ、信用金庫の話か?」
アカネは頷き「お断りさせてもらってもいい?」
「どうして?」
「ちゃんと勉強してみようと思って。介護福祉士を目指してみようと
思うの。」「介護福祉士?」「そっかぁ」
決意を固めた顔のアカネ。

二人で歩いている圭介と美雨。
美雨を気遣う圭介に「ダイジョウブイ」と答える美雨。
圭介が美雨を背負って歩き出すと、雨が降り出した。
「あ!雨だ。きれいな雨だねぇ。父ちゃん?」
その時、美雨が生まれた時の妙子との会話を思い出す圭介。
「思い出した!父ちゃんの夢。美雨と一緒に、美雨が生まれた場所に
行くんだ。」「美雨が生まれた場所?病院じゃないの?」
「うん、行こう。」
しばらく歩いていると雨も上がり、陽が差して来た。
芦ノ湖を差す標識に従って歩くと湖が見えてきた。
「湖!あれ芦ノ湖?」「うん。」「早く行こう!」と下してもらって
走り出す美雨。
湖の畔に座って話す圭介と美雨。
「父ちゃんがママちゃんにプロポーズした場所なんだ。」
「プロポーズ?」
「父ちゃんとママちゃんが、ずっと一緒にいようって約束した場所を
どうしても美雨に見せたかったんだ。」
「それがここ?」
「父ちゃんはママちゃんが大好きだったから、ずっと一緒に
居たいと思った。ママちゃんも父ちゃんの事を好きになってくれて…
だから、美雨が生まれた。」
「二人とも大好きだったから?」
「うん、美雨が生まれた日、父ちゃんとママちゃんは
嬉しすぎて泣いちゃったんだ。」
「大人なのに?」
「うん、その時、父ちゃんは、この子に出逢う為に今まで生きて
来たんだって思える位、幸せだった。命に代えても、この子を守りたい
守って行こうって決心した。その気持ちは今でも変わっちゃいない。
美雨が初めて立った日、初めて歩いた日、父ちゃん本当に幸せだった。
美雨は父ちゃんとママちゃんの愛の結晶だ。誰よりも愛されて生まれて
今まで育ってきた事を忘れないで欲しいんだ。」笑顔で頷く美雨。
「これから先、悩んだり苦しんだり、時には泣きたくなる位、悲しい
気持ちになることもあるかもしれない。そんな時は、ここに来て
思い出して欲しいんだ。美雨は一人じゃないってことを。世界で一番
愛されて生まれて来たってことを。それさえ思い出せば、美雨は
きっと又、頑張れる。前を向いて歩いて行ける。例え、父ちゃんが
何もかも全部忘れちゃったとしても。」と話すと美雨は
「大丈夫。美雨が全部、覚えておいてあげる。父ちゃんが美雨の事を
忘れちゃっても、美雨は父ちゃんの事を忘れないから。そしたら
父ちゃんは、いつまでも美雨の父ちゃんでいられるでしょ?だから
ダイジョウブイ!」と笑顔で答える美雨。
圭介は、そんな美雨を抱きしめる。
大好きな父ちゃんに抱きしめられ、嬉しそうな笑顔の美雨。

箱根湯本駅に向かいながら、中村家に電話をしている圭介。
「今から電車で、こっちに向かうのね」
「夕方には、そっち着くと思う。帰ったら、すぐ祭りの準備手伝うから。」
「美雨も手伝う!」
「じゃ、待ってるから。気を付けてね」
OKと指で知らせるアカネに
「良かったね。」「良かったな、無事で。」と喜び合う
中村産業の皆。

帰りの電車の中で眠っている美雨に、上着をかけてあげる圭介。

お祭り当日。
大きな法被を着て「いらっしゃいませ。安いですよ~!」と
バザーのかわいい売り子さんをしている美雨。
春子や菜子もお手伝いしている。
春子に、お小遣いをねだり「美雨、あっち行ってみようぜ」と誘う
小太郎。「ダメだよ。今、お手伝いしてるんだから。」と言う美雨に
千恵子が「いいよぉ。美雨ちゃん、行っといで!」と言ってくれる。
富美夫が、働いている商店街のみんなの様子を見て回っている。
宗さんの射的で美雨はパンダちゃんを当てて、大はしゃぎ。
明生の屋台で、綿菓子を買う美雨と小太郎。
警官の健太も見回りに来て、「立花さん、ご苦労様です」と声を揃えて
言う二人に「ご苦労様です」と返してくれる健太。
圭介が焼きそばを焼いて売っていると、アカネが手伝いに来る。
美雨が「父ちゃ~ん、これ当たったんだよ!」とパンダを見せる。
「おぉ、かわいいじゃないか!」
「うぅ~ん、美味しい!」
「旨い!やっぱ圭さんの焼きそばは、サイコーっすね!」
と皆で圭介の焼きそばを食べている。
「やっぱりお祭りは、いいよねぇ。」
「今年は実行委員長がいいからな」
「あ!じゃ、来年は俺が実行委員長やろうかな?」
「無理無理。」
「あ、明生君、彼女は?どうしたの?」
「あ~、何か予定があるとか、ないとか?」
「ホントに居るのか?」
「居ますよ!」
「怪しいなぁ?」
「何言ってるんすか?勘弁して下さいよ!」
「全部妄想だったりしてな」
笑う皆。
中村産業の皆と美雨が並んでVサインのポーズを取り
写真を撮っている。

ベッドで眠る美雨の手をタオルケットの中に入れる圭介。

「20歳の美雨へ。
美雨、誕生日おめでとう!大人になって初めての誕生日。
父ちゃんからのプレゼントは受け取ってくれましたか?
もし、ちゃんと受け取ってくれたなら、それは恐らく、父ちゃんから
美雨への最後のプレゼントになると思います。
美雨、初めて自転車の乗り方を練習した時のこと、覚えてますか?
小学校二年生だった美雨は、転んでも転んでも頑張って立ち上がり
練習を続けましたね。あの時、父ちゃんが言った言葉、覚えてますか?
何か困ったことがあった時、どうしていいかわからなくなった時
下を向いてばかりじゃ、何も解決しません。自転車と同じように
前を向いて、ゆっくり少しづつでいいから前へ、前へ…です。
立派な人にならなくていい。お金持ちにならなくてもいい。今日も一日
精一杯頑張ったなと思えるような、明日が来るのが楽しみだと
思えるような、そんな毎日を生きて下さい。もしも、この世の中に
神様がいるとしたら、父ちゃんは1つだけ、美雨を幸せにしてやって
下さいとお願いします。」

二人で囲む朝の食卓。
家の中には、美雨が書いた、大きな張り紙があちこちに貼ってある。
黒板に今日の予定を書き込む明生に字が間違ってると言う宗さん。
勉強しているアカネ。
美雨は帰ってからも一生懸命勉強している。
夜、皆で食卓を囲みながら「やっぱり千恵子おばちゃんのご飯は
美味しいね」と言っている美雨。
笑顔の皆。

~終わり~

********************************

もしかすると、大きくなった愛菜ちゃんが研修医になって

父ちゃんが新薬で病気が治って。。。。なんて最終回になる?なんて

予想は見事に外れましたが、

圭介の病気は、確実に進行しているけれど

中村産業の皆が付いていれば、何とかやっていける。大丈夫。

そう思えるような、希望が見える最終回でした。

アカネちゃんと圭介のベランダでのシーンは、ドキッとしましたね。

アカネの存在は、今まで以上に圭介と美雨にとって

大きなものになって行くんだろうなと予感させるシーンでした。

そして、美雨の花嫁姿が見たいと結婚式をするシーンで

途中で止めると言いだした父ちゃん。

色々な思いがこみあげて来たんでしょうね。

翌日、ママちゃんとの思い出を語った圭介に

「大丈夫。美雨が全部、覚えておいてあげる。父ちゃんが美雨の事を

忘れちゃっても、美雨は父ちゃんの事を忘れないから。そしたら

父ちゃんは、いつまでも美雨の父ちゃんでいられるでしょ?だから

ダイジョウブイ!」と美雨が言ったところは、たまらなかったですね。

美雨ちゃんは、この夏だけで、どれだけ成長したのでしょうか?

そうならざるを得なかった部分もあると思うけれど

美雨ちゃんには、一緒に父ちゃんを支えてくれる皆がいるから

大丈夫ですよね。

きっときっと幸せになれると思いたいです。

そして新しいお薬・・・・早く出来るといいですね。

病という現実は、本当につらく苦しいものだけれど、このドラマでは

それと、どう戦うか?周りは、どう接して行けばいいのかという答えの1つを

教えてくれたような気がしています。

嫌な人が居なかった、このドラマ。

多くの人に日常の大切さ、家族を大切にしようという気持ちを

あらためて思い出させてくれたと思います。

豊川さん、愛菜ちゃん、他のキャストの皆さんも

本当にお疲れ様でした。



今回の写真は、先日、発売されたばかりの

ビューティフルレインのノベライズ本です。
beautifulrain12.jpg














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ビューティフルレイン第11話 [豊川さん]

ビューティフルレイン第11話

朝、洗濯機を回し、朝ご飯の目玉焼きを焼いている圭介。
美雨は自分の支度を済ませると洗濯が終わった事を知らせる。
朝ご飯の前に洗濯物を二人で干していると
沼津のおじいちゃんたちから荷物が届く。

さっそく開封すると手紙が入っており
「美雨ちゃんへ

おじいちゃんとおばあちゃんは
これからもずっと美雨ちゃんたちのみかただし
おうえんしているから、いつでもたよりにしてね。
またあえるのをたのしみにしてます。

おじいちゃん
おばあちゃんより」
という内容だった。
それを読んで美雨は「又二人で沼津に遊びに行こう」と言い
圭介も、にっこり笑って頷くのだった。

朝ご飯を食べながら圭介が美雨に
「夏休みの宿題、全部ちゃんと終わったのか?」と聞くと
「もうランドセルに入れてあります」「おぉ偉い!」
「上履きは?」「そこに洗ってあります。」
「サンキュー♪あと、明日体育あるから、体操着よろしくね。」
「明日、体操着。了解」と言うとメモ帳に記入する圭介。
ニッコリしながら見ている美雨。
その時、ドアをノックする音がして、千恵子が顔を見せる。
「おはよう!圭さん、美雨ちゃんも、朝ご飯終わったら
ちょっと家に来てくれない?新しいライフスタイルの提案をしたいの。」
と微笑みながら言う千恵子。
目を丸くして圭介を見る美雨。

二人で中村家に行くと、みんなが揃っていた。
「おはようございます」と挨拶して座り
「あの~、新しいライフスタイルって?」と圭介が尋ねると
社長が「いやいや。そんな大げさなものじゃないんだ。」
千恵子も「これから、圭さんや美雨ちゃんがどうやって暮らしたら
一番心配なくやっていけるのか、皆で相談したのよ。」と言い
「その為に、わざわざ早出を?」
「いやいや」「もう兄貴の為じゃないっすか」と
宗さんも明生も笑顔で言う。
アカネも「お母さん、発表して」
「うん。朝昼晩のご飯は、うちで食べてもらう。で、圭さん家の
掃除や洗濯や、ちょっとした買い物は、あたしとアカネが
手分けをして交代で、やる。」
圭介が「いきなりそこまでして貰わなくても・・」と言うと
宗さんは「いいじゃねぇかぁ。元々、仕事しながら、家事に育児に
大変だったんだから」と言い、社長も「職場も、もちろん、皆で少しづつ
手分けして、圭さんの負担を軽くしていこうと
こういうことなんだよ」と言い、千恵子が「美雨ちゃん、ど~お?
おばちゃん家で、ご飯食べるの嫌?」を聞けば
「嫌じゃないけど、美雨にもなんか手伝えることない?」と言う。
明生が「子どもの仕事は遊ぶこと」と言い、宗さんが
「遊んでばっかだと、こんな大人になっちまうけどな」と
明生を指して、皆が笑うのだった。
そこで千恵子が「じゃ、美雨ちゃんには全員分のお茶碗と、お箸を
揃えてもらう仕事、担当してもらおうかなぁ?」と提案すると
美雨が手を挙げて元気に「はい」と言って、又、皆が笑った。
圭介が「気持ちは嬉しいんですけど、まだ充分、今まで通り
やっていけるので・・」と言うと、アカネが「それは
わかっているけど、お互いの気の緩みが思わぬ事故を
起こす可能性だってあるでしょ?」と言い、圭介は美雨の顔を見て
「どうする?」と聞くと美雨は「皆で、ご飯食べたい」と言うので
社長が「じゃ、とりあえず晩飯は、ここで食うことにして、後は
様子を見て、臨機応変にやっていくってことで・・どう?」と言い
圭介も「はい。ありがとうございます。よろしくお願いします」と
答えたのだった。

朝、美雨が学校に向かって歩いていると、後ろから来た小太郎が
美雨のランドセルを叩いたので、思わず「うわ~」と大声を上げる美雨。
「もう~!小太郎~!」
「まいったぜぇ。昨日一日、夏休みの宿題、全っ部やらされてさ、バッテバテ。」
「毎日、コツコツやらないからよ」
「おまけに母ちゃんには、ちゃんと勉強して、大学行って、将来は
医者か弁護士か総理大臣になりなさいって・・。」と
うんざりした顔で言う小太郎。
「将来?小太郎、大学に行くの?」
「行くわけないだろう?俺、勉強大っ嫌いだもん。まぁ大学には行きたくても
行けないし…」と言うので「どうして大学に行けないの?」と聞くと
「知らないのか?大学って言うのは、ものすご~く頭がいいか
ものすご~く金持ちじゃなきゃ行けないんだぞ。現実は厳しいんだよ」
と言う小太郎に「そうなの?ふ~ん」と答える美雨。

職場では明生が「圭さん、これ俺からのプレゼントです。ジャーン」
と掲げたものを見て、宗さんは「なんだよ。黒板じゃねぇか」
「これに今日の業務内容とか書き込んでおけば、圭さん
いちいちメモを見なくても済むと思って・・・」と明生。
「なるほどね。偉い!じゃ、さっそく今日の業務内容、書いてみろ!」と
宗さんが言うと、明生は「はい」と答え、チョークを持って
思いついた!と言う顔で「しごと」と書いた。
宗さんは呆れ顔で「たったこれだけ?しかも平仮名かよ」と言うが
圭介が「ありがとう」と言うと、嬉しそうな顔を見せ
「どういたしまして。」と答える明生。

中村家。美雨が「ただいま~」と帰って来た。
「お帰り~。始業式、どうだった?」と千恵子が聞くと「皆に会えて
楽しかった。家族でハワイに行った、お友達もいるんだよ。」
「うわぁ~!お金持ちはいいよねぇ」と千恵子が言うと
「うちって、お金持ち?すご~いお金持ち?じゃないよねぇ?」
と聞く美雨に「え~?うふふ。だけど、美雨ちゃんが生活していくのに
困るようなことは、ないから大丈夫よ。」と答えた千恵子。
美雨が頷いていると「何か、買ってもらいたいものでもあるの?」
と千恵子が聞くが「うううん」と言って、アカネが二階に居ることを聞くと
美雨は二階のアカネを尋ねる。
「早く頭が良くなる方法?」
「美雨、どうしても早く頭が良くなりたいの。どうすればいい?」
「そうねぇ。でも、すぐに頭が良くなる方法は無いかなぁ?毎日、コツコツ
お勉強して、あとは本を沢山読めばいいんじゃない?」
「なるほどぉ~」と頷く美雨を見て、アカネは
「ねぇ、どうして早く頭が良くなりたいの?」と聞くが
「ちょっとね」と言って、美雨は微笑むだけだった。

中村産業の皆が、中村家に戻って来たが美雨が見当たらないので
圭介が聞くと千恵子が「うん、さっき、帰って来て
部屋で勉強して来るって。」と答えた。
「勉強?」なんでだ?という顔で圭介は、部屋に戻り
美雨に声をかける。
「美雨、始業式の日に、もう宿題、出たのか?」と聞くと
「宿題じゃない。」
「じゃ、なんで勉強してるんだ?」
「宿題じゃないのに、勉強しちゃダメなの?」と言うので
「ダメじゃないけど・・」
「ねぇ、父ちゃん、大学に行くには高校を卒業しなきゃいけないんでしょ?」
「そうだよ。」
「高校に行くには、中学を卒業しなきゃいけないんでしょ?」
「中学に行くには、まず小学校をちゃんと卒業しなきゃな」
「まだまだ先は長いなぁ。」と言う美雨を見て、圭介が
「美雨は大学に行きたいのか?」と聞く。
美雨は頷き「うん。行ってもいい?」
「もちろん。じゃ、一生懸命、勉強頑張らないとな」
「うん。」

皆も「でも偉いっすね。自分から進んで勉強なんて。」
アカネが「あたし、さっき美雨ちゃんに聞かれたの。早く頭が
良くなるには、どうしたらいい?って。」と言うと、千恵子も
「あたしは、うちはお金持ち?すご~くお金持ち?じゃないよね?って
聞かれたの。」と言い、皆で笑うが
宗さんが「なんでそんなこと聞いたんだ?」と言うと
社長が「子どもなりに色々気を遣って、いい子にしてなきゃって
思ってるんだろうな」と言い、千恵子も「美雨ちゃんが
不安にならないように、あたしたちも気をつけなくちゃね」と言うのだった。


午後。
宗さんが「えぇ?二年生で、もう大学進学まで考えてるの?」と
ビックリした顔で言うと「どういう風の吹き回しだか」と圭介が答え
明生は「大学なんて行かなくたって、俺みたいにハッピーに暮らせるのに」
と言うが、それを聞いた宗さんが「いや、お前みたいにならない様、大学に
行こうとしてるんじゃねぇか?」と言うので
「ちょっとそれ、どう意味っすか」と明生が言いかけるのを遮って
宗さんは「だけど、夢を持つって事はいいことだよな」と言い
「そうですね」と答える圭介。

一生懸命勉強している美雨。

夜。中村家でのご飯。
「美味しそう!頂きます」と美雨が言い、皆で夜ご飯。
「やっぱり皆で食べると美味しいね」とアカネが言えば
千恵子も「家族が増えたみたい」と喜び
社長も「美雨ちゃん、旨いか?」と聞いて、美雨が笑顔で
「うん」と頷くのを見て、笑うのだった。

「圭さん、豊島商事の件、どうしようか?」
「なにそれ?」と千恵子が聞くと
「この間、電話で言われちゃったんだよ。今後は今までの7割の
値段じゃなきゃ、買い取れないって。」と社長が答えた。
「え?今までの7割の値段だったら、原価割れになっちゃうんじゃないの?」
とアカネが言えば、社長は「そりゃ、造れば造る程赤字だよ。なぁ、圭さん」
圭介は「だけど豊島商事は大事な お得意さんだし、断って、これっきりに
なるっていうのも・・」と言うが、千恵子は
「だからって赤字になるって言うのに、わざわざ・・」と言う。
圭介は「考えたんですけど、今回だけは7割でも受けるけど、次回からは
せめて8割じゃなきゃ受けられませんって交渉してみませんか?」
「8割なら、何とか利益も出るか。」
「豊島商事は古い付き合いだし、こっちの事情も ちゃんと説明すれば
わかってくれるんじゃないかと。明日、納品の時、俺も一緒に行きますよ」
と提案し、社長も「圭さんがそう言ってくれるなら、今度だけは
引き受けてみようか?」と答えたのだった。
「じゃ、今夜中に8割の見積もり、書いておきますね」
「頼むよ」
アカネは「二人とも、しっかり交渉して来てね」
千恵子も「中村産業の明日の為に、ブイ!」と言い
美雨も「頑張れ~!」と手を挙げて励まし
皆で「おぅ~!」と気合を入れるのだった。

夜、圭介はPCに向かい、見積もりを作っていた。
終わってベランダに出ると、アカネも母屋のベランダに出ていた。
「明日、上手く話がまとまるといいね」
「頑張って来るよ。少しは恩返ししなきゃ。社長や奥さん、宗さん、明生
もちろんアカネちゃんにも。」と圭介が言うと、アカネは
「あたしは、別に・・・」
「結構ジタバタして遠回りしちゃったけど、今は、ここでだったら
何とか頑張って行けるって気がしてる」
「私も。昔、ここに住んでた時は、ベタベタした人間関係が
面倒くさいなって思ってたんだけど、どうしてだろ?この頃すごく
居心地がいいの」
「だけど、いつまでも、ここにいるわけじゃないんだろ?」
「どうして?」
「いや。再就職とか再婚とか。アカネちゃん、まだ若いんだから」
「大丈夫。ちょっと考えてることもあるし・・。」
「考えるって何?」
「まだ内緒。おやすみ。」と言うと、アカネは部屋に戻って行った。
見送る圭介。

翌日。豊島商事に向かった、富美夫と圭介。
「よし、行くか」
「誠心誠意お願いすれば、きっとわかってくれると思います」
その時、封書を車に残したまま、行ってしまう圭介。

小学校では、美雨が「ナイチンゲールの伝記」を書いた
漫画を図書室で熱心に読んでいる。

「私達だって、何も中村産業さんをいじめようと思ってるわけではありません。
値下げ競争は、時代の流れですから」と専務(長谷川朝晴)が言う。
「そこを何とかもう一度、考え直して頂けないでしょうか?」
と富美夫が言い
「せめて次回からは今までの8割の価格で買い取って頂けたら…」
と圭介も続ける。
「じゃ8割なら、今後も引き続き、やってもらえるのかな?」と社長。
「はい。何とかやりくりして、頑張ります」
「7割なら出来なくて、8割なら出来るという、その根拠は
何なんですか?」と専務。
「見積書をお持ちしました。詳しい経費の内訳も書いてありますから」と言い
カバンから出そうとするが、無い。
「さっき、車で確認してたよな?」と富美夫が言うと
「確認してました。すいません。ちょっと取って来ます。」と圭介は答え
「いいから、俺が行って来る」と富美夫が車に書類を取りに行った。
「どうもすみません」と圭介が謝ると
専務に「今、見積もりを見せて貰えばわかることですけど、ベアリングの
原材料の仕入れ値はキロいくらになりますか?」と尋ねられ
「ベアリングの原材料のスチールはキロ180円で計算しました」
その時、専務の携帯電話が鳴り、席を外した。
社長が「木下さん、確か、娘さんがいたよね?今、いくつだっけ?」
「8歳になります。小学校の2年生になります。」
「かわいいでしょう?」
「はい」
そこへ専務が戻って来た。
「失礼しました。で、180円でしたっけ?いや、キロ180円って
言ったじゃないですか?どこから仕入れているんですか?だから、木下さんが
仕入れを担当されているんですよね。どこからいくらで仕入れているか
把握していないんですか?」
「あの?」思い出せず、答えられない圭介。
「お待たせしました」そこへ富美夫が戻ってきた。
「今、木下さんにベアリングの原材料の仕入れ値をお伺いしたんですけど
教えて頂けなくて・・」と専務が言う。
「圭さん?」
「すみません」
「まぁ、いいじゃないか。中村産業さんとは古い付き合いだ。前向きに
検討させてもらいますよ」と見積もりを受け取った社長が話したが
専務は圭介を不満気に、じっと見ていた。

中村産業に、富美夫と圭介が戻って来た。
「どうだった?」「うちの希望通り、前の8割で買い取ってくれるって?」
「まぁ、たぶんな」「あぁ、良かったぁ~」
と、皆で話していると電話が鳴る。
千恵子が出て「豊島商事さんから」と富美夫に代わる。
先ほどの専務が「取引は当分見合わせる」と言って来たのだった。
「もう一度よく話し合ってみたんですが、おたくの希望する価格で
仕入れるのは、やはり厳しいという結論になりまして・・・。」と言うのだ。
電話を切った後、社長は「8割じゃ買い取れねぇってよ。まぁ
しょうがねぇよな。何も取引先は豊島商事だけじゃないんだ」と言い
美雨が心配して「どうしたの?大丈夫?」と圭介に言うが
「あぁ、大丈夫だよ。飯にしよう。飯に。」と社長が言い、アカネも「美雨ちゃん、麦茶配って下さい」と声をかけ、千恵子も「美雨ちゃんが心配することは
何もないよ 」と言ってくれるが、圭介の顔は晴れない。

部屋に戻っても浮かない顔の圭介を見て
「ねぇ、どうしたの?やっぱり何か困ったことがあった?」
と心配する美雨。
「困ったことなんか、何もないよ。それより図書室で本借りて来たんだって?」
「うん、これ。」と借りた本を見せてくれた。
「お!野口英世にナイチンゲールか」
「知ってる?」
「もちろん知ってるよ。」
「ナイチンゲ-ルは30歳で、やっと看護師になれたんだって。
諦めなければ夢は絶対叶うんでしょ?」と聞く美雨に
「そうだよ。だから美雨も諦めないで、夢に向かって頑張るんだよ。」
と話す圭介。
「うん。」「よし、じゃ風呂、入ってこい」「はーい」

ベランダに出ると、アカネが母屋のベランダに居て
「残念だったね。豊島商事の件。でも、しょうがないよねぇ。
不景気は、どこも一緒だし・・。」
「社長には言ったんだけど、今日の打ち合わせ、俺、ちょっと
やっちゃったんだ。だから…」と言って落ち込んだ様子の圭介にアカネは
「もし仮に、取引してもらえなくなったのが圭さんのせいだったとして
だからどうなの?圭さん、ここで頑張って行くって決めたんでしょ?
私達だって、そういうことが起きるかもしれないって、わかってて一緒に
頑張っていこうって決めたんだよ。こんなことくらいで下向いちゃったら
負けだよ。圭さんも、私たちも。そうでしょ?」と励ます。
「そうだよな。今、自分に出来る精一杯を頑張るしかないもんな。
美雨の為にも」
「うん。そうだよ」

翌日、宗さんと明生に豊島商事の件を話す社長。
「取引してもらえなくなった?」
「豊島商事が無くなると、うちの売り上げガタ落ちになっちまうんだろ?」と
驚き、心配する二人。
「どうするんすか?このままじゃ圭さん支えるどころか、中村産業そのものが
ガタガタになっちまうじゃないすか!」
「大丈夫。豊島商事がダメなら、別の新しい取引先を探しゃあいいんだよ!」
「そんな簡単には…」
「俺達には守らなければならないものがある。こんなことで、いちいち
しょげててどうすんだよ!」と社長が言えば
「そうよ!この間、そうはっきり決めたばっかりじゃないの!」と千恵子が言い
「明生君も、圭さん支えて頑張るって言ってたじゃない。」とアカネも言う。
「前を向いて進むしかねぇんだ。俺たちは。」と社長。
「まぁ、そうっすね。」
「そうだな。たまにはいいこと言うな。社長も。」
「たまに、は余計だよ!」と笑っていると
「おはようございます」と圭介がやって来た。
「おはよう」
「明生、宗さん、実は昨日…」と圭介が言いかけると社長が
「その話は、もう終わったよ」と告げ、頷いて目くばせした。
宗さんが「圭さん、今日から又、前を向いて進んでいこうぜ」
「おい!それはたった今、俺が言ったセリフだよ!」
「いいじゃねぇか。そんなこと」
「よし、じゃ、俺、先に工場行ってます」と明生。
「よし張りきって働くか。」と宗さんも続く。
「社長…。」
「今日も1日、頼んだよ」
「これからも色々迷惑をかけてしまうかもしれませんが
今後とも宜しくお願いします。」と頭を下げる圭介。
「今更、何言ってんだよ。なぁ。」と社長。
「圭さんは、うちのエースなんだから」と千恵子。
「頑張って」とアカネも応援する。
「はい」笑顔で答える圭介。

「おい明生。これ午前中にやっちまうぞ」
「はい。圭さん、これお願いします。」
「はいよ」
仕事を頑張る3人。
富美夫も取引先に電話をかけ「お世話になってます。
今月はどうでしょう?うちに回してくれるような仕事はないかな?と
思いまして…。」と話す富美夫にアカネがカツを入れる。
「えぇ、はい?あぁ、そうですか?いや、もちろん、徹夜でも
何でもして頑張りますよ。」

美雨は図書室で伝記を読んでいる。

病院に行き、古賀と話す圭介。
「じゃ結局、美雨ちゃんとは同居することに?」
「はい。職場の皆に支えられて何とか。」
古賀は微笑み「本当に、幸せですね。木下さんは。」と言い
「自分でもそう思います。」と答える圭介。
「5年後の準備は始めましたか?」
「そのことなんですけど、具体的に何から、どう進めれば?」
「まず考えなければならないのは、病気が更に進行した時
美雨ちゃんと同居するのかしないのか?同居しない場合は、木下さんは
どこに住むのか?」
「受け入れてくれる施設を探しておくってことですか?」
「これは一例ですが、私の身内にも自分の名前もわからなくなってから
慌てて施設を探して、やっと希望の施設が見付かったら既に満員で、1年以上
待たされたということがありました。入居するかどうかは、おいといて
資金の準備の為にも早すぎるということはないと思います。あとは
障がい者手帳や介護保険の申請をいつどのタイミングで、するか?
資産の管理や娘さんの進路について、誰に相談に乗ってもらうか?
もちろん新薬が開発されれば、その準備は無駄になります。しかし現状が
そうではない以上、5年後の自分を想像し、今から出来る準備は
どんどん進めた方がいいでしょう。」
立ち上がり「もちろん私は、木下さんの病気が
これ以上進まない様、最善の努力をさせて頂きます。」と話す古賀に
圭介も「宜しくお願いします」と深く頭を下げた。

圭介が美雨の部屋を覗くと、美雨はベッドで本を読んでいる。
「まだ起きてんのか?明日、学校だろう?
早く寝なきゃダメじゃないか。」
「は~い。」ベッドで横になる美雨。圭介はタオルケットをかけてやり
「美雨は今、8歳か。」
「そうだよ。」
「8歳で二年生ってことは…5年経ったら…?」
「13歳だよ。」
「もう中学生なんだな。」
「当たり前じゃん。どうして、そんなこと聞くの?」
「いや。父ちゃんも年取るわけだ。」
「皆、1年に1歳づつ年を取るんだよ」
「そうだよな。おやすみ。」
「ねえ、父ちゃん、美雨は将来、野口英世さんみたいになりたい」
「お医者さんか?」「うん」
「だけど美雨の将来の夢は…」と圭介が言いかけると
「バレリーナもケーキ屋さんも幼稚園の先生もやめて、お医者さんになる。
野口英世さんみたいな立派なお医者さんになって、美雨が父ちゃんの
病気を治してあげる。」と話す美雨。
「それで急に勉強始めたり、本を読んだりしてたのか。」
「父ちゃんだけじゃなくて、世界中の病気に困っている人を
助けてあげたいの」と言って微笑む美雨。
「おやすみ。」「おやすみ。」
微笑む圭介。

城都大学医学部付属病院では、古賀先生が一通の英文メールを読んでいた。
「親愛なる古賀先生へ
例の件ですが、ご検討いただけましたでしょうか
お忙しいとは思いますが 
我々スタンベール大学アルツハイマー病研究チームは
是非あなたの参加をお待ちしております」
そこへカルテを持って入って来た看護師が
「退職されるって噂、本当なんですか?」と聞くが
古賀は、それには答えず「お疲れさん」と声をかけ
看護師も、それ以上は聞かず「失礼します」と出て行った。
メールを見ながら、考えている古賀。

圭介が和室で、社長夫妻と向き合って座っている。
「これが預金通帳。こっちが美雨名義の。印鑑です。
保険証券は生命保険と学資保険。銀行のキャッシュカードと
このメモが暗証番号です。」
「わかった。じゃ、責任もって、預からせてもらうぞ」と社長。
「偉いね。安月給の中から、ちゃんと学資保険まで
積み立ててたんだね。」と涙ぐみながら言う千恵子。
「それと美雨には言ってあるんですが、今日一日ちょっと出かけるんで
美雨の事、宜しくお願いします。」と頼んで出かけた圭介。

まず菜子に会い「誕生日のプレゼント?えぇ~、圭さんが私の誕生日に
プレゼントくれるの?何がいいかなぁ?」と喜んでいる菜子に
「ごめん。菜子ちゃんにじゃ、ないんだ。」
「え?じゃ、誰に?」
「ん~、ちょっと中学生の姪っ子に」
メモには「13歳 菜子ちゃんに」と書いてある。

次は時計売り場で「すみません、中学一年生の女の子なんですけど‥」と
腕時計を手に店員に相談する圭介。


美雨はアカネと掃除をしている。
「美雨ちゃん、きれいになった?ちゃんと隅まで掃いて下さ~い」
「は~い」「ん?」「は~い」「ん?」「は~~い」
「よ~し」

千恵子に聞いている圭介。
「中学三年生くらいの子に誕生日プレゼント?」
「流行に関係なく、喜んで貰えるものがいいんですけど」
「そうだねぇ・・。」

浴衣売り場で、浴衣を選んでいる圭介。


両手に荷物を抱え、宝石店に入る圭介。
「いらっしゃいませ」

アカネに聞いている圭介。
「18歳の美雨ちゃんに?」
「ちなみにアカネちゃんは、どんなものが欲しかった?」
「えぇ~?」

アクセサリーを見ていると、店員がすかさず
「プレゼントですか?」と声をかけて来た。
照れる圭介。

「美雨ちゃん、行こっか?」千恵子が買い物に美雨を誘った。
圭介が両手いっぱいに荷物を抱えて歩いていると
向こうから美雨と千恵子がやって来る。
「今日ご飯、何にしようか?美雨ちゃん、何食べたい?」
「う~ん、父ちゃんとね、卵焼き作ったことあるよ。美雨。」
「えぇ~?!」などと話している。
慌てて、木の陰に隠れると、健太がやって来て声をかけられる。
「圭さん?何やってるんですか?」
「いいから。あっち行ってろ」
「え?」
見付からない様、向こうに行く圭介を追いかける健太。
「圭さん?圭さん!」

千恵子と美雨とアカネが三人でハンバーグを作っている。
「ねえ、アカネちゃん、これ、なんでパチパチするの?」
「空気を抜くためで~す」
「空気抜いてどうするの?」
「うん?空気を抜くと、美味しくなるんだって」

家電量販店から両手に更に荷物を抱え、出てくる圭介。

美雨が目玉焼きを焼いて、ハンバーグに乗せる。
「あら、きれいに出来たわねぇ。」
「美味しそうねぇ。」と賑やかなご飯作り。

「ただいま」
「圭さん、お帰りなさい」
「お帰り~」と駆け寄り、圭介に抱きつく美雨。
圭介は美雨を抱き上げると「お~ぅ!ただいま」
「見て。この目玉焼き、美雨が作ったんだよ」
「へぇ~!」
「このかぼちゃのお味噌汁も手伝ってくれたんだよねぇ?」
とアカネが言えば「ハンバーグも。」と千恵子も話す。
それを聞いて「すごいじゃないか!」と圭介が言うと
美雨は得意気に「うん。これからも、どんどん新しい料理を覚えて
父ちゃんに食べさせてあげるからね。」と言うと
圭介は「ありがとう。楽しみにしてるよ」と答えた。

ベッドに入り「おやすみなさい」と言って圭介が出て行くと
美雨は起き上がり、伝記を読んでいた。
圭介は、昼間買って来た未来の美雨へのプレゼントを隠した
棚の鍵を開け、封筒にはそれぞれ「13才の美雨へ」から
「20歳の美雨へ」と順に書いていた。
そして、ボイスレコーダーにメッセージを吹き込んだ。
「13歳の美雨、誕生日おめでとう。本当は、こんな録音じゃなくて
直接おめでとうって言いたいし、言うつもりでいるんだけど
もしも美雨の誕生日を忘れてしまったり、わからなくなった時の為に
今、録音しています。中学校は、どうですか?毎日、楽しく学校に
行ってますか?小学校2年生の時の美雨は、お医者さんになりたいって
いう夢を持っていました。その前はバレリーナと、その前はケーキ屋さん。
その前は幼稚園の先生になりたいって言ってました。中学一年生の美雨は
どんな夢を持っていますか?これから先、いろんな人に出会って
いろんな経験をして、考えも変わると思うけど、とにかく夢を持つのは
素晴らしいことだから、美雨には、いつも大きな夢を持って、その夢に
向かって頑張ってもらいたいと思ってます。人生には、頑張っても
どうにもならないことや、くじけそうになる出来事が沢山起こります。
だけど、たとえ夢が叶わなくても、夢に向かって頑張ることが大事だと
父ちゃんはそう思います。本当は美雨が困った時、くじけそうになった時
いつも美雨の傍に居て、相談に乗ってあげたいと思っているんだけど、たぶん
いつか父ちゃんには、そういう事も出来なくなる日が来てしまうと思います。
美雨、こんな父ちゃんでゴメンな。だけど、父ちゃんは、たとえ
美雨の誕生日を祝えなくなったとしても、美雨が大好きです。世界で一番
大好きです。それだけは絶対に変わらない事を忘れないで下さいね。」


メールを読んでいる古賀。
「できるだけ早いご回答をお願いします
その際に一つ提案があります
こちらに来て頂ける場合、被験者の同行をお願いできませんか
是非ご検討ください

スタンベール大学アルツハイマー病研究チーム
代表ジミー・エヴァンズ」
圭介の電子カルテを見つめる古賀。


圭介はメッセージをボイスレコーダーで吹き込んだカードを
「13歳の美雨へ」と書いた封筒に入れた。

美雨はベッドに横になりながら、天井を見つめていた。
机の上には美雨の書いた、お医者さんになった自分と
元気になった父ちゃんの絵があり
「美雨のしょうらいのゆめ
おいしゃさんになって父ちゃんのびょうきをなおす!」
と書かれていた。

**************************

美雨ちゃんがお医者さんになって、父ちゃんの病気を治したい

世界中の病気の人を助けてあげたいと決心した顏は

すごく強い意志と愛が溢れていました。

そして、未来の美雨へのプレゼントを色々な人にリサーチしながら

買い集め、メッセージを録音する圭介。

テレながら買い物している圭さんもかわいかったけど

やっぱり未来の美雨へのメッセージにグッと来ました。

こんなに愛されていて美雨は幸せだなぁ。

この記憶や、記録が、将来、きっと美雨を

強く優しい人にしてくれる。

何より世界一愛してくれた父ちゃんの記憶が

美雨の味方になってくれると思いました。

圭介の美雨への深い愛情も強く強く感じられました。

来週は、いよいよ最終回。

希望が見える結末になりますように☆彡

それから、豊川さんは、もちろん姿もしぐさも素敵なんですけど

声もいいですよね~[黒ハート]

あらためて、素敵な声に聴き惚れました[るんるん]

今回の写真は、フォトギャラリーより

中村産業のみんなと一緒の圭介と美雨
beautifulrain11.jpg

千恵子やアカネとハンバーグを作る美雨と

未来の美雨へのメッセージを録音している圭介
beautifulrain11_1.jpg


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ビューティフルレイン第10話 [豊川さん]

ビューティフルレイン第10話

中村産業で、圭介は美雨の引っ越しや転校に必要な
書類を送ったことを社長たちに説明していた。
夏休み最後の日に病気の事も、ちゃんと説明しよう
と思っていることも。
アカネも「いずれは言わなきゃいけないことだもんね。」と言う。

外に出た圭介の携帯が鳴り、出てみると沼津の義父からで
美雨が「東京に帰ります」と書き置きを残し、東京へ向かって
しまったみたいなのだと言う。
バス会社に問い合わせたところ、東京に3時着のバスに
美雨は一人で乗ったらしい。
「本当に申し訳ない」と謝る義父母。

それは昨日のこと。
祖父母が見ていた書類に自分の名前があることに
気付いた美雨が「それなに?」と尋ねた。
祖父母は嘘を言うわけには行かず「父ちゃんから、又詳しく
話があると思うけど、美雨ちゃんは、このまま
おばあちゃんたちのお家に住んで、二学期から沼津の小学校に
通うのよ」と話してしまったのだ。

圭介が急いで高速バスのバスターミナルに行くと、美雨が降りて来て
何か言いたげな、怒ったような顔で圭介を見ていた。
ひとまず沼津に電話を入れ、美雨に無事に会えたことを報告し
とりあえず今日は家に連れて帰り、明日にでも一緒に沼津に
連れて行くと話す圭介。
「ほんとにごめんなさいね。あたしが余計なことを
言ったばっかりに」と謝る義母に「ご迷惑をおかけしました」
と言って電話を切ると
美雨の方を向き「行こう」と声をかけた。
だが美雨は、それに答えず一人で、どんどん先に歩いて行ってしまう。

家に着き、向き合って座る圭介と美雨。
「手紙に書いた通り、夏休み最後の日に沼津に行って、全部
ちゃんと話そうと思っていた。」と圭介が言うと
美雨は「どうして?どうして美雨だけ沼津に居なきゃいけないの?
夏休みの間だけだって、言ったじゃん!ねぇ?どうして?」
「それは・・・父ちゃんの病気が治らないからだ。」
意を決して、美雨の目を見つめながら話す圭介。
「治らないの?」
「治らないんだ。」
「ずっと?」
「ずっと。」
「なんで?美雨は父ちゃんの病気が治ると思ったから
沼津に行ってたんだよ。夏休みの間だけだと思って、寂しいの
我慢してたんだよ。それなのに。ちゃんと薬を飲んでれば治るって
嘘だったの?」
思わず下を向く圭介。
美雨は続けて「おじいちゃんもおばあちゃんも知ってたんでしょ?
美雨だけが本当の事、知らなかったの?嘘はつかない、隠し事は
しないって、決めたじゃん!」と責める美雨に
「ごめん。ごめんなさい。」と下を向いたまま謝る圭介だったが
美雨の顔を見て「美雨に、どう話したらいいのか、父ちゃん
ずっとわからなかったんだ。」
「治らないって、どういうこと?ずっと物忘れが続くの?」
「それだけじゃなくて、もっと悪くなる。病気が進むと
物忘れだけじゃなくて、色んな事が出来なくなる。」
「色んな事って?」
「電話をかけたり、テレビをつけたり、今まで当たり前に
出来ていた事も段々忘れて出来なくなる。美雨に、ご飯を作ったり
洗濯や掃除をしたり、バレエ教室に迎えに行ったり、お話を
してやることも出来なくなる。最後には父ちゃんは、自分が
父ちゃんだってこともわからなくなるんだ。」
「全部忘れちゃうってこと?」
「そう。」
「美雨の事も?」と涙をためながら聞く美雨に
「美雨の事だけは、父ちゃん、絶対忘れない。死んでも忘れない。」と
力を込めて言い「だけど、この間みたいに、ここで待ってろって
言ったことも忘れて、又、美雨を危険な目にあわせてしまうかもしれない。
だから、いつかは美雨と離れて暮らさなきゃいけなくなるんだ。
早い方がいいって、父ちゃんは思ったんだ。」
「ずっと会えなくなっちゃうの?」
「離れて暮らすと言っても、ずっと会えないわけじゃない。
仕事がお休みの日には必ず美雨に会いに行く。それでもダメか?
父ちゃんは美雨の将来の事をずっと考えて来た。だから、父ちゃんも
我慢するから美雨にも我慢して欲しい。明日の朝、父ちゃんが
沼津に送って行く。お願いします。美雨、わかって下さい。」
と涙を流しながら、心を込めて話す圭介。
美雨は泣きながら、自分が置いて行った四つ葉のクローバーを
じっと見つめている。
そんな美雨をたまらない表情で見つめる圭介。

その夜、社長と奥さん、アカネに話す圭介。
「それで美雨ちゃんは納得したのか?」と社長。
「明日一緒に沼津に行くって・・。」と千恵子。
「わかってくれたと思います。少し落ち着くまで、一緒に向こうに
居てやろうと思うんですけど、何日か、お休みを頂いてもいいですか?」
「いや、それは構わないけど・・。圭さんは結局、夏休みも
取ってないんだし・・。」と社長。
頷くアカネ。

美雨はベッドで考えていたが圭介が来たのを察すると、目を閉じて
寝ているふりをした。
居間で布団に入るが眠りにつけない圭介。
ベッドで眠れない美雨。

翌朝、朝の食卓の準備が整っても、起きて来ない美雨に
「美雨、起きろ。そろそろ支度しないとバスに間に合わないぞ」
と声をかける圭介。しかし、美雨の返事がない。
美雨の部屋に近寄り、窓から様子を窺おうとしても
何か貼ってあって見えない。
「美雨?」と声をかけると「沼津には行かない。」という
美雨の声がする。
ドアを開けようとするが、ドアの前にバリケードを作っており開かない。
「美雨!開けなさい、美雨」
「沼津には絶対行かない!」
「いいから開けなさい!美雨!」
「行かなくていいなら、開ける。」
わずかに開いた、窓の上の小窓のようなところから覗き込み
「父ちゃん、昨夜ちゃんと話したじゃないか。美雨もわかってくれたんじゃ
ないのか?」
黙っている美雨。
ドアをどんどん叩いていると、ベランダの方からアカネの声がした。
「圭さん?どうしたの?」
「美雨が・・・」

アカネが美雨の部屋のドアをノックして声をかける。
「美雨ちゃん?どうした~?ちょっとだけでいいから、開けてくれない?」
アカネは部屋に入れてくれた美雨。
「美雨ちゃんの気持ち、すご~くわかる。だけど、なかなか本当の事
言い出せなかった圭さんの気持ちも、わかるなぁ。アカネちゃんね、前に
圭さんと同じ病気にかかった人と一緒に暮らしてたことがあるの。」
「誰?」
「前の旦那さんのお母さん。最初のうちは、頑張って支えて行こう!
ちゃんと面倒見てあげよう!と思っていたんだけど、現実は
すご~く厳しかった。」
「その人、今どうしてるの?」
アカネは空を差すと「天国にいるの」
「病気、最後まで治らなかったの?」
頷くアカネ。
「父ちゃんの病気も絶対、治らないの?」
「今、世界中のお医者さんが一生懸命頑張ってるんだけど
まだ治せる薬は出来ていないの。圭さんも美雨ちゃんに、あたしのように
辛い思いや苦しい思いをさせたくなかったから、沼津で暮らした方がいいって
思ったんじゃないかな?」とアカネが言うと
美雨は「辛くないよ。」
「え?」
「美雨は父ちゃんが病気でも辛くないよ。美雨が辛くて苦しいのは
父ちゃんと離れて暮らすことなんだよ。父ちゃんが治らない病気だからって
何で離れて暮らさなきゃいけないの?大事な人が困ってる時には、そばにいて
あげなきゃいけないんでしょ?」と言う美雨。
それを部屋の外で聞き、涙をこらえきれない圭介。
ハッとした表情になったアカネは「これだけは、わかってあげて。
美雨ちゃんが父ちゃんの事を心配しているように、圭さんも
美雨ちゃんの事を心から心配しているんだってこと。」と話すのだった。

部屋から出て来たアカネは「圭さん、少し様子を見て、もう一度話してみて」
「ありがとう」
手を挙げて、去るアカネ。

そのことを聞いた中村産業の皆。
「やっぱりね。そう簡単に納得しないと思ってたのよ」と千恵子。
「圭さん、どうするんだろう?」と明生。
「アカネ、圭さん、どうするって?」と聞く社長。
「どうしたのよ、アカネ?」
「うううん。別に」と言って、自分の部屋に戻ってしまうアカネ。

美雨は部屋で考えていた。
圭介が来た気配を感じるが、声をかけることもなく、ドアを
ノックすることもなく、部屋から遠ざかって行く。
美雨も何も言わない。
美雨はアカネに言われたことを思い返し、部屋で
何かを一生懸命書いていた。

圭介がベランダに出ていると、美雨がやって来て
「沼津に行く前に、どうしても父ちゃんに、やって欲しいことが
あるの」と真剣な顔で言う。
「やって欲しい事?」と圭介が聞くと、美雨はさっき書いた紙を取出し
「これ、やってくれたら、ちゃんと沼津に行くから」と言い、差し出す。
紙を広げてみると「父ちゃんといっしょにきねんしゃしんをとる」
と、まず最初に書いてあった。
「父ちゃんと一緒に記念写真を撮るって?」と圭介が言いかけると
「じゃあ、ひとつめ。早く行こう!」と圭介の手を取って
引っ張る美雨。

二人でバス停でバスを待っていると、友達と一緒の小太郎に出会う。
「美雨!帰ってたのか?どこへ行くんだ?」
「父ちゃんと記念写真を撮りに行くの。」
「記念写真?」
「父ちゃんがどうしても美雨と一緒に写真を撮りたいって言うから
付き合ってあげるの」と笑う美雨。
「よく言うよ」と圭介。

スタジオで、たくさんの衣装を前に燥ぐ美雨。
「やっぱ、これかわいい!かわいい?」
「かわいいな」
「でもやっぱり~、これかわいいな。
これとこれ、どっちがいいと思う?」と水色と赤のドレスを手に
圭介に聞く美雨。
「どっちもかわいいな」と言う圭介に
「どっちもじゃなくて、どっちか決めて!」
水色のドレスを着て、おめかしして現れた美雨のかわいらしさに
「おぉ~!」と思わず、にやけてしまう圭介。
美雨は、くるんと回って見せると
「父ちゃんのスーツも。」
「え~?父ちゃんはいいよ」と言う圭介に
「これ、カッコいい!どう?」と、あてて見て
「あ、似合ってる似合ってる!」と笑う美雨。
美雨は何着か衣装を着替えながら、色々なポーズで
圭介と一緒に最高の笑顔の写真を撮ってもらった。

中村産業では皆が昼ご飯を食べながら圭介たちのことを話していた。
「やって欲しい事?」と明生が聞くと、千恵子が「うん、もう一度
沼津に行く前に、圭さんに、お願いしたんだって。」
「それは単なる時間稼ぎだろ?」と宗さん。
「結局、美雨ちゃんは沼津に行きたくないのよ。」と千恵子。
「あ、そういえばアカネさんは?」と明生が聞くと
社長が「それがな、美雨ちゃんと話して来てから、なんだかぼーっと
考え込んじまって・・・なぁ」と言えば千恵子も「うん~」と答える。

アカネはベランダでタバコを吸いながら、美雨の言葉を
思い出し考えていた。
「美雨は父ちゃんが病気でも辛くないよ。美雨が辛いのは
父ちゃんと離れて暮らすことなんだよ」

写真を撮り終えて、スタジオを出て来た美雨と圭介は、美雨の書いた
願い事を見て「えっと次は・・・」
「美雨の好きな絵本を読む。本屋さん、行こう!」と
圭介の手を引っ張り、手をつないで歩く二人。
健太に会って、「どこへ行くの?」と声をかけられると
小太郎の時と同じように「本屋さん。父ちゃんがどうしても
美雨に絵本を読みたいって言うから、一緒に選んであげるの」と言う美雨。
圭介が「美雨!これ、どうだ?」と一冊の本を取って言うが
「これも面白そうだね。でも美雨、やっぱりこれがいいな」
と選んだのは「エラと白鳥のみずうみ」。
その本を買い、「ありがと」と、ほほ笑む美雨。

次は「父ちゃんと一緒に料理をする」
お肉屋さんで買い物をして出てくると、菜子ちゃんに出会う。
「美雨ちゃん!いつ帰って来たの?」
「昨日。さっき、菜子ちゃん家のお店に行ったんだよ。」
「そうなんだ?今日のメニューは、な~に?」
「餃子作るんだよ!父ちゃんが、どうしても美雨と一緒に料理作りたいって
言うから」
「いいなぁ。じゃ、頑張ってね!」「うん」

帰り道。
「じゃ、家帰って、餃子作るか。」
「うん。餃子作る♪餃子作る♪楽しいな♪」と歌いながら歩く美雨。

家に着き、皮を持って来て「じゃ、とりあえず一個作ってみろ」
「ちょっと多いんじゃねぇか?」
「いい。これくらいで。」と言うが、やっぱりはみ出してしまう。
「お、上手い!」「美雨も。」「うまい!」
「出来た~!」
包み終わった餃子を冷蔵庫に入れ、次は・・・と紙を見る。
「父ちゃんに、じてんしゃの のり方を教えてもらう」
「おい美雨、自転車、補助輪が無いと怖いって言ってなかったっけ?」
「もう自転車、ちゃんと乗れるようになりたいの。」
「大丈夫か?」
「うん。」
「よし。じゃ、今から練習するか。」

社長夫妻がアカネが子どもの頃に乗っていた自転車を出してくれるが
「だけど、これ、もうダメなんじゃないか?」と社長は言う。
「ありがとうございます。ちょっと直してみます」と圭介。
しっかり二人でメンテナンスをして、空気も入れ、美雨はヘルメットを被り
練習を始める。
「いいか。大事なのはバランスだ。ハンドルをしっかり持って前を見る」と
圭介が言い、美雨を後ろから押して、途中で手を放すが
美雨は「うわ~」と言うと倒れて転んでしまう。
「大丈夫か?」「ダイジョウブイ」
「もう一回やろう」
「しっかり持って。そうそう。」と手を添えながら練習する。
ちょっと手を放そうとすると「うわ~!」。
もう一度抑える圭介。
そんな二人の様子を少し離れたところで見ているアカネ。
アカネは又、美雨の言葉を思い出していた。

アカネは中村産業に戻ると、そのことを話していた。
「じゃ、今日は自転車に乗れるようにならなかったんすね。」と明生が言えば
千恵子も「良かったよねぇ。乗れるようになっちゃったら、お別れだもんね。」
「だけど、明日には乗れるようになるだろ?」と宗さんが言うと
「あ!わかったぁ~!美雨ちゃんが自転車に乗れるようにならなければ
沼津に行かなくて済むってわけでしょ?だったら、美雨ちゃんに、こっそり
自転車に乗れるようになるなって言っときゃいいんですよ!」と明生が
イイ事思いついた!という顔で言うので、宗さんが「ばか~!美雨ちゃんに
そんなイカサマ、やれって言えるか?」
「じゃ、宗さんは美雨ちゃんが、さっさと沼津に行けばいいって
思ってるんすか?」「誰もそんなこと言ってねぇだろう!」
「じゃ、どうするんすか?」
「だから、それで悩んでいるんじゃねぇか。」
「あ!チャリンコ、パンクさせるとか、どうっすか?」

自分の部屋に戻り、又鏡を見ながら考えるアカネ。
今まで自分が良かれと思って言って来たことを思い返す。

夕食に、二人で作った餃子を食べる圭介と美雨。
「うん、やっぱ二人で作った餃子は旨ぇな。」
「皮の包み方も上手に出来たし・・・ね」
「ホントか?これ、雑になってんじゃないのか?」と圭介が言うと
圭介の指したところを見て、美雨は
「初めてだからしょうがないじゃん。この次は、もっと上手くやります。」
「おぉそうか。じゃ、この次は父ちゃん、すっげぇ期待してるから。」
「へへ。次は、いつ一緒に料理作れるの?」と聞く美雨。
思わず一瞬、黙ってしまい「いいから。早く食え。ほら、沢山食わないと
明日又、自転車の練習するんだろ?」
「うん・・・。」と美雨の歯切れの悪い返事に
「ん?美雨が食わないなら、父ちゃん、これ全部食べちゃうぞ!」
「ダメ~!美雨も食べる!美雨も食べるぅ~!」と
慌てて、圭介の抱えたお皿に手を出して、餃子をつまむのだった。
笑いながら「旨いなぁ」と餃子を頬張る二人。

夜、圭介は昼間買った絵本をベッドの上で、美雨に読んであげていた。
「終わり。じゃ、おやすみ。」幸せそうに笑う美雨。
「おやすみ。父ちゃん!寝るまで一緒に居て」と呼び止められ
「いいよ。」と隣に横になると嬉しそうに圭介にくっついて寝る美雨。

美雨が寝て、圭介がベランダに出ると、アカネが母屋のベランダで
「寝た?美雨ちゃん。」「うん。」
「あたし、間違ってたのかなぁ?美雨ちゃんに言われたことが
ずっとひっかかってて。」というアカネ。
美雨の言葉を思い返すアカネ。
圭介は「俺だって、このまま美雨と一緒に居られたら、どんなに幸せかと
思う。でも、5年先、10年先、美雨の将来の事を考えたら・・。」
「そうだよね。」
「だけど、なんかよくわからなくなっちゃったよ。5年先、10年先の
ために今の幸せを諦めていいのかって。そもそも、そんなものは
比べちゃいけないんじゃないかって。」
答えの出ない問いを考える二人。

翌日、自転車の練習をする美雨と教える圭介。
見守るアカネ。
「ほら、ハンドル、しっかり持たないと」
「うわ~」又、何度も転んでしまうが挑戦し続ける美雨。
中村産業の社長や奥さん、他の皆も見に来てくれた。
「もうちょいでコツ掴むな」と宗さん。
「美雨ちゃん!」と声援を送る明生。
「下を向くな。前だけ見て。ゆっくりでいいから前に進むんだ」と
アドバイスする圭介。頷く美雨。
圭介が手を放すと「うわ~」と言いながらも、今度は転ばずに
こぐことが出来た。
「乗れた!乗れた!やったぁ!」
圭介が美雨を抱き上げる。
皆が寄って来て、美雨はハイタッチする。
「美雨ちゃん、やってもらいたいこと、全部出来て良かったね」
と明生が言うと美雨は「やってもらいたいこと、全部出来たら
沼津に行くから。」と父ちゃんに言ったことを思い浮かべ
「父ちゃん、最後の最後に、もう一つだけ、やってもらいたいことが
あるの」と決意を固めた顔で言う美雨。

「明生、早く。バカでもテーブルくらい作れるだろう」と宗さん。
「いちいちバカって言わないで下さいよ。」
美雨も料理を運ぶ手伝いをしている。
「そういや、圭さん、遅いですね」
「おう、ビール買う予算が足りないんじゃねぇか?
中村産業は財政難だからな。」
それを聞いていた社長が「おごってもらうのに文句言うな。」と
宗さんの頭をはたく。
「肉かぼちゃも持って来ました」と言う美雨に
「お、ありがとう!美雨ちゃん、ちょっと手伝って」と声をかける宗さん。
「はーい」と返事して手伝う美雨。
「嬉しいねぇ。最後のお願いに、皆で、ご飯食べたいなんて
言ってくれて。」と千恵子が言うと、社長は
「だけど、これが最後の晩餐になっちまうんだよな」と言い
アカネも何とも言い難い表情で美雨の顔を見ていた。

ビールを買った圭介が戻ってくると、美雨が明生にあや取りを教えていて
明生が出来ないと「明生、相変わらずバカか?」と父ちゃんの真似をして
言う美雨。宗さんは、それを聞いて大笑い。明生は「えぇ~?!」とビックリ。
「美雨ちゃん、調子に乗り過ぎ」と、さりげなく千恵子がたしなめると
美雨も「ごめんなさい」と素直に謝った。
「圭さんのマネしてみただけだよな。いいんだよ。子どもは正直が一番」と
言って笑う宗さん。
「それ、どういう意味っすか!」と明生が言うと
「あれ、意味わかっちゃった?」
「さすがにわかりますよ!」
笑い合う皆。
その光景を見ながら、圭介は、皆が圭介と美雨の事を精一杯思い
言ってくれたことを思い出していた。

外に立っている圭介に気付いたアカネが声をかけ、入ってくる圭介。
「お金足りた?」
笑い合う皆。

黙っている美雨に気付いた圭介が
「ちゃんと食べてるか?」と声をかけると
美雨は「どうしても沼津に行かなきゃダメ?」と聞く。
シーンとなる。
圭介は箸をおくと「美雨は今、幸せか?」と聞く。
「幸せだよ。美雨の一番の幸せは父ちゃんと一緒に居る事なんだよ」
と笑顔で言う美雨に、皆が胸を熱くする。
千恵子が「圭さん」と声をかけると、アカネが
「ここに、居たら?美雨ちゃんと一緒に、ずっとここに居てよ」と
圭介に言う。
驚いた皆が「だけど、アカネちゃんは、ずっと・・・」と言うと
「あたしは一人で、お義母さんの介護してたけど、美雨ちゃんは違う。
一人じゃない。美雨ちゃんには、あたしたちが付いてるもの。」
「アカネちゃん・・・」
「あたしには介護の経験がある。病気の知識も、その病気を抱えた人と
どう接していけばいいか、一生懸命勉強したの。だから、きっと
圭さんや美雨ちゃんの力になってあげられる。」
「だけど・・・」
「ごめんなさい。やっぱり美雨ちゃんの言うとおりだ。美雨ちゃんの
幸せは美雨ちゃんにしか決められない。」と美雨に向かって笑顔で言う
アカネ。
「父ちゃん、やってもらいたいこと、全部やってくれて
ありがとうございました。記念写真も、お料理も、絵本を読んでくれたことも
自転車に乗れるようにしてくれたことも、すごく嬉しかった。
だけど、それは父ちゃんと一緒だったからなんだよ。父ちゃんと
二人でやれたから楽しかったの。父ちゃんは違うの?美雨は父ちゃんと
一緒に居るのが一番幸せなんだよ。だから、お願いします。父ちゃんと一緒に
居させて下さい。」
「圭さん」「あたしたちもついてるわ」「圭さん」と声をかける皆。
「社長、奥さん、宗さん、明生、アカネちゃん、皆さん、ありがとうございます。
これからも美雨を、美雨の事をよろしくお願いします。」と頭を下げる圭介。
「父ちゃん?」
「美雨ちゃん、良かったねェ」と千恵子。
涙ぐみながらも喜びの宴になった。
顔を見合わせ、笑う圭介と美雨。

**********************************

美雨が東京に戻ってきました。[わーい(嬉しい顔)]

父ちゃんに、いくつかのお願いをしましたが

記念写真を撮った時のおめかしは、とってもかわいかったですね。[かわいい]

久しぶりのカッコいいスーツ姿の豊川さんも見られて[黒ハート]

嬉しかったですし・・・・。

どの願いもささやかなものでしたが、父ちゃんと一緒にいることが美雨の幸せ。

父ちゃんと一緒だから、どれも楽しかったんだという美雨の言葉に

ハッとさせられましたね。

みんなの応援もあって、父ちゃんと美雨が再び、一緒に暮らせることになって

本当に良かったです。

おじいちゃん、おばあちゃんには、ちょっと申し訳ないけれど

やっぱり美雨ちゃんの幸せが何なのかを一番に考えてあげて欲しいですから。


今回の写真は、スタジオで撮った記念写真の撮影風景から。

どれも捨てがたかったので、今回は写真が多めです。
DSC02965.jpg

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ビューティフルレイン 第9話 [豊川さん]

ビューティフルレイン 第9話

美雨が沼津に行き、圭介は一人食卓に向かい
納豆をかき混ぜていると、美雨が帰って来る。
わけがわからないながらも一緒に、朝ご飯を食べていると
美雨が「父ちゃんのそばにでっかい蜘蛛がいる!」と言って
怖がる圭介。
そこで目が覚める。夢だった。

一方、沼津に行った美雨は、祖父母と一緒にパンで朝食を
食べていた。
パンに自分でバターを塗って、祖父母に「上手ねぇ」と
褒められながら美雨は
「お米を食べると元気が出る。納豆を食べると人間が
粘り強くなる。根性がつくんだよ。」
「じゃ、パン食べてる人は根性が無いの?」
「しょうゆうこと」という圭介とのやり取りを思い出していた。
「ねぇ、おばあちゃん、朝ご飯食べたら、うーちゃん(うさぎ)にも
ご飯あげてもいい?」
「もっちろん。」
「おぉ、それなら、うーちゃんの大好物のアレを
あげるといい」と言う、おじいちゃんの指す方に行くと
人参が!
「偉いね、うーちゃんは。美雨は人参苦手なんだよ」と言いながら
人参を食べたうーちゃんを抱っこする美雨。

一人食卓に向かい、カボチャを食べる圭介。
美雨の茶碗を見て、美雨を思い出す。
掃除をしても洗濯をしていても、思い出すのは
美雨の事ばかり。
朝顔に水をやりながら「元気に育ってくれよ」とつぶやく。
薬を飲み、今日の予定を手帳で確認し、美雨の置いて行った
四つ葉のクローバーを眺めると、顔を叩いて気合を入れる。

中村産業では皆が圭介を心配している。
「落ち込んでる?」と明生。
社長が「そりゃそうだよ。8年間も、ず~っと一緒に居た
美雨ちゃんと離れ離れになっちまったんだから」
「だけど、それは圭さん自身が決めたことだぜ」と宗さん。
「いくら自分で決めたって、実際そうなったら
落ち込むわよ~」と千恵子。
「まぁ、それはそうっすね。」と明生。
「だから・・・なぁ、皆、わかってるな?」と社長。
「え?何がですか?」と明生。
「わかるだろう?」
「すいません、全然わかんないっす」
「わかれよ~!」と明生の頭をはたく宗さん。
「圭さんはガックリ落ち込んで、ショボーンと
ここにやって来る。そしたら皆で・・・」と社長が
話しているところに「おはようっす」と圭介が入ってくる。
皆、口々に「おぉ、おはよう」
「誰かと思ったら、圭さんか。おはよう」と口々に声をかける。
明生が圭介の顔をまじまじと見るので
圭介が「俺の顔に何かついてる?」と言うと
明生が「そんな落ち込んでいるようには見えないす」と言ったので
慌てて社長が「皆で景気が落ち込んじゃって、困ったもんだなぁって。」
「そうそう。景気が落ち込んじゃってねぇ。」と千恵子。
そんな空気を読まず、明生が更に「あ!美雨ちゃんから電話とか
ありました?」とのん気に言うので、宗さんが慌てて
明生の腕を引っ張り、耳元で「ばか!余計なことを言うな」と諭す。
そんな様子を見た圭介は「あの~、皆さん、俺のことを心配して
くれるのは、ありがたいんですけど、俺、大丈夫ですから。
じゃ、先、工場行ってます。」と言って出て行く。
それを聞いて「さっすが圭さん!俺なんか彼女が三日間、居ないだけで
ズドーンと落ち込んじゃいますもん」と明生が言うと
社長は「本音はつらいんだ。圭さんも。」と言い
千恵子も「それを隠して普段通り明るく振舞ってんのよ~。」
「とにかくしばらくみんなで圭さん、気遣ってやろう」と話すのだった。

工場で圭介が仕事をしていると、宗さんが
「圭さん、今度の休みに俺と夢、買いに行かないか?」と誘う。
「夢を買う?」
「競馬だよ!ロマンだよ。てめぇの信じた馬が1等でゴールする時の
感動は、その馬を信じたやつしかわかんねぇんだよ!」と言うと
明生が「圭さんを悪の道に誘わないで下さい!」と言い
「何が?悪の道だと?」と言う宗さんに「給料をほっとんど競馬に
つぎ込んで、給料日前は、いっつもピーピーピーピー。
地獄見てんじゃないっすか!」と返す明生。
「地獄から夢見てんだよ!男のロマンだよ!」という宗さんに
明生は「圭さん、競馬なんかより、俺と海、行きましょう!」と誘う。
宗さんが、それを聞いて「男二人、海行って何すんだよ!」と言うと
明生は「走るんすよ!夕日に向かって!でもって、海に向かって叫ぶ!
バカヤローって!」と言う。
宗さんは「バカヤロウはお前だよ!」と明生に言うと
「圭さん、競馬か、海でバカヤローか、どっち選ぶ?」
「海っすよね?」「男のロマンだよね?」
「どっちも、お気持ちだけ受け取っておきます。」と答えて去る圭介。
「バカヤロ-、今週は俺で良かったんだよ」と明生に言う宗さん。

台所では千恵子が洗い物をしながら
「圭さんも心配だけど、美雨ちゃんは、もっと心配だよね?」と言い
「そうだなぁ。」と答える富美夫。
「夏休みの間だけって思ってるうちはいいけど、この先ずっと
帰って来れないって知ったら美雨ちゃん、どうなっちゃうんだろう?」と
千恵子が言うとアカネが「それは、圭さんが美雨ちゃんの将来を考えて
決めたことなんだから。今は、つらくても、将来きっと良かったって
思えるよ。」言うと、富美夫も「まぁ、圭さんも、ちゃんと考えて
決めた事だから」と言う。それでも千恵子が「本当に、このままで
いいのかしらねぇ?」と言うので
アカネが「お母さん、圭さんに余計なこと、言わないのよ。」と
釘を刺すと富美夫も「そうそう。今更お前、惑わすようなこと
言うんじゃねぇぞ」と諭すと、千恵子は
「美雨ちゃん、どうしてるかな?」と言うのだった。

美雨は、ポーチに貼った父ちゃんと一緒のプリクラを見ながら
うーちゃんに「うーちゃんの父ちゃんは、どこにいるの?会えなくて
寂しくない?」と言うと、小さくため息をついていた。

圭介が一人でいるのを見た、千恵子は近寄って来ると
「圭さん、後悔してない?美雨ちゃんを預けちゃったこと?」と聞く。
圭介は穏やかに「はい」と答えるが「だけど、美雨ちゃんは、まだ
ホントのこと、ずっと離れ離れで暮らすってこと
知らないんでしょ?考え直すなら今のうちなんじゃない?」と言い
富美夫が「圭さん」と探しているのを聞いて
「あたしで良かったら相談に乗るからね。」
と言い足早に去って行った。

富美夫は圭介を見付けると、千恵子の事を気にして
「なんだって?」と聞くが圭介が「いえ、別に」と言ったので
それ以上は聞かず「今夜、はーちゃんの店に行こう」と誘う。
「おぉ、いいっすね」と通りかかった明生と宗さんが言うので
富美夫は「誰がお前ら誘ったよ?俺は圭さんと二人で行くんだよ!」
ときっぱり言い「おめえらと一緒に行くと必ず話が脱線するんだから。
俺はな、学習したんだ。な、圭さん!」と話すのだった。

夕食の時間、「頂きま~す」と元気に言って箸を持つも
嫌いな人参を見て、ちょっと箸が止まる美雨。
それを見たおばあちゃんが「美雨ちゃん、人参が嫌いだったら
無理して食べなくてもいいからね」と言うので
「ホント?」と嬉しそうな顔をする美雨だったが
父ちゃんに「人参もしいたけも好き嫌いしないで、ちゃんと
食べるんだぞ」と言われたことを思い浮かべ「でも大丈夫」と
言うと、人参を食べる。
それを見た祖父母は大げさに「わぁ~!偉い偉い!」と拍手して
褒めてくれる。

はるこの店に行った、社長と圭介。
圭介が「すみません、色々。」と言うと
社長は「ん?何が?」
「いや。俺と美雨の事で皆に気を遣ってもらっちゃって。」
「うちみたいな小さな町工場はな、一人は みんなの為に
みんなは一人の為にだ。」という富美夫。
「俺は圭さんがよく決心したと思ってるよ。とんでもねぇ病気に
かかっちまった、圭さんの苦しみは想像出来ねぇけど
娘と別れなきゃならない父親の苦しみは、俺にも少しはわかる。
思い出すなぁ。アカネを嫁に出した時。あん時は正直辛かった。
誰にも言えなかったけどな。」と鼻をすすりながら話す富美夫に
圭介が「そんなに辛いんですか?娘を嫁に出すって。」と言うと
「くぅぅ~、つらいぞぉ」と思い出しても、こみ上げる辛さに
耐えかねるといった様子で話す富美夫に
圭介は「俺も美雨を育てていて、いつかは、そんな日が
来るのかな?って、なんとなく思うことはありましたけど・・。」
「まぁ、どの親子も一生一緒に居られるわけじゃねぇけどな。
特に女の子は、いつかは花嫁として送り出してやらなきゃ
いけないわけだし。そのいつかが少々早まったってことだよ。
圭さんも。な?」
「そうですね。はい。」
「大丈夫だよ。女は、みんな逞しいから。元気に
やっていくって。いつか美雨ちゃんも圭さんの気持ち
わかってくれる時が来る。どんなに離れて暮らしてたって
親子は死ぬまで親子なんだから。」と話す社長。

「こんばんは」と小太郎が二人のところへやって来る。
「母ちゃんが、今日は、こっちでご飯食えって言うから。
美雨、沼津のおばあちゃん家に行ってるんでしょ?
家で一人ぼっちで寂しいから飲みに来たな?」と言う小太郎に
「よくわかったな。さっきまでビ-ビー泣いてたよ」と笑う圭介。
すると小太郎は「ガキですね~」と大人びたことを言って
笑わせるのだった。
そこへ春子が来て「いいなぁ。うちも小太郎が一週間くらい
どっか行ってくれないかなぁ?」と言うと小太郎が
「おいおい。それ、本気で言ってるのか?」と聞き
春子が「もちろん、本気だよ」と答えると
「母ちゃん、短い付き合いだったけど、あばよ」と言って
席を立った。春子も「あばよ。気を付けてね。行ってらっしゃ~い!」
と送り出すので、小太郎は「おいおい、止めてくれよ~!」
と言いながら戻って来た。
春子は笑いながら「あっはっは。ごめん、ごめん。ご飯、食べよ」と
小太郎を抱き上げると圭介たちに「おじゃましました。ごゆっくり」と
挨拶して、奥に入って行った。

社長に「どうだ?一杯だけ」と勧められ「じゃあ一杯だけ」と
お酒を口にする圭介。なんともほろ苦い表情の圭介。

ロンドン橋を歌いながら、あや取りで橋を作って
祖父母に見せる美雨。
おやすみなさいをして、部屋に戻ると、うーちゃんに
「橋、父ちゃんが教えてくれたんだよ」と言い、もう一度
あや取りで橋を作りながら、だんだん寂しそうな表情になる美雨。
ベッドに入っても、あや取りを握ったまま、父ちゃんを
思い出している美雨。

その頃、美雨の部屋で圭介もロンドン橋を口ずさみながら
美雨の事を思い出していた。
新しいメモ帳に穴を開け、あやとりの赤い紐を通して
首に下げられるようにしていた。

病院で検査を受けている圭介。
ひとつ前の事が思い出せない。
「病気が進んじゃってるってことですか?」
「残念ながら、その可能性が高いと思います。」
「今の感じで行くと、その~、大体いつ頃、自分や家族の事を
わからなくなったりするんですか?これから、美雨に
何をしてやれるのか、それを考えるために、どうしても
知りたいんです。」
「現状から推測すると、おそらく5年ぐらいでしょう。
もちろん病気の進行速度も個人差がありますし、それ以上
遅くなることも考えられますが。美雨ちゃんの将来の為にも
今から色々と準備をしておいた方がいいかもしれません。」
と古賀は話すのだった。

病院からの帰り道、橋のところで考え込む圭介。
そこへ健太と菜子が通りかかる。
「この間は自転車、借りちゃって悪かったな」と健太に言うと
「でも、もうダメですよ」
「わかってるよ」と答える圭介。
菜子が近寄って来て
「美雨ちゃん、まだおばあちゃん家ですか?帰ってきたら
バレエの発表会の写真、見に来てって言っておいて下さい。」と言う。
「わかった。伝えておくよ」と答える圭介。

中村産業で、お昼を食べている、宗さんと明生。
宗さんが食べ終えて席を立ってしまうと、明生に千恵子が
「ねぇ、ホントに、このままでいいと思う?」と尋ねる。
「うん。結構うまいですよ。親子丼。」
「バカ。圭さんと美雨ちゃんの話。お父さんもアカネも
これでいいんだって言ってるんだけど、あたしはそうは思わないの。
どんな理由があったって、親と子が別々に暮らした方がいいなんて
間違ってると思わない?」
「ん~でも、圭さんは・・」
「無理してんのよ~。顔で笑って心で泣いて。」
「顔で笑って?心で泣く?」と?な様子の明生。
「自分の事だと思ってごらん?一番大事な人と、ず~っと
会えなかったら、どうなる?」
「生きていけないっす」
「圭さんも、もう一度、美雨ちゃんの顔見たら、考え直すと
思うんだけどなぁ」という千恵子の言葉に何かを考えている明生。

夜、ベランダに出て、美雨の朝顔のつぼみを触っていると
「朝にならないと咲かないんだよ」と、向かいの母屋の
ベランダからアカネの声がした。
「知ってるよ。それくらい。」
「だよね。・・・きれいだね。意外に。東京の夜空も。」と
タバコを吸いながら言うアカネに
「一本くれよ。タバコ」
「いいの?」
「いいから」
「じゃ、はい」と投げてよこすアカネ。
「吸わないの?」
「匂いだけ。」と言って匂いを嗅ぐと、投げて返す圭介。
「一人で眠れる?」
「馬鹿言ってんじゃないよ。子どもじゃねぇんだから」
「おやすみ」
「おやすみ」
部屋に戻るアカネ。
まだベランダに居る圭介。

うーちゃんに人参をあげながら「たくさん食べて大きくなってね。
美雨の父ちゃんはね、すごく背が高くて力持ちなんだよ。
いつも納豆を食べると根性がつくんだって言ってるの。」
「美雨ちゃん、ご飯ですよ」
「はーい」
洋食が並ぶ食卓を見て美雨は「納豆食べたい」と言う。
「納豆?」「パンに納豆か?」
「知らないの?納豆食べると、粘り強くなって
根性がつくんだよ。」と話す美雨。
顔を見合わせて、驚く祖父母。

建物から出て来た明生と圭介。
「よし。休日出勤、ご苦労さん」と圭介が言うと
「ありがとうございまっす。圭さん!」
「あ?どうした?相変わらずバカか?」
明生は「無理してんのよ。顔で笑って、心で泣いて」と言う
千恵子の言葉を思い出し「よし!」と力強く言う。
「なんだ?明生。よし!って?」と訳の分からない圭介に
車に乗り込んだ明生は「圭さん、ちょっと付き合って
欲しいとこ、あるんすけど。」
「どこ?」「海っす」「は?」
「言ったじゃないすか!今度ドライブ行きましょって。」
「やだよ。俺」「一回海見たら、気分も変わりますって。」
「勘弁してよ」「あ、着いたら起こしますんで、あ、それまで
寝てていいっすよ。」「俺、走らないよ。夕日に向かって。」
「大丈夫っすよ。俺が圭さんの分まで、走って叫びますから!
出発進行!」とハイテンションな明生。タオルをかぶり
寝てしまう圭介。
「圭さん、着きましたよ」「どこの海だよ」
「沼津です」「沼津って、お前!」「圭さん、もう一度
美雨ちゃんに会って下さい。そのために、はるばる沼津まで
来たんですから。」「じゃ、お前、最初っから・・・」
明生は、あらかじめ千恵子に、美雨へ暑中見舞いを出したいから
沼津のおばあちゃん家の住所を教えてくれと言って
沼津の住所を聞いていたのだ。
「いくら俺が馬鹿でも、圭さんの気持ちはわかります。
圭さん、顔で笑って心で泣いてるんでしょ?」
思わず明生の胸ぐらを掴み「何言ってんだよ!お前」と怒る圭介。
「とにかく一目見るだけでも。何だったら美雨ちゃんを そのまま
さらって来て下さい。昔から逃げるのだけは得意だったんで。」と
笑う明生。
一人、上原家の前に立つ圭介。
庭から美雨の声がする。
そっと覗くと、美雨が祖父母と遊んでいる。
楽しそうな美雨。
涙ぐむ圭介。
美雨のあやとりの紐と同じ自分のメモ帳を首に下げる紐を握り
戻る圭介。
「会えました?」「うん」「どうでした?」「元気だったよ」
「いいんすか?一緒に連れて帰らなくて?」「余計な気を遣わなくても
いいんだよ。」「だけど・・・」
「明生、ありがとな。・・・早く車出せ」
「はい」笑顔で車を出す明生。

一人の家に戻ると、食卓にラップをかけた、肉じゃがや
きんぴら、かぼちゃの煮物などのおかずが並べてあり
千恵子の手紙が。
「鍵、かかってなかったから、勝手に入っちゃった。
一人でも鍵はかけなきゃだめよ。
掃除も洗濯もしてあったから、ご飯だけ作っときました。
お昼もアタシの手料理だから飽きちゃってるかも
しれないけど、よかったら食べて下さい。

一人で頑張ろうとしないでね。
いつでも甘えて下さいね。
                     千恵子」
優しく温かい手紙に涙ぐむ圭介。

その後、沼津に電話する圭介。
父ちゃんからの電話と聞いて、嫌いな人参をパクッと食べると
電話に出る美雨。
「美雨、元気にしてるか?」
「うん、元気。今日ね、おじいちゃんとおばあちゃんと
パターゴルフやったんだよ♪」
「そうか。良かったな。おじいちゃん、おばあちゃんの言うこと
聞いて、ちゃんといい子にしてるのか?」
「うん。うさぎのうーちゃんとも仲良くなったの。お父ちゃんが
沼津に来たら紹介するね~!」
「おう。楽しみにしてるよ」
「父ちゃんは?病気、少し良くなった?」
涙ぐみそうになりながらも、美雨の置いて行った
四つ葉のクローバーを眺めて「うん、頑張ってるよ」
「美雨が居ないからって、タバコ吸ったりしてないでしょうね?」
「してないよ~。」
「お薬は?ちゃんと飲んでる?」
「飲んでます」
「うふふふ。あと一週間で夏休みが終わるから、会えるのを楽しみに
してます♪」と言う美雨は満面の笑みだった。
「父ちゃんもだ」と答える圭介。

ベランダに出て、切ない表情で
朝顔と月を眺める圭介。

美雨も沼津で、うーちゃんを抱っこしながら、月を眺めていた。

美雨に手紙を書く圭介。
「美雨へ。
久しぶりに電話で元気な美雨の声を聞いて、父ちゃんは
とても安心しました。初めて美雨と離れて暮らしてみて
改めて思ったんだけど、やっぱり美雨は父ちゃんの宝物です。
世界で一番大事な宝物です。だからたとえ離れて暮らしていても
父ちゃんは、いつも美雨の事を思ってます。
夏休みの最後の日、沼津に迎えに行きます。その時に美雨に
大事なお話があります。聞いて下さいね。
大好きな美雨へ 父ちゃんより」

カレンダーに×を書いて、夏休みが終わり圭介に会えるのを
楽しみに眠りにつく美雨。
「父ちゃん、おやすみ」

朝、朝顔が咲いている。
在学証明書、転出証明書など、美雨の転校に必要な書類を
まとめて封筒に入れ、美雨へ宛てた手紙も、美雨へと書いた
かわいい封筒に入れて、同封する圭介。

中村産業では、皆が明生から圭介を沼津に連れて行ったことを聞き
「なんでそんな余計なことをしたんだよ!会えば余計に
つらくなるじゃねぇか!せっかく二人の将来のために、離れて
暮らそうって決心固めたのに」と責める社長と宗さん。
「将来っていうのは、今の続きでしょ?今が楽しくなければ
明るい将来なんて、やってこないじゃない。」と千恵子は言う。
「何が言いてぇんだ?」と社長が聞くと
「いや。ハッキリ言って私は、圭さんと美雨ちゃんは
もう一度、一緒に暮らすべきだと思う。どんなことがあっても
親と子は離れるべきじゃない。一緒に暮らすべきなのよ。」
「やがて美雨ちゃんの面倒を見れなくなった時のために
美雨ちゃんの安全のために、考えに考え抜いて、圭さんは
決めたんだぞ!」と社長が言うと
「だから、もう一回、考え直した方がいいって言ってるの!」
「俺もそう思います。」と明生。
「バカは黙ってろ!」と宗さん。
「だったらハッキリ言うよ。俺だって本当は、圭さんと
美雨ちゃんは一緒に暮らした方がいいと思ってるよ!
圭さんの為にも美雨ちゃんの為にもな。だけど、圭さん家のことは
圭さんが決めるんだよ!俺たちがとやかく口を出すことじゃ
ないんだよ!」「アタシは圭さんたちの事、他人だと
思ってないもん。圭さんの事も美雨ちゃんの事も家族同然だと
思ってるもん。お父さんだって、そう言ってたじゃない!」
「それとこれとは話が違うだろ。え?俺たちがいくら心配したって
最後に、どうするか決めるのは圭さんなんだよ!」と社長が言えば
宗さんも「責任持てないでしょ?俺らは」と言うと
千恵子は「持てるよ!」「なに?」「万が一、圭さんが美雨ちゃんの
面倒を見れなくなった時は、アタシが責任を持って面倒みる!
アタシが頑張る!」ときっぱり言う千恵子。
「あたしも同じこと言った」と、それまで黙って聞いていた
アカネも話し出す。
「3年前、あたしもお母さんと同じこと言ったの。病気の
お義母さんを施設に預けようかって話になった時、あたしが
頑張るからって。だけど、その結果、あたし自身もボロボロになって
お義母さんを事故に合わせてしまったの。」
「大丈夫だよ。アタシは。どんなことがあったって絶対、美雨ちゃんを
守ってみせるから。」と千恵子が言うと、アカネは続けて
「あたしだって、圭さんと美雨ちゃんには一緒に暮らしてもらいたい!
だけど、何度も言ってるでしょ。気持ちだけじゃ、どうにも
ならないことがあるって。」
涙ぐみながら、外で聞いている圭介。
「アカネさんのお姑さんと圭さんは、病気の名前は
同じかもしれないけど、全然違うかもしんないじゃないっすか!」
「何が言いてぇんだ?お前は?」と宗さんが言うと
「だって美雨ちゃんは圭さんの実の娘だし、人それぞれ色んな親子が
いるんじゃないっすか?俺バカだから難しい話、よくわかんねぇけど
大切な人と一緒に居たいと思うのは、そんなの当り前じゃないっすか!
俺らが支えてあげることで、圭さんと美雨ちゃんが離れ離れにならなくて
済むなら、俺、頑張りますから!」と言う明生。
「すみません、今ちょっと言い過ぎました」とアカネに謝る明生。
アカネは部屋を出て行く。
圭介は、外で黙って頭を下げる。


美雨の部屋におばあちゃんがやって来て美雨に
「父ちゃんから、お手紙よ」と渡してくれた。
美雨は、さっそく手紙を読む。
美雨が宝物だと書いた手紙に笑みがこぼれる美雨。
最後の「お話があります」というところで
「お話?」と少し考える様子の美雨。

******************************

周りの皆が、それぞれにとても真剣に、圭介と美雨のことを

思ってくれているのが、よくわかる回でした。

千恵子さんの大きな愛を感じましたね。

社長も一緒に頑張ろうと言ってくれた時と同じく

すごくわかってくれている。

大事なところで、圭介の決めたことを一番に考えてくれようとしているのは

さすがですよね。

一方、おじいちゃん、おばあちゃんは美雨に

とっても優しくしてくれていますが

少し甘すぎる気もしますね。

孫に対してだと、どうしてもそうなってしまうのでしょうか?

きちんと叱ってもらえるのか、も気になりました。


とうとう明日は、美雨に父ちゃんの病気の事を全部打ち明けるようです。

その時、美雨の気持ちは?

父ちゃんは、どうするのか?

目が離せません。


今週もフォトギャラリーより

圭介と美雨の電話のシーンです。
beautifulrain9.jpg


ところで、タグを打っている時、豊川さんを一番に打っているのですが いつもUPすると順番が変わってしまって、中谷さんが一番最初になります。 どうしてなんでしょう?他の記事では、そんなことは無いと思うのですが。
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ビューティフルレイン第8話 [豊川さん]

ビューティフルレイン第8話 (1週間遅れの先週放映分の記事です)

義母からの電話は、美雨を沼津で引き取った方が
いいのではないか?出来れば圭介も一緒に、こちら(沼津)で
暮らすのがいいのではないか?という提案だった。
圭介の仕事も義父の口利きで何とかなるというのだ。
来週の美雨のバレエの発表会の時に上京するので
その時に相談しようということだった。

美雨はバレエの発表会に祖父母が来てくれると言うので
喜んでいた。
社長夫妻に電話について尋ねられると、圭介は
4人で沼津で暮らさないかと言われたことを明かし
一応、考えてみると答えたと言う。
部屋に戻り美雨の寝顔を眺めながら「大丈夫だよな?このまま
父ちゃんと一緒で」と、つぶやく圭介。

バレエの発表会当日。
美雨は家で音楽をかけながら、最後のおさらいをして見せる。
「ブラボー!パーフェクト!」と手を叩く圭介。
「大きくなったらバレリーナになろうかな?」
「あれ?この間はケーキ屋になるって言ってなかったっけ?」
「ケーキ屋さんやりながらバレリーナもやって、幼稚園の先生もやるの」
「お~う!美雨も将来、忙しいな~!」笑いあう二人。
「よし、行くぞ!衣装とシューズ、ちゃんと持ったか?」
「うん。父ちゃん、カメラ持った?」
「持ったよ!」とカメラを見せる圭介。
「よし、レッツゴー!」
「ウエイト!ジャスト・ア・モーメント!
おばあちゃんたち、迎えに行かなくていいの?」
「直接会場に行くから大丈夫だって」
「わかるかな?区民会館の場所」
「大丈夫だよ。ちゃんと地図の付いた案内状、送ってあるから」
「じゃあ、OK」
「レディ~!」
「GO!」と言った途端、走り出す美雨。
「あ!美雨、きったねぇ!」と追いかける圭介。

社長宅では、皆で昼ご飯を食べたりしている場所の灯りを
明生が取り付けていた。
「ありがとうね。悪かったわねェ。おデートの前に」と千恵子。
「その分、ボーナス、上乗せしてもらいますからね」と笑う明生。
「あ、そういえば今日っすよね?美雨ちゃんのおばあちゃんたちが
上京して来んの」
「今更何を話し合うんだろうね?圭さん、当分二人で
頑張っていくって、ちゃんと伝えたのに」と千恵子。
「だけど、今は良くても、3年後、5年後の事まで
誰も責任持てないでしょ?」とアカネ。
「大丈夫よ。あたしたちだって付いてるんだから。」
と千恵子が言うと「そうっすよ。住めば都って
言うじゃないですか!」明生。
「日本語の使い方、間違ってる」
「じゃ、石の上にも・・3年?」
「全っ然違う!」
「アルツハイマー病は、まだまだ未知の病気で
病状がなかなか進行しない例もあるけど、逆に急激に
進行して、取り返しのつかない事が起きちゃう可能性だって…。
例えば…火を消し忘れて火事を出しちゃうとか」とアカネが言うと
「まさか」と驚く千恵子。
「まぁ、いずれにせよ。圭さん自身がしっかり結論を出すよ。」
と富美夫が言うと千恵子も「そうそう」と頷き
「それよりほら、発表会に行く準備しなくちゃ」と慌てる千恵子。

美雨と圭介が手をつないで歩いていると
クラウンの鼻をつけた人が風船でタコを作って
拍手を浴びていた。
美雨も夢中で見ている。
圭介は写真を撮ろうとして、新しいフィルムを
持ってくるのを忘れたことに気付く。
美雨に「この先に(フィルムを)売っているところがあるから
ちょっと行って(買って)来る。」と言うと美雨は「え~?じゃ、美雨
ここで待ってていい?」と言い、圭介は「いいけど。じゃ
帰って来るまでココを動くなよ」「OK」と言って
圭介は一人でフィルムを買いに行った。

お店でフィルムを買い、お金を落とした、お年寄りのお金を
一緒に拾ってあげ、その場を去ろうとした圭介は
次の瞬間、自分がどこへ行こうとしていたのか思い出せず
ノートを開いて、美雨のバレエの発表会に
行こうとしていたことを思い出す。
が、圭介は美雨を待たせていたことを忘れて
美雨の後ろを素通りして、一人で会場に向かってしまう。

楽しそうに見ていた美雨は、クラウンに手を取られ
かわいいプードルを作ってもらい、大喜びする。
だが、その後クラウンがパフォーマンスを終え、移動してしまっても
圭介はまだ戻って来ず、不安になって、きょろきょろする美雨。
その時、警官を見付けて駆け寄ろうとした美雨は
自転車の若者にぶつかって倒れ、腰を打ってしまう。
人が集まって、大丈夫か?と心配しているところへ
沼津から来て、会場に向かう祖父母が通りかかった。
「早く救急車を・・・」

圭介は会場に着いて、美雨を探すが見当たらず
菜子に尋ねると小太郎が「まだ来てないっすよ」と言い
菜子も「一緒に来たんじゃないんですか?」と怪訝そうな顔をする。
会場内をいくら歩いて探しても美雨は居ない。
その時、会場に着いたアカネと千恵子が圭介に声をかける。
「美雨が居ないんです」
「え?」驚く二人。
その時、圭介の携帯が鳴り、三人は病院にかけつける。
ベッドに横たわる美雨。
カバンを床に落とし、ベッドに近づく圭介。
「自転車と、ぶつかって腰を打ったらしい。頭も打った可能性が
あるんで、一晩入院して様子を見た方がいいだろうって」
と義父が説明すると「かわいそうに。バレエの発表会当日に。
圭介さん、一体どういうこと?」と義母。

廊下で話す、圭介と義父母。
「つまり美雨ちゃんが駅前で待っているのを忘れて
一人で先に会場へ行っちまったってことかい?」と義父。
「待っててって言ったことを覚えてないの?」と義母。
そう言われても何にも言うことが出来ない圭介は
「こんなことになってしまい、本当に申し訳ありませんでした。」
と言って頭を下げる。
「やっぱりこの先、二人だけで暮らしていくのは難しいんじゃ
ないかしら?現に、こういう事が起こったのは、病気が…
(一瞬言いよどみ)進行してるってことじゃないの?」と義母。
「どうだろう?沼津に来て、4人で一緒に暮らすというのは?
仕事の都合で、すぐに引っ越しするのが無理だと言うなら
とりあえず美雨ちゃんだけでも、うちで先に預かるという
選択肢もあるし・・。」と義父は言い
義母も「今、圭介さんが決断しないと、それこそ
取り返しのつかないことが起きるかもしれないのよ。」
と言うのだった。

目を覚ました美雨に、アカネと千恵子が
「美雨ちゃん、気分は、どう?腰、痛くない?」と声をかける。
「大丈夫」と答えた美雨に「良かった」と安堵する二人。
目線を動かし「父ちゃんは?」と尋ねる美雨に
「今、ロビーで、おばあちゃんたちとお話ししてるの。」
と答える千恵子。
「何の話?」と美雨が聞くと
「何も心配しなくていいから。怪我や病気をした時は
体を治して元気になることだけ考えなさい」
と千恵子に言われる。
それを聞き、考えている表情の美雨。

祖父母と圭介が入って来て、祖母が「美雨ちゃん
気が付いたのね?良かったぁ。先生がね、今日は一日
病院で、いい子にしてなきゃダメだって。」
「おじいちゃんたち、いったん沼津に戻るけど
すぐに又、東京に来るからね。」と祖父が言うと
美雨は頷き「発表会、見せてあげられなくて
ごめんなさい」と謝る。
すると祖母は「美雨ちゃんが謝ること、何もないわよ。
それより父ちゃんと、よ~く話し合ってみてね」という祖母に
怪訝な表情で圭介を見る美雨。
祖父が祖母の腕をそっと叩き、それ以上は言うなという風に
すると、祖母も「バイバイ」と美雨にいい
皆に「じゃ、失礼します」と挨拶して病室を出て行った。
千恵子は「それじゃ、あたし、駅まで送りがてら
美雨ちゃんの着替え持ってくる」と言い、一緒に出て行った。

圭介は美雨に近づくと「美雨、ごめんな。父ちゃんのせいで」
と謝る。すると美雨は首を振り「バレエの発表会は
又、来年頑張る。」と笑顔を見せ「おばあちゃんたちと
何話してたの?」と尋ねる。
複雑な表情の圭介。
見守るアカネ。
そこへ圭介の主治医の古賀が入って来た。
「木下さん。」「あぁ先生。」
「美雨ちゃん、大丈夫?」「はい」
「救急で運ばれたって聞いたものですから。」

病院の途中階の庭のような場所で話す圭介と古賀。
「娘さんの為にどうしたらいいか、冷静に考えられるのは
病状の軽い、今だと思います。今後もし、病状が悪化して
自分の感情がコントロール出来なくなったり、判断力が
衰えてから、単純に離れたくないという、その感情だけで
決めてしまうと、お互いのために、いい結果は出せないかも
しれません。」と言う古賀。
「ただし、美雨ちゃんと別居するのは、木下さんにとって
最も環境を変えてしまうことになると思いますし、そこは
慎重に考えた方がいいと思います。難しい問題ですね。」
と続けた。

病室で美雨はアカネに「父ちゃんに病気を治すことだけ
考えて貰うには、どうしたらいいのかな?美雨と一緒に
居ると、父ちゃん、いろいろ大変だよね。」と言う美雨に
アカネはニッコリ笑って「そんなことないよ~」と言うと
美雨のほっぺを触るのだった。

病室に圭介が戻って来て、アカネも「帰るね。又明日ね~」
と美雨に言って廊下へ出る。
追いかけて来た圭介に「先生、なんて?」と尋ねるアカネ。
黙っている圭介に「実はね、お義母さんが亡くなるきっかけを
作っちゃったのは私なの。」と話し出すアカネ。
「お義母さんって、アカネちゃんが介護してた?」と
驚きながら、尋ねる圭介。
アカネは頷くと「同居を始めて一年位経った頃、アルツハイマー病が
中期に進行して、お義母さん、勝手に一人で家を出て行って
外を歩き回るようになったの。施設に入ってもらう事も考えて
いろいろ調べて、実際に見学にも行ったんだけど。」
自分も見学に行った施設の様子を思い出す圭介。
アカネは続けて「何だか、お義母さんがかわいそうに
なっちゃって・・。もう少し頑張って、一緒に暮らしてみようって
・・・。だけど夜中、私が寝ている間に、一人で家を出て行って
交通事故に遭っちゃったの。その事故をきっかけに寝たきりになって
結果、お義母さんの病気は、どんどん進行して、そのまま
亡くなってしまったの。もっと早く施設に入っていれば
防げた事故だったかもしれない。だから、私と同じ後悔を
圭さんにはして欲しくないの。」と涙ぐみながらも
きっぱり言うのだった。
「もちろん最終的は、圭さん自身が決めることだと
思うんだけど・・。」

夜、美雨の隣にベッドを並べ、横に寝そべっている圭介に
美雨は「ねぇ、父ちゃん、美雨が自転車にぶつかっちゃったから
おばあちゃんたちに怒られちゃった?」と尋ねるが
圭介は「そんなことないよ」と答え「なぁ、美雨。神様って
いると思うか?」と聞く。
美雨は「わかんない。なんで?」と圭介を見つめる。
圭介も美雨を見つめたまま、それには答えず「おやすみ」と言うと
美雨も「おやすみなさい」と言って目を閉じる。
その後、古賀と昼間話した庭で、一人、芝生の上で
考えている圭介。
その頃、美雨も一人ベッドの上で「怪我や病気をした時は
治すことだけ考えなさい」という言葉を思い出していた。

翌朝、美雨が目を覚まし「おはよう」と言うと
気分は悪くないか、腰が痛くないかを確認して
「だいじょうぶいぶい」と笑う美雨に
「それじゃ、予定通り家に帰れるな。」と言い
「その前に、ちょっと話したいことがあるんだけど・・。」
「何?」
「おばあちゃんたちから、夏休みが終わるまで沼津に来ないかって
誘われたんだけど、美雨、行ってみないか?」と切り出すと
美雨はじっと父ちゃんの顔を見て「行く!美雨、行きたい」と
予想外に即答した。
「でも、父ちゃんは行かないんだぞ。美雨、一人で行って
何日も泊まるんだぞ。それでもいいのか?」と言うと
「父ちゃん、仕事あるじゃん!大丈夫。一人で沼津に
行って来る。」と言い「そうか。わかった」と言う圭介に
「やったぁ」と笑って見せた。

美雨をおんぶして、家路に着く圭介。
病院から沼津に電話を入れ、「美雨には、とりあえず夏休みの間だけと
話し、引っ越しや転校については、少し様子を見て、あらためて
ちゃんと話したいと思ってます」と伝えた。

その夜、社長夫妻やアカネに、そのことを話すと
「一人、沼津に行くことを美雨ちゃん、納得したの?」と千恵子は尋ね
「美雨には、とりあえず夏休みの間だけだって伝えました」
と答える圭介。
「だけど実際は、そのまま引っ越しちまうっていう方向なんだろう?
ほんとにいいのか?それで?」と社長は言い
「そんな。ダメよ。美雨ちゃんがかわいそうじゃない。
あたしたちだって付いているんだから・・だいじょう・・・」と
千恵子が言いかけると、圭介がその言葉を遮り「俺だって、もちろん
美雨と離れ離れになりたくはありません。だけど俺は、この先も
ずっと今の病気と付き合っていかなきゃいけないんです。
決して治らない病気と。そのうち自分が誰だかわからなくなって
美雨の事すら忘れちまう。そんな俺に、あの子、付き合わせるわけに
いかないじゃないですか!あの子、まだ八つなんですよ。俺のせいで
美雨の将来をめちゃくちゃなんかにはしたくない。俺のせいで
美雨の夢をめちゃくちゃになんかしたくない。俺は、あの子の
親だけど、でも、あの子の親だから、一緒にいちゃいけないんだって。
決めました。美雨の将来のために。」と涙ながらに訴える圭介に
それ以上は何も言えなかった。
社長は「寂しくなるなぁ」とだけ、言うのだった。

翌朝、朝顔に水をやる美雨。
それを見ただけで涙ぐみそうになりながらも堪えて
いつものように「じゃ、今日も、はりきって仕事行って来るわ」と
言う圭介。美雨は「あ!父ちゃん、宿題終わったら
菜子ちゃんとこ、行って来る」と言う。「何しに?」
「発表会、どうだったか聞きたいし、沼津に行ったら、しばらく
会えなくなっちゃうから」と答える。
圭介は「腰、大丈夫か?」と心配するが
「うん。いってらっしゃい」とVサインを出して
笑顔で見送る美雨。
「行ってきます」と出かける圭介。
何か決心したような顔の美雨。

八百屋の店先では、又、菜子が、健太に水をかけ
魚屋も派手に水をかけてしまう。
そこへ通りかかった美雨。
菜子が「美雨ちゃん。自転車とぶつかっちゃったんだって?
大丈夫?」「うん。全然大丈夫。」
「どこに行くの?」と尋ねると「ちょっとね。バイバイ」と答えて
一人、歩いて行く美雨。

工場で仕事している圭介。
宗さんが「しかし、よく決心したな。圭さんも。」と言えば
明生も「ホントにいいんすか?」と尋ね「うん。」と答える圭介に
「まぁ、たしかにじいさん、ばあさんと一緒なら、心配ねぇかも
しれねぇけど」と宗さんが続け、明生も「まぁ、圭さんには
俺がついてるしね」と言えば、宗さんが「余計に心配だよ」
「どういう意味ですかぁ?」というやり取りがされていた。
「圭さんと俺はね、兄弟分みたいなもんなんすよ。
ね!圭さん」と言う明生に圭介は「明生。」と呼びかけ
「なんすか、兄貴」という明生に「相変わらずバカか」と言うと
「もう勘弁して下さいよぉ~」。笑う宗さんに
「笑い過ぎ」と怒る明生。

夜、玄関先で美雨のサンダルを見て、なんでこんなにサンダルが
汚れているのか?と聞く圭介に「菜子ちゃんと公園で
鬼ごっこやったの。」と答える美雨。
「又、随分どろんこになってやったんだなぁ?」と言うのを聞き
部屋に戻ってしまう美雨。
「明日からの荷物、まとまったか?」圭介が部屋に入ると
「このファイル、二学期になってから使うから、ここに置いといてよ」
「わかったよ」
「それと、この中のシール、勝手に使わないでよ」
「シールなんか使わねぇよ」
「鉛筆削りも持ってっといた方がいいかな?」
「う~ん、持ってった方がいいかもな。」
「でも荷物になるし。全部削っとけば平気かな?
たった二週間だもんね」と言う美雨に
「なぁ、美雨。寂しくなったら、いつでも電話しろよ」と圭介が
言うと「寂しくなるのは、父ちゃんの方じゃないのかなぁ?」と
笑って言う美雨。それを聞いた圭介は「何言ってんだ!父ちゃんは
だいじょうぶい」と言って荷物を詰め込む。
「夏休み最後の日に、父ちゃんが沼津に迎えに来てくれるの?」
「それは・・・」と言いよどむ圭介。
「まだわかんない?」
「うん」
「ねぇ、どうしたの?」と不思議そうな顔の美雨。
次の瞬間、くすぐりっこが始まった。
その後、「じゃ、おやすみ」と部屋を出て行こうとした圭介に
「美雨が寝るまで、一緒に居てよ」と美雨が言うが
圭介は「一人で寝ろ。沼津行ったら、朝起きるのも着替えするのも
何でも一人でやんなきゃいけないんだから。」
「だから今日だけ、一緒に寝てあげるって言ってるの」と美雨が言うと
またくすぐりっこを始めるふりをして、ベッドに倒れこみ
「おやすみ」と向こうを向いて寝てしまう圭介。
「え~!もう寝るの?仕方ない。寝てあげるか」と言って
圭介にタオルケットをかけ、抱きついて眠る美雨。

翌朝、いつもの食卓。
「頂きます」
「いいか美雨。沼津に行ったら、人参もしいたけも好き嫌いしないで
ちゃんと食べるんだぞ」「わかってる」
「それから納豆も食わなきゃだめだ。納豆を食うと・・・」
「粘り強い人間になるんでしょ?もう何回も聞いた。」
「父ちゃんこそ、お薬は、ちゃんと飲んでね。」
「わかってるよ」
「美雨が居ないからって、タバコを吸っちゃダメ。
規則正しい生活をして、早く病気を治して下さいね。」
「はい。」
「あと、朝顔に水やるの、忘れないでね。美雨が帰って来るまで
絶対に枯らしちゃダメだよ。」
「はい」
「もっと元気よく!」
「はい」

「これ、全部美雨が持つの?」
「だって、全部美雨の荷物じゃないか」
「ねぇ、父ちゃん、全部持って」
「甘えるんじゃない。」
何とか抱えて全部の荷物を持つが、よろけてしまい
「無理だよ。やっぱり。」
と言う美雨に「しょうがないな。じゃ、これは持ってやるから」
と言う圭介に「やったぁ。レッツゴー」
表には、アカネや中村産業の皆が勢ぞろいして見送ってくれた。
「行ってきます」と元気に挨拶する美雨に
「行ってらっしゃい」と笑顔で見送ってくれる皆。

二人が歩き出すと千恵子が「美雨ちゃん、本当に大丈夫かしら?」
「つらいのは圭さんの方だな。」と社長。
鼻をすする明生。
「泣くな、ばか」と宗さん。
アカネも涙ぐむ。

八百屋の前で菜子と会う。
「美雨ちゃん、どっか行くの?」
「夏休みが終わるまで、沼津のおばあちゃん家。」
「いいなぁ」「いいでしょう♪」
「じゃ、又帰ってきたら一緒に遊ぼうね」という菜子。
二人のやり取りを不思議そうな顔で見ている圭介。

高速バスの待合所に着くと、祖父母が待っていて
さっそく美雨とおばあちゃんは、お菓子を買いに行く。
その間、話す圭介と義父。
「よく決心してくれたね。転校の手続き、来週にも
しようと思うから書類が揃ったら、送ってくれないか?」
「はい。」
「バレエ教室も車で送り迎え出来るところを見付けといた。」
「色々済みません」
「いやあ。どうだろうねぇ。一緒に引っ越してくることは
出来ないかねぇ?」
「仕事もありますし。。。美雨のためにも、その方が
いいんじゃないかと思って」
そこへ美雨が走って来た。
「父ちゃん、こんなに買ってもらっちゃった」と嬉しそうに
お菓子の入った袋を見せる美雨。

バスの発車時刻が近付き「じゃあな」と言う圭介に
「シーユーアゲイン」と言って、乗り込む美雨。
「父ちゃん、行ってきます」
走り出すバス。
追いかけて「行ってらっしゃい」と手を振る圭介。

ずっと外を見ている美雨。

圭介は声をかけられるのも聞こえ無い様子で
ずんずん歩いて行く。
外を歩いていても、部屋の中でもベランダでも
美雨との様々な思い出がこみ上げる。

美雨は荷物の中から、父ちゃんとのプリクラを張ったケースを
取り出し、大事そうに抱えながらバスの中で眠っていた。

圭介は、妙子の写真に向かって、約束を守れなくてごめんと
謝っていると、妙子の写真の向こうに、見慣れないものが
あるのに気付く。
そっと取り出すと、かわいい封筒で、中には紙が入っていて
四つ揃った、四つ葉のクローバーが張られており
「父ちゃんのびょうきが なつやすみがおわるまでに
なおりますように」と書かれていた。
あらためて、最近の美雨の様子を思い出し、腑に落ちた圭介。
じっと紙を見つめている。

******************************

圭介が美雨ちゃんを待たせているのを忘れてしまい

美雨ちゃんが自転車とぶつかってしまう事故が起きました。

たいしたことは無かったから良かったけれど、そのために

沼津の祖父母のところへ美雨を行かせることになってしまいました。

離れ離れにはなりたくないけれど、娘の為を思い、1人行かせる決心をする圭介。

一方、美雨も自分がいると、父ちゃんは色々大変だから、父ちゃんが病気を治すことに

専念出来るように考えて、沼津行きをOKしたのですね。

お互いに相手の気持ちは知らないままに、相手のことを考えての決断というところに

グッと来ました。

最後に美雨がそっとママちゃんのところに置いて行った

「なつやすみがおわるまでに 父ちゃんのびょうきがなおりますように」と

書かれた紙と4つ揃ったクローバーに、美雨ちゃんの気持ちが痛いほど表れていました。

今回もフォトギャラリーより
beautifulrain8.jpg



今朝は、てけちゅうの午前2時半出勤があり、今日の空いてる時間は

ほぼこの記事を書くのに費やしてしまいました。

なかなか訪問が出来なくて、すみません。<(_ _)>


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ビューティフルレイン 第7話 [豊川さん]

「まずママちゃんのお墓参りに行くでしょう?
次に、スカイツリーに上るでしょう?その後、浅草でお買い物?
その後、遊園地?」と美雨が聞くと
「うん、しょうゆうこと。」
「動物園は?」「時間的に遊園地か動物園か
どっちかだな。」と圭介。
「じゃ、遊園地。おじいちゃんとおばあちゃん
明日何時ごろ来るって?」
「朝一番のバスで沼津出るって。」
「う~ん、早く明日にならないかなぁ。」と
楽しみで仕方が無い様子の美雨。
「その為には、まず何をしたらいいと思う?」
美雨は考えて「早く寝る」と答える。
「正解」と笑う圭介。
「その前にやることは?」
「宿題やっちゃう」
「正解」
「その前に、まず今すぐやらなきゃいけないことは?」
「今すぐ?何だろう?」一生懸命考える美雨。
「朝ご飯、食べる」と正解を教える圭介。
「なるほど~。言えてる。頂きま~す」と手を合わせる美雨。
「ほら。納豆食べて夏バテしない根性つけとけ」と圭介。
テーブルには、ご飯、お味噌汁。冷奴、目玉焼き。
そして、野菜のおかずも3品ほど並んでいる。
「粘り強い人間になろう!オゥ~!」と手を挙げる美雨。
いつもの幸せな食卓を囲みながら圭介は、主治医の古賀に
言われた「この先、美雨ちゃんと二人だけで暮らしていくのは
難しくなるかもしれません。早めに一緒に美雨ちゃんを
見てくれる人を探した方がいいと思います」という言葉を
思い出していた。
考え込むような表情の圭介を見た美雨に
「父ちゃん、どうしたの?何か心配なことでもあるの?」
と聞かれるが「明日、晴れたらいいな」とほほ笑むのだった。
にっこり微笑み頷き合う父娘二人。

工場では、明生が「ダメだ。間に合わない」と言うと
「納品から帰ったら(やりかけの仕事を)仕上げるから、このまま
置いておいて下さい」と言って出かけて行った。
「自分たちでやっておこうか?」と言う圭介に
「初めて一人で任された仕事だから、最後まで自分で
やりたい」と言って出て行った明生に、宗さんも
「なんだかんだいって、アイツも一人前になったな」
と言うのだった。
「そういえば、明日、美雨ちゃんのじいさん、ばあさんが
沼津から出てくるんだって?美雨ちゃんとは
どれくらいぶりだ?」「一年ぶりです。」
「じゃあ、ばあさんたち、楽しみにしてんだろ?」
「美雨もすごく楽しみにしてるんですけど・・。」
「けど?」「いや。」微笑み返す圭介。
何か言いたそうな様子の宗さん。

事務所では、社長が計算が合わず、計算機片手に
「どうなってるんだ?おめぇは!」と怒鳴っていて
千恵子に「計算機に怒鳴っても、しょうがないでしょ」と
なだめられる。
「どうやっても合わねぇんだよ」
「字が汚いからでしょ」「そういう問題じゃねぇよ」と
いつものように言い合う二人。
アカネが出て来て「何なの?朝から」
千恵子が「お父さんがいつものアレ。帳簿が合わない病」と
答えると「そんな病気があるか~!」と返す富美夫。
アカネは「ちょっと貸して」と手書きの帳簿を受け取り
「ずっとこのやり方?」と尋ねると「他にどんな方法が
あるんだよ」と答える富美夫。

そこに美雨が入って来て「千恵子おばちゃん、宿題終わったから
バレエに行って来る」と言う。
「今日も菜子ちゃんと一緒?」と千恵子に尋ねられ
「うん」と頷き、アカネに「明日、おじいちゃん、おばあちゃんに
会えるの楽しみだね」と
言われて満面の笑みで頷くと「行ってきます」と
元気に出かけて行った。

富美夫が「アカネ、どうすれば帳簿、合うようになるんだ?」
と聞くと、アカネは帳簿を返し、ちょっと待っててと言って
PCに向かい「ここに収支を打ち込めば、勝手に計算してくれるの。
打ち込むのは、ちょっと手間だけど、この先楽になるから、やって
おいた方がいいよ。」と両親に話すと感心する二人。
「俺に覚えられるかな?」「無理でしょ。お父さんには」という
二人のやり取りを聞いたアカネは「じゃ、あたしやろうか?」と言い
「え?これ全部?」と驚く千恵子に「バイト代、時給一万円で
どう?」「時給一万?」驚く富美夫。
「冗談よ。家賃に光熱費、食費分くらい働かないと
あたしも肩身狭いし・・」とアカネが言うと
「じゃ時給100円で頼むわ、な」と富美夫が言い
「ダメよ。いくら身内でも、せめて時給150円は
あげないと。」と言う千恵子。
これにはアカネも「ひど~い!言っとくけど、経理手伝うからには
経費削減にもビシビシ、口出させてもらうからね」と返すのだった。
これに千恵子は「お父さんは節約、節約って口ばっかりなの。
ビシッと言ってやってよ」と言い、富美夫は「まぁ、ひとつ
お手柔らかによろしくお願いしますよ。先生」と言い
笑いあう三人。

八百屋の店先で水撒きをする菜子。
健太とバレエの発表会の話をしながら歩いてくる美雨。
「わぁ~!」美雨が大声を上げて、飛び退くと
「わ!」と言って健太に水をかけてしまう菜子。
「美雨ちゃん、大丈夫?」とすぐに美雨に声をかける菜子。
「美雨は大丈夫だけど」と言いながら、健太を見ると
「大丈夫」と言いながら笑っている健太に
「すみません」と謝る菜子。
「健太君、涼しくなって良かったな」とタオルを投げてくれる
隣の魚屋のおじさん。
「ありがとうございます」と受け取るが魚臭いタオル。
菜子ちゃんのお父さんが「菜子、広い道に出たら、ちゃんと
(美雨ちゃんと)手を繋ぐんだぞ」と言うと
「うん、わかってる。」と答え、エプロンを外す菜子。

中村産業では、圭介、宗さん、社長が昼食を取りながら
話していた。
「つまり、美雨ちゃんのおじいちゃん、おばあちゃんに病気の事を
どう伝えるか、悩んでるってことか?」と社長。
「出来るだけ、心配かけないように言いたいんですけど」と圭介。
「あぁ、なるほど。それを今朝から考えていたのか」と
腑に落ちた様子の宗さん。
「どう伝えたって、心配されるだろう」と社長。
「年寄りは心配性だからな」と宗さんは言い
「まだ言わなくてもいいんじゃない?そういう事なら
美雨ちゃんを引き取りたいなんて言ったらどうするの?」
と話す千恵子。
「それありうるな」と社長。
「だけど、いつまでも黙っているわけには・・・」と圭介。
「今すぐ言わなきゃいけないってことでもないでしょう?」
と千恵子。「確かに離れて暮らす年寄りに余計な心配
かけねぇ方がいいかもな」と社長。
宗さんも「まだ言わない方がいいよ」と言う。
「そうですかねぇ」と答える圭介。
PCに向かいながらも、心配そうに黙って聞いていたアカネは
千恵子から「ねぇ、アカネ。あんたもそう思うでしょ?」と聞かれ
少し迷いながらも「私は、ちゃんと話した方がいいと思う。
病状を正直に話すことはもちろん、今後症状が悪化した時に備えて
美雨ちゃんをどうするか、きちんと相談しておいた方がいい。」
と答える。
千恵子が「圭さんと美雨ちゃんが離れ離れに暮らすことに
なったらどうするの?」と言うと「いずれは考えなきゃいけない
ことでしょう?」と言い、千恵子が「だけど、まだ症状も軽いし
普通に暮らす分には対して問題ないんじゃない?」と言うと
「問題が起きてからじゃ遅いのよ。ハッキリ言って私は
別居するなら早い方がいいと思ってる。」と言うが
千恵子は「なんで、そんな冷たいことを・・」
宗さんも「美雨ちゃん、かわいそうじゃないか」と言い
社長も「頑張れば何とかなるって」と言い
千恵子も「そうそう!あたしたちもついてるし、ねぇ。」と言うが
アカネは「気持ちはわかるけど、頑張ってもどうにもならない
ことだってあるでしょう?」と言い、「何か事故が起きてから
後悔しないためにも、ちゃんと先々の事、考えておいた方がいい。」
と続けるのだった。
考え込む圭介。

そこへ息を切らした明生が入って来て「ちょっと来て下さい」と言う。
皆で外に出ると、明生が廃棄物の中から、自分の作りかけの
部品を取出し「これ、廃棄したの、誰ですか?」と聞く。
「俺だけど」と圭介。「なんで?」と明生。
「だって、廃材料の上に置いてあったから」と言うと
明生は「俺がやりかけてる仕事だから、このまま置いといて
下さいって、言って出かけたじゃないですか?」と言うが
圭介は思い出せない。
「圭さん。俺が出かける前に言ったこと、覚えてないんですか?」と
言う明生に「すまん」と頭を下げる圭介。
「どういうことすか?」と怒る明生。
「明生、俺・・・」と圭介が言いかけると、社長がそれを遮って
「明生、ちょっと来い。話がある。」と明生に言う。
いぶかしげな明生。
まだ、圭介に何か言いたそうな顔をしているが、社長について行く。
「オレ、何か悪いこと言いました?」と訳の分からない明生は
そこで社長に「圭さんはな、若年性アルツハイマー病なんだ」と
明かされる。
「じゃく?」と、よくわからない様子の明生に、千恵子が
もう一度、病名を聞かせ「今までの事をどんどん忘れて
行ってしまう。一生治らねぇ病気にかかっちまったんだよ。」
と社長に言われ、あまりのことの重大さに衝撃を受ける明生。

バレエ教室でレッスンしている美雨と菜子。
休憩に入ると、菜子が「あそこの遊園地のメリーゴーランド
すっごくかわいいから、絶対写真撮ってもらった方がいいよ」
と美雨に言う。
「あと、ゴーゴーコースターは結構怖いから、美雨ちゃん
泣いちゃうかもなぁ。」と言われると、美雨は「平気だよ」と返し
「どうかなぁ?」と言う菜子に「絶対泣きません」と
口を尖がらせて言うと、二人で笑い合うのだった。

社長から話を聞いた明生は泣きじゃくる。
社長は「もう泣くな。いい年して。」と言うが
「だって」と涙が止まらない明生。
千恵子が「言っておくけど、美雨ちゃんは薬を飲めば治ると
思っているから、余計なことは言わないでね」と話す。
頷く明生。

圭介と宗さんが廃材の中から、明生の作りかけの部品を
取り分けている。
明生が出て来て「圭さん」と声をかける。
「俺、何も知らなかったから・・・。
すいませんでした。」と頭を下げる。
それを聞いた圭介は明生に歩み寄ると「謝るのは俺の方だ。
お前が謝ることは何も無い。本当に迷惑かけて悪かった。」と
頭を下げた。
すると明生は泣きながら「俺だって、圭さんには今まで散々
迷惑かけて来たし、上手く言えないけど・・・」言葉に詰まる明生。
圭介は、その肩をつかむと「ホラ。今日中に仕上げなきゃ
いけないんだろ?な!」とはっぱをかけた。
「ほら、仕事仕事。」と宗さんも言って、作業に取り掛かる。

富美夫と千恵子は「明生のやつ、だいぶショックを受けてたな。」
「そりゃあ誰だってショックよ。一生治らない病気だなんて
聞かされたら。」と話していると、アカネが「でも一番つらいのは
圭さんだと思うけどね」と言い、千恵子も「そうよね。そりゃ
その通りだ。」と頷く。
富美夫はアカネに「この間、3年も拓哉君のお義母さんの介護を
してたって言ってたけど、もしかしてあれ・・・」と言いかけると
「もちろん若年性じゃないけどね」とアカネ。
「えぇ~?アルツハイマー病だったの?」と驚く千恵子。
「やっぱりそうか。でなきゃ、あんな風に強く言えねぇ
と思ったんだ。」
「そういうことだったの。あぁ、ほんとにどうするのが一番
いいんだろうねぇ?」と千恵子。
そこに「社長」と言いながら入って来た宗さんと明生。
「なんだ?金ならねぇぞ」
「知ってるよ。今夜ちょっと付き合ってくれよ」と宗さん。
「お願いします」と、いつになく真面目に頭を下げる明生。

美雨はポシェットを並べて悩んでいる。
圭介が入って来て「まだ迷ってんのか?早く歯磨きして来い。
明日寝坊したらどうするんだ」と言われ
「だって・・・。」と言いながらも「じゃ、コレにしよ」と
1つに決める。
圭介は「父ちゃんの病気の事なんだけど、おじいちゃん
おばあちゃんには、父ちゃんから、ちゃんと話すから
美雨は何も言わなくていい。わかったな」と言う。
美雨は笑顔で「うん。わかった」と返事する。

小料理はるこに行った、社長と宗さん、明生の3人。
「社長、圭さんの病気は本当に絶対に治らないんですか?」
「大学病院の先生がそう言ってるんだから・・」
「いつ?誰が?どこで?何時時何分何秒?地球が何回
回った時ですか?」と話していると、春子が「圭さん、病気なの?
いつから?」と聞くので社長が「いや、たいしたことじゃないんだ」
と言うと「言っとくけど、病気になった時は、お医者様に
遠慮しちゃダメよ。この薬は効くんですか?とか、いつ
治るんですか?って、どんどん質問して、早く治せアピール
しないと。一人のお医者様が何人の患者さん診てると思ってるの?
ずうずうしく行動を起こさないと、どんどん後回しにされちゃう。」
と言うのだった。すると明生も「あ!うちのばあちゃんも
同じようなこと言ってた」と言う。
「圭さんはさ、何かと控えめだから、周りがしっかり
フォローしよう!ねぇ!」と春子。
それを聞いて何か決意を固めた様子の明生は「よ~し!おかわり」と
ビールのおかわりを頼むと、横で寝ていたはずの宗さんまで
「おかわり」と言うのだった。

圭介は仏壇の妙子の写真を見ながら、みんなの
言っていたことを思い出していた。
ベランダに出ると、向かいの母屋のベランダで、タバコを
吸っているアカネ。
圭介に気付き「昼間はごめんね。キツイ言い方しちゃって」
と言うと「拓哉君から聞いたよ。アカネちゃん、俺と同じ病気の
お義母さんを介護してたって・・。アカネちゃんの言ってる
ことは、よくわかる。だけど社長や奥さんの言うように
余計な心配はかけたくないし、美雨と離れて暮らすなんて
考えられないし・・。病気の事、ちゃんと受け入れたつもり
だったけど、まだ心のどこかで、自分だけは治るんじゃないか?
そのうちもっといい薬が出来るんじゃないか?って期待している
ところがある。」と話す圭介。
頷きながら、それを聞いていたアカネは「とにかく最終的には
圭さんが、美雨ちゃんのためにも、どうすることが一番いいのか
よく考えて決めるしかないんじゃない?」と答えると「うん」と
頷く圭介。

翌日。
圭介や、おじいちゃん(浜田晃)、おばあちゃん(岩本多代)と一緒に階段を上る美雨。
お墓に水をかける圭介。美雨は、おばあちゃんと一緒に
お花やお手紙を供え、皆で妙子のお墓に手を合わせた。
「妙子、美雨は圭介さんがこんなにいい子に育ててくれている
から、安心してね」と言う義母。
美雨を抱き上げ、お墓の前の階段の下におろすと
義父も「圭介君、男手ひとつで本当に、よくここまで。
感謝してる」と言い義母も「これからもよろしくね」と
に二人から頭を下げられて「はい」と答える圭介。
「美雨ちゃん、今日の予定をもう1回、おばあちゃんに
教えて」と義母が言うと美雨は、はりきって答え、はしゃぐ。

バス停で時刻表を見ながら「あれ?どこへ行くんだっけ?」と
手帳を見る、圭介の様子に気付いた美雨が圭介の傍に行き
「どうしたの?」と尋ねる。美雨に「ちょっと待って」と言い
二人同時に「スカイツリーだ(よ)」言うと
「どうしたの?」と不思議そうな義母に
「ううん、何でもない」と二人で手を取り合い、笑ってみせた。

スカイツリーを見て大きいと感動した美雨はスカイツリーを背に
おじいちゃん、おばあちゃんと、父ちゃんと一緒の写真を
沢山撮ってもらう。
浅草でも、沢山シャッターを切る圭介。
ニッコリ笑って父ちゃんを見た後、真剣な表情で
お祈りする美雨。

一方、中村産業の社長、宗さん、明生の3人は圭介の
受診している、城都大学医学部付属病院の前に来ていた。
「ホントにいいのかなぁ?」と言う社長に
明生は「何言ってるんすか。圭さんの一大事ですよ!俺らが
行かないで誰が行くんですか!」と言うと
肩を回している。
「なんか殴り込みに行くみてぇだな」と言う宗さんに
苦笑いする社長。

メリーゴーランドに乗る美雨。
たくさん写真を撮ってもらい、圭介に駆け寄る。
「メリーゴーランド、楽しかったか?じゃ、今度は
父ちゃんと急流すべり乗るか?」と聞かれ
「乗る!」と答える美雨。
「きゃ~」と叫びながらも、はしゃぐ美雨。
圭介は、ここでもたくさんの写真を撮った。

美雨は、「次はティーカップに乗ろう」と向かいかけて
圭介が忘れていた荷物に気付き、持って来ると
「行こう。父ちゃん」と手をつなぎ、おじいちゃんたちを
追いかけた。

大学病院では、3人が古賀先生の診察室に。
目をパチクリする先生。

飲み物を買いに行った美雨たちを待ちながら
これからのことを考えている圭介。
戻ってきた義母は「今、美雨ちゃんと相談したんだけど
出来たら、このまま美雨ちゃんを沼津に連れて帰らせて
もらえないかしら?」と言い出す。
「美雨を沼津へ?」

診察室。
「つまり皆さんがお聞きになりたいのは、木下さんの病気が
治るのか、治らないのかということですか?」
「まぁ、簡単に言うと」と社長。
「いや。ハッキリ言って、治してもらわないと
困ります。」と明生。
宗さんも「先生は知らないと思うけど、圭さんはホントに
いいヤツなんですよ!」と力を込めて言うと
「超男らしくて、仕事も出来て、優しい父ちゃんなんですよ!
先生も1回、うちの工場に来たら、わかりますよ!」と明生。
「だから圭さんと美雨ちゃんが離れ離れになるなんて
そんなの絶対ありえねぇんすよ!」と言い
「どうなんですか?先生」と尋ねる社長。
古賀が「木下さんは幸せ者ですね。こんなに皆さんに
心配してもらえて。」と言うと
社長が「それで?」
明生が「治してもらえるんすよね?」と言うのだった。

「沼津のお祭り?」と圭介が聞くと美雨は頷き
「うん、おじいちゃんが山車に乗って太鼓をたたくんだって!」
義母が「お祭りは明日の夜だから、今夜行って、明日
お祭りを見て、明後日には送って来るから。」と言い
美雨も「ねぇ、父ちゃん、行ってもいいでしょ?」とねだる。
圭介は「だけど、一人で大丈夫か?」と心配すると
「だいじょうぶぃ」とサインをして見せ、笑う美雨。
「もう2年生だもんね」「なぁ」と言うおじいちゃんたちに
「うん」とニッコリ笑って答える美雨は
「お願い。どうしても行きたいの」と言い、圭介は
「わかったよ。じゃ、行って来な」と答える。
喜び、帰って準備をしようと言う義父母だったが
圭介は「おい、美雨。メリーゴーランド、乗らなくて
いいのか?ほら。昨日から絶対メリーゴーランド
乗って、写真撮るんだって言ってたじゃないか」と声をかける。
「メリーゴーランドなら一番最初に乗ったじゃない?」
と義母に言われ「覚えてないのかい?」と言う義父。
それを見た美雨は「乗る!もう一回乗っていいの?後で
もう一回乗りたいって、さっき父ちゃんにお願いしたの。
ね!父ちゃん!」と言って笑うのだった。
納得した様子の義父母。
楽しそうにメリーゴーランドに乗って、手を振る美雨。
美雨の写真を撮りながら「美雨は父ちゃんが大好きだから。
世界で一番大好きだから。ずっと一緒に居てね」と言ったことを
思い浮かべ、今までの事を思い浮かべる圭介。
何とも言えない表情でファインダーから目を外し、
義父母に「実は折り入って話したいことがあるんです」と言う。

中村産業では千恵子が、帰って来た富美夫たちに
「それで、どうだったの?先生、なんて?」と尋ねていた。
「担当医として、出来る限りの事はさして頂きます。今は
それ以上の事は言えません」と答えた事を話す。
「それだけ?新しい薬が出来て、治るかもしれませんとか
そういうことは聞けなかったの?」と千恵子が言うので
アカネが話そうとすると「病気の事は守秘義務があるから
話せないと言われた」と富美夫が答え、アカネは
それを聞いて頷く。
続けて明生が「けど、言いたいこと全部言ったから
何とかしてくれると思います」と言うのを聞いて
「はぁ~?」という顔で明生を見るアカネ。

そこへ「ただいま~」と言いながら、浅草のお土産を持った
美雨が入って来た。
皆、笑顔で迎え、アカネが圭介の事を聞くと
「うちで、おじいちゃん、おばあちゃんと、お話してる。
終わるまで千恵子おばちゃんちで待っててって。」と話す美雨。
それを聞いて、頷き合う皆。

圭介は麦茶を義父母に出すと、向き合って座った。
「それで話って?」と聞く義母に「実は・・」と話し始める圭介。

「じゃ、今日から沼津に?」と美雨に尋ねる千恵子。
「うん。明日、お祭り見て、明後日帰って来るの。」
と答える美雨は「父ちゃんたちの話が終わるまで、お絵かきして
待ってていい?」と聞くので、千恵子が「うん。じゃ、奥の部屋
使ったら?」と言ってくれた。
「ありがとう」と言うと美雨は、お絵かき帳を持って
奥の部屋に入って行った。

「若年性アルツハイマー病って、私たちが知ってる
あの、アルツハイマー病?」と尋ねる義父母。
「65歳以下で発症するケースをそう呼ぶそうです。」
と圭介が答えると、戸惑いを隠せなかった。

絵を描いていると、色鉛筆の芯を折ってしまい
奥の部屋から出て来た美雨。
美雨に気付かず、話している明生と宗さん。
「リハーサル?」「つまり圭さんは美雨ちゃんと離れて暮らす
覚悟を固めて、そのリハーサルで沼津に預けてみようと
思ったんじゃないですか?」
「だから美雨ちゃんには、聞かしたくなかったってことか」
「よし。ちょっと俺、行ってきます」と言う明生に
「いい。いい。おめぇが入ると余計話がややこしくなる。」
と慌てて止める宗さん。

ショックで絵を描くことも忘れ、呆然としている美雨。
千恵子がスイカを抱えて帰って来て、美雨の様子が
おかしいことに気付く。

「医者からも病気は、まだ初期症状で、今まで通りの生活で
構わないって言われていますし、病気の進行を遅らせる薬も
毎日ちゃんと飲んでます。」という圭介に
「じゃ、今すぐ特に困ったようなことは?」と尋ねる義父に
「何もありません」と答え、美雨の事を聞かれると
病気の事は知っているが薬を飲めば治る、と伝えてある
と話すと、義母が「でもアルツハイマー病は治らないんでしょ?」
と尋ねられ「今はそうでも、この先、医学が進んで新しい薬が
開発されれば治る可能性があると思っています。」と答え
「正直、お義父さんと、お義母さんには余計な心配も
かけたくなかったし、お話しするべきか迷いました。だけど
やっぱり美雨の事を第一に考えて、すべて正直に、お話
しようと決めたんです。もしかしたら、この先、相談に
乗ってもらう事もあるかもしれませんが、当分は今まで通り
しっかり美雨を育てていきたいと思っています。もし状況が
変わるようなことがあれば、その時は すぐに・・」
と話していると、美雨が急に入って来て「沼津には行かない」
と言い出す。みんなに「何故?」「どうしたんだ?」と聞かれるが
黙っている。
「美雨、ちゃんと答えなさい。」と父ちゃんに言われても
「沼津には行かない。どうしても行きたくないの。」と叫んで
部屋に入ってしまう美雨。
追いかけて来た圭介に「なんで?」「なにが?」
「父ちゃん、ずるいよ。リハーサルなんでしょ?」
「リハーサル?」
「なんで、離れて暮らさなきゃいけないの?
父ちゃんの病気、もうすぐ治るんでしょ?それなのに
なんで美雨だけ沼津に行かなきゃいけないの?」と美雨。
「誰がそんなこと、言ったんだ?」と言う圭介に
「美雨は父ちゃんと離れたくない!ずっと一緒に居たい。
だからリハーサルには行きたくない!」と泣きながら
精一杯訴える美雨。
その様子にグッと来ながらも「ばか!父ちゃんが美雨と
離れるわけないだろ?美雨と父ちゃんは、ずっと一緒だよ」と答え
「ホント?」と言う美雨に大きく頷き「だいじょうぶぃ」と言い
やっと安心しながら、泣き笑いの美雨をギュッと抱きしめる圭介。

「本当にすみませんでした」と言う圭介に「私たちは大丈夫。
それより美雨ちゃんの事、お願いね」と義母は言い
「何かあったらすぐ電話して。高速飛ばせば、2時間も
かからないんだから、いつでも頼りにしてくれて
いいんだからね」と言う義父。
「ありがとうございます」とお礼を言う圭介。
「さよなら。又、東京に遊びに来てね」と言う美雨に手を振って
中村産業の皆に「今後ともよろしくお願いします」と頭を下げて
義父母は沼津に帰って行った。

「良かったね。美雨ちゃんを引き取りたいなんて言われなくて。」
「アカネの言ったとおり、正直に打ち明けて良かったよなぁ。
いざって時は、力になってくれそうだし」
「俺もその方がいいって最初から思ってんだよ」
「よく言うよ」
「よし、じゃ、久しぶりに皆で焼き肉でも食うか」と社長。
「なんで、いきなり焼肉なの?言っとくけど、焼肉の材料は
経費として認めませんから」と言うアカネに
「わかってるよ」と言いながら、美雨を呼び寄せて
「肉、食おう」と言う社長。
大喜びで飛び上がる美雨。

その夜、皆で楽しく焼き肉を食べている。
「アタマが良くなるから玉ねぎを食え。」と
明生が言われているのを聞いた美雨が
「玉ねぎを食べると頭が良くなるの?」と聞くと
千恵子が「どうかなぁ?明生君の場合、ちょっと手遅れかも」
と答え、笑っている。
その時、圭介の携帯電話が鳴る。
沼津の義父母からだった。
「あれから又二人でよ~く話し合ったんだけど、やっぱり
美雨ちゃんを私たちで引き取らせてもらった方がいいんじゃないか
と思って」と言う義母。
美雨は今日の事を、皆に楽しそうに話している。
その様子を見ながら、切ない表情で見つめる圭介。

***********************************

中村産業(圭介の勤め先)の中で、1人だけ、まだ圭介の病気を

知らなかった秋生にも、ついに病気が知らされました。

お馬鹿だって皆に言われているけれど、芯はまっすぐで、優しい気持ちを持った

明生の涙に、ホロっとしましたね。

春子さんに言われて、ついには古賀先生にまで会いに行っちゃうし。

中村産業の団結力と言うか、皆の温かさに本当に心を打たれました。

そして、亡くなった奥さんの父母で、美雨のおじいちゃん、おばあちゃんに

病気を打ち明けました。

明生たちの話を聞いた美雨の誤解から、今回の沼津行きは無くなりましたが

最後に、電話で、やっぱり美雨を引き取りたいと言って来た義父母。

でも、義父母だって若くは無いし、いつ何時、どうなるかわからないですよね。

圭介の病の進行と、どちらが早いか、どっこいどっこいかもしれないし。

それに圭介は、美雨が生きる支えなのに、離れてしまったら生きる力や

病気と闘う気持ちが弱まってしまうんじゃないかと思えて心配です。

何とか二人が離れずに暮らせるといいのですが・・・。

義父母に病気を打ち明けるまでに、出かけている間、圭介がピンチになると

力を発揮して、父ちゃんに助け舟を出した美雨。

健気でしたね。

今回もフォトギャラリーから、浅草と遊園地での美雨と父ちゃんのショットを
beautifulrain7.jpg
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ビューティフルレイン第6話 [豊川さん]

ビューティフルレイン第6話

花火をしながら、「父ちゃんの病気、いつごろ治るの?」
と聞く美雨に、千恵子(丘みつ子)が「美雨ちゃんがいい子にしていれば
すぐ治るよ。ね、圭さん」と言うが圭介は答えることが出来ない。

翌朝、ラジオ体操に行った美雨は友達の小太郎に
「いい子になるには、どうしたらいいの?どうしても
いい子にならなきゃいけないの。」と尋ねると
小太郎は「いい子って言うのは大人にとって都合のいい子って
ことだ。元気にあいさつして、大人の言うことをハイハイ聞いて
お手伝いして、宿題してればいいんだ」と言う。

帰宅した美雨は早速、元気に挨拶する。
そして冷蔵庫に、はってあった古賀先生の名刺を見付け
「これなに?」と父ちゃんに聞くと
「父ちゃんのお医者さんの名刺だよ」と言うので
「父ちゃんの病気を治してくれる人?」と聞く美雨。
妙に元気に「頂きます」と言って、食べ始めようとして
「父ちゃん、タバコ吸ってない?薬もちゃんと飲んでる?」と
確認し、ちゃんと守っていると聞くと「よし」と頷く。
そして圭介が「それより、ちゃんと宿題やってるか?」と聞くと
「朝ご飯食べ終わったら、すぐやっちゃう」と答え、「偉~い」と
言われて、得意気な顔をするのだった。

「宗さん(でんでん)、俺はメッシュTシャツに冷え冷えボムで
この夏を乗り切るっす」と、はしゃぐ明生(三浦翔平)。
出勤し、今日の予定をメモを見て確認している圭介を見ている宗さん。
社長も「もう一度、念のため確認しておくと・・」と
今日の予定を話し始める。
明生は、そんな社長に「一回言ったら、そんなに何回も言わなくても
忘れませんって。」と言うと、先に行く明生。

明生が居なくなると、急に宗さんが「俺は情けないよ。俺は、そんなに
頼りにならない男かよ」と言いだす。
訳が分からず「何が?」と聞く社長に、宗さんは
「俺がこの工場で働いて20年。社長はもちろん、圭さんにも
何でも腹を割って話せる仲だと思ってた。どんな不景気も皆で
力を合わせて乗り切った、戦友みたいなもんだって。それなのに
どうして俺には何も言ってくれねぇんだ?」と怒る宗さん。
「誤解だよ」と社長が言っても、怒り続ける宗さんに
「すみません。」と頭を下げる圭介。
それを制して、「俺が言うから、圭さんは言わなくていい。
ただタイミングが・・」と言う社長に「やっぱり自分で、きちんと
説明するべきだったんです。宗さん、実は俺・・」と言いかけた圭介に
「そんなことは言われなくたってわかってるよ。俺を誰だと思ってるんだ?
圭さん、借金があるんだろう?」と言う宗さん。
「え?」思いがけないことに驚いた圭介。
「最近、手帳ばっかり見てるのは返済日を気にしてるからなんだろ?
金を返すために、もっと稼ぎのいい職場に転職まで考えてるって
ことだろう?」という宗さんに、社長が違うと言おうとするが
「何だって、お見通しなんだって。俺くらいになると。
で、借金の原因は何なんだよ?パチンコか?オートレースか?
俺も経験あるから、わかるんだ。」と言って、財布を取り出し
「これ、ちょっと使ってくれ」と圭介に渡すのだった。
「借金じゃないんです。実は俺、病気なんです。」と、とうとう
打ち明けた圭介。

その頃、美雨は朝の宣言通り、今日の分の宿題を済ませ、明日の分も
やってしまおうとしていた。

職場では、社長夫妻が宗さんに「ついでに言っておくけど、美雨ちゃんは
圭さんが薬を飲めば治ると思い込んでいるから、余計なことは言わないように
気を付けてね。」と話していた。それを聞いた宗さんは「そういうことなら
明生にも内緒にしておいた方がいいな。ほら、あいつこれだから
(口が軽いとジェスチャーをしながら)ペラペラと美雨ちゃんに
口滑らしちまうだろう?」と言うのだった。皆、なるほどねと納得していた頃、
工場で一人くしゃみしている明生。

「圭さんも大変だな。俺に出来ることは何だって言ってくれよ」と
宗さんが言うと「おはようございます」と元気に挨拶しながら美雨が入って来た。
アカネに宿題の答え合わせをしてもらいたい、と話す美雨に
宗さんは「父ちゃんの手伝いをちゃんとして、我儘言わないで
いい子にしてなきゃダメだぞ。」と言う。
「はい」と答える美雨。

家に戻った美雨は、掃除機をかけ、お手伝いを始める。

圭介が工場の外で仕事をしていると、アカネの夫、拓哉(山中聡)が訪ねて来て
声をかけられる。拓哉は、結婚式の時のスピーチのお礼を言うと
「アカネ、居ます?」と尋ねる。

社長宅で、「お義父さんたちにも気を遣ってもらっちゃって・・」と言う拓哉。
千恵子がアカネを連れてくる。
拓哉を見たアカネは「どうして?」と拓哉を責めるように言う。
「直接会って話したいって電話で言ったろう?」と言う拓哉。
アカネが何も言わないので、どういうことなのかわからない、という義父母に
拓哉は「結論から言うと、僕はアカネと離婚するつもりはありません。」と言う。
「君やご両親に対して後ろめたい事は何もない。君にも君なりの言い分があるだろう。
言いたいことがあるなら、何でも言ってくれ。悪いところは直すし、誤解があるなら
説明したい。」と続ける拓哉に、社長夫妻は二人の問題だからと席を外す。
奥の部屋に入る、拓哉とアカネ。

その話を耳に挟んで、このまま離婚になるのか?元のさやに納まるのか?と
興奮気味の明生を宗さんが窘める。

一方、お手伝いに、すのこの拭き掃除を始めた美雨。
「こりゃ大変だ。」と慣れない手伝いに苦戦する。

拓哉は離婚届を出し「僕には、ここに名前を書く理由がない」と言う。
「僕には君が必要だ。離れて暮らしていて、改めてそう思った。」と言って
離婚届を破く拓哉。
外で様子をうかがう、社長夫妻。
「僕の気持ちは伝えた。これから会議で夜は部長と食事だから、明日又来る。
君の気持ちを聞かせて欲しい。」と言って帰って行く拓哉。
「あら、もうお帰り?」と気付かなかった様子で言う千恵子。

美雨は洗濯機を回す。
ところが、そこにはティッシュも入ってしまったが気付かず
スイッチを入れてしまう美雨。

その後、アカネは「彼とは結婚前から、ずっと同じ方向を見て、同じ速度で
歩いていると思ってた。だけど、いつのまにか、全然違う方向を
見てたってことに気付いちゃったの。」と両親に話す。
頷く夫に「今の説明で理解できたの?」と聞く千恵子。
「さっぱりわからん」と答える富美夫(蟹江敬三)。

アカネは自分の部屋に戻り、拓哉が破った離婚届を机に置いて、ため息をついた。

出ていく夫を捕まえる千恵子に「お前は心配し過ぎなんだよ」と言うと
「心配しますよ、お腹を痛めて産んだ子だもの。お父さんは
おしめも換えたことないから、そんなことが言えるのよ」と怒る千恵子。
あまりの剣幕に工場から従業員が出て来て諌める。
明生が「なんだったら自分が聞きましょうか?」と言うと
皆に「ばか」と言われる。

圭介が家に帰ると、美雨は洗い物をしているが「父ちゃん、お帰り」と
言った拍子に、ふちに置いた皿を落として割ってしまった。
慌てて拾おうとして、指を傷つけてしまう美雨。
急いで駈け寄った圭介は「ごめんなさい」と謝る美雨の指に絆創膏を巻き
美雨に、なぜ洗いものなんてしていたのか?と尋ねると「少しでも父ちゃんの
お手伝いをしようと思って。お掃除もお洗濯も・・・」と言いかけ
「あ!洗濯干すの忘れてた!」と言うので、急いで洗濯機のところへ行くと
見事にティッシュがくっつきまくった洗濯物が!
ガックリして「ごめんなさい」と謝る美雨。
部屋に戻り「父ちゃんを手伝いたいと思ってくれたことは
嬉しい。ありがとな。だけど、家の中の仕事は危ないこともたくさんある。
だからそれは今は父ちゃんがやる。美雨の仕事は、しっかり勉強して
しっかり食べて、しっかり遊ぶこと。わかったか。」と言うと
「はい」と返事する美雨。「声が小さい」「はい」と、もう一度
返事をすると、「よし。食べよう」と言って食事を食べ始めた。

ベランダに出ると、アカネもベランダに居た。
拓哉との話の事を尋ねると「子どもじゃないんだから」と言うアカネ。
圭介は「親は、いつも子どもの事が心配で、どんな時も子どもの幸せを
願っているんだよ」と言う。するとアカネは「子どもだって同じよ。
出来るだけ親に心配をかけたくないと思ってる。だからこそ、言いたくても
言えないこともある。もしかしたら美雨ちゃんだって、圭さんが
想像してる以上に、心配してるかもしれないよ。」と話す。
圭介は「俺も いつまでも このまま黙っていていいのか?って思い始めてる。
治らない病気だってこと。ずっと美雨と一緒に暮らしていきたいって
思ってるから。つらい」と明かす。
「そうだよね。美雨ちゃん、まだ8歳だもんね。簡単には言えないよね。」と
答えるアカネに「アカネちゃんは?家族に言えない話って?」と聞くと
少し考えるようにして「このまま結婚生活を続けるか、それとも
正式に離婚するか?どっちにしてもハッキリ決めたら、ちゃんと
お父さんたちにも話す。」と言って部屋に入るアカネ。

ベッドの上で、ロンドン橋を歌いながら、あやとりをして見せる圭介。
美雨もやってみるが失敗。
圭介は「また明日教えてあげるから。今日はもう寝ろ」と言う。

翌日、「遊びにく時は、ちゃんと帽子を被って、千恵子おばちゃんに
行き先を言って、出かけるんだぞ」と美雨に言って、出勤しようとする。
そんな圭介を呼び止め、手帳とタオルを渡す美雨。
いけねぇ・・・と、受け取った圭介は出がけに「今日の夕方
買い物に行ったついでに、あれ買って来なきゃな。」と言うので
「あれって?」と美雨が尋ねると「あれだよ。えっと、洗濯の洗剤。昨夜
全部使い切っちまったから。」と答え、出かけていく。
美雨は笑顔で見送ったが、その後、洗剤の保管場所を見ると
洗剤はたくさん入っている。
古賀の名刺を見つめながら、何か考えている美雨。

圭介が工場の外にいると、拓哉が仕事の電話をかけている。
「仕事、忙しそうだね」と声をかける圭介。
「その上、一人暮らしになっちゃって。まぁ、元はと言えば
俺が悪いんですけどね。病気のおふくろと同居なんかさせちゃったから。
おふくろ、アルツハイマー病だったんです。」と言うのを聞き
昨夜のアカネの話を思い出す圭介。
「アカネちゃん、アルツハイマー病のお義母さんを介護してたんですか?」と
聞くと「もちろん、ある程度は家事も介護も分担してましたよ。でも結局
アカネは、その介護でストレスためちゃって・・。」と言って、入って行く拓哉。
考え込む圭介。

美雨は「菜子ちゃんと公園に行く約束してるの。遊びに行ってくる」と
千恵子に告げて、出かけて行く。

アカネも「オモテで話してくる。その方が落ち着けるから」と言って
拓哉と外に出かけた。

八百屋の店先で水撒きを手伝う菜子。
通りかかった健太に誤って水をかけてしまい、慌ててタオルを取ろうとすると
美雨がやって来た。

工場では、圭介の傍に社長がやって来て、アカネの別居の理由を
何か聞いてないか?と尋ねる。
拓哉の「アルツハイマー病のおふくろの介護で、ストレスためちゃって」
と言う話を思い浮かべるが、話すことは出来ず
「いや」と答えるだけだった。

美雨は古賀の名刺を菜子に見せ、病院の場所を尋ねる。
菜子は降りる駅の名前や、駅からの道の地図を書いてくれた。

喫茶店で向かい合って座るアカネと拓哉。
「この辺りはいいな。相変わらずのんびりしてて。今度また
東京転勤になったら、このあたりに住んでもいいかな。」と話す拓哉に
アカネは「私がなんで実家に戻って来たか、わかる?」と問いかける。
拓哉は「おふくろのことだろ」と答えると、アカネは「きっかけは
拓哉の一言なんだよ。」と言うと「俺が何を?」とわからない様子。
お義母さんの納骨の日。「早く施設に入れてやってれば、おふくろ
もっと長生き出来たかもな。君が意地を張って家で見るって
言い張らなければ・・・」と言った拓哉。
それを聞いて「あれはそういう意味で言ったんじゃ」と言う拓哉に
「じゃ、どういう意味で言ったの?確かに私が意地を張ったところも
あったかもしれない。だけど、何でも相談したでしょう?二人で
ちゃんと話し合って、お義母さんにとっても、それが一番いいって
結論出して、それで同居も決めたじゃない。それなのに・・・」
と言って拓哉を見るアカネ。
「わかった。俺が悪かった。もう一度俺にチャンスをくれ。やり直したいんだ。
どうしても。」と言う拓哉。

電車に乗って、じっと菜子ちゃんの書いてくれた地図を見ている美雨。

「誰だって親の事は必死になるだろう?いつまで、そんな小さなことを
気にしてるんだよ。」「小さなこと?」「夫婦と言っても、元は他人だし
少々嫌なことがあったり許せない部分があっても、妥協して
折り合いつけていかなきゃ、お互いやっていけないよ。俺は銀行マンだ。
君だって同じ職場にいたからわかるだろう?」と言うのを聞いたアカネは
じっと拓哉の顔を見つめるが、拓哉は一方的に話し続ける。
「離婚なんかしたら、上司にどう思われるか。今だって別居を隠してる
必死なんだよ。」と言うに至り、アカネは「わかった。」と言い
ホッとした顔の拓哉に「やっぱりもう、たっくんと一緒にはやっていけない。」と
言うと「どうして?」と訳の分かっていない拓哉に
「結局、自分の事しか考えてないじゃない。拓哉にとって大事なのは
私たち二人の生活より会社での立場なんでしょ?」と言い、涙ぐみながらも
コーヒー代を机に置いて「さよなら」と席を立つアカネ。

駅を見て「まだここじゃない。」と確かめている美雨。

工場の皆もアカネのことを心配していた。
そこにアカネが帰って来た。
皆が「お帰り」と声をかけ「ただいま」と答えるアカネ。

美雨は地図を見ながら病院に向かって歩いていた。

「お父さんとお母さんには心配をかけたくなかったから言えなかったけど
半年前、向こうのお義母さんが亡くなるまで、3年間ずっと介護をしてたの。
だけど離婚の理由は、そのことじゃないの。彼が一番大事にしたかったのは
自分の立場で、私たち二人の結婚生活じゃないってわかったから。」
と言うアカネに千恵子は「本当にいいの?」と言うが
頷くアカネを見て富美夫は「まぁ、あれだ。イマドキ離婚の1回や2回
どうってことない。人生七転び八起き。七回結婚して、八回離婚したって
構わねぇや。」と励まし「七回結婚したって、七回しか離婚出来ないじゃない」と
言う千恵子に「例え話だ。」と言って笑わせる。
アカネはそのやり取りを聞いて「お父さん、お母さん、心配かけて
ごめんなさい」と言うのだった。

その頃、病院に着いた美雨は、そこが名刺に書いてあるところと
同じ場所だと確認し、中に入ると警備員から声をかけられる。
「古賀先生に会いたいの。ちょっとお話がしたいの。
どこにいますか?」と言うと「それはちょっと無理だね。又、今度
お父さんかお母さんと一緒に来て、受付で予約をしないと。」と言われてしまう。
何度も頭を下げて、古賀先生に会いたい、と
お願いしているところに、古賀本人が通りかかり、診察室に通される。
美雨は「こんにちは。木下美雨です」と挨拶する。
古賀は「偉いね。ちゃんと挨拶出来るんだ。私が、お探しの古賀先生です。
それで今日はどうしたのかな?」と静かに話しかける。

社長が「大変だよ。美雨ちゃんが」と工場に居る圭介に知らせに来る。
急いで自転車で病院に向かう圭介。
看護師と本を見ている美雨を見て、美雨を呼ぶ。
気付いた美雨が父ちゃんのところへ歩み寄ると「どうしてこんなところまで
一人で来たんだ?千恵子おばちゃんには、菜子ちゃんと公園に行くって
言ったんだろ?」と怒る父ちゃんに「ごめんなさい」と謝る美雨。
看護師に「先生がお待ちです」と言われ、美雨を看護師に任せて
診察室に入る圭介。
「本当にご迷惑をおかけして、すみませんでした。」と謝る圭介に
古賀は「いえいえ。たいしたもんですよ。2年生で一人で電車に乗って
来ちゃうんですから。」と言い「私の息子には絶対に無理です。
美雨ちゃんは、お父さん思いの優しいお嬢さんですよ。」と言って
美雨とのやり取りを聞かせてくれた。

「今日はどうしたのかな?お父さんの事?」と聞かれた美雨は
「いい子になれる薬ありますか?」と言ったのです。
訳を聞くと「美雨がいい子になれば父ちゃんの病気は治るのに、いい子
じゃないから、なかなか治らないんでしょ?」と言うので
「誰がそんなことを言ったの?」と聞くと「皆に言われました。
千恵子おばちゃんにも。宗さんにも。だけど美雨、お洗濯も食器洗いも
上手く出来なくて、全然いい子になれない。
だから、いい子になれる薬、ありますか?」と聞いたのでした。
「そんなことを・・・」と立ったまま言う圭介に
「お座り下さい」と椅子をすすめ
「残念だけどね、いい子になれる薬はないんだ。」と答えた古賀に
目を見開く美雨。
続けて「だけどね、病気が治らないのは美雨ちゃんのせいじゃないよ。」と話す古賀。
「じゃ、なんで治らないの?父ちゃんはタバコも止めたし、嫌いなかぼちゃも
食べてるし、薬だってちゃんと飲んでるのに、どうして治らないの?」と言い
「病気が治ったら一緒に旅行に行く約束をしたの。父ちゃんも美雨も
とっても楽しみにしてるの。だから早く病気を治して。お願いします。」
と涙ながらに訴える美雨。
古賀は「よく見てるんですね。お父さんの事。大人が思ってる以上に」と言い
圭介が「病気の事、美雨にはなんて?」と尋ねると「(美雨の涙を
ハンカチで拭いて)先生も頑張る。父ちゃんも頑張ってる。だから美雨ちゃんも
泣かないで。一緒に頑張ろう。」と言うと「はい」と答える美雨。
美雨は席を立つと「先生、父ちゃんの事、宜しくお願いします」と言い
しっかり頭を下げる。
それを聞いた圭介の目にも涙が浮かび、古賀に お礼とお詫びを言う。
古賀は、そんな圭介に「ただ、美雨ちゃんと二人だけで暮らしていくのは、この先
難しくなるかもしれません。早めに一緒に美雨ちゃんを見てくれる人を
探した方がいいと思います。」と言うのだった。

美雨のところへ戻ると「美雨。もう二度と、一人でこんなところまで
来ちゃダメだ。」「はい」「よし。じゃ、この話は、もう終わり」と言うと
「父ちゃん、泣いてるの?」と美雨に言われ「何言ってるんだ。父ちゃんが
泣くわけないだろう?父ちゃんは強いんだぞ。」と言う圭介。
「心配かけてごめんなさい」と謝る美雨。「もういいって。」と言う圭介に
「父ちゃん、出来たよ!橋」と、昨日は出来なかった
あやとりの橋を作って見せる美雨。

美雨を肩車して、ロンドン橋を歌いながら、歩く圭介(と美雨)。
その時、圭介の携帯が鳴る。沼津に住む、亡くなった妻の両親から
来週、こちらへ墓参りに来るという連絡だった。
はしゃぐ美雨。複雑な表情の圭介。

***********************************

父ちゃんを思う、美雨ちゃんのまっすぐな心に打たれた第6話でした。

古賀先生、あんなふうに尋ねられたら、どうするのだろう?

子どもとはいえ、あれだけ真剣な問いに、半端な答えは出来ないし・・・と

思っていたら、さすがに上手に答えていましたね。

「いい子になれる薬ありますか?」

美雨ちゃん、どこまでも素直で、まっすぐですね。

大人たちが良かれと思って言った「いい子にしていれば・・・」という言葉

これからは、よく考えて使わないと。

やたらに言っちゃダメですね。

そしてアカネさん。

日頃の様子から、彼女が介護が理由で離婚を考えるわけないんじゃないかなぁと

何となく感じていたので、旦那さんの話に違和感を覚えましたが

やはり理由は、そこのことじゃなかったですね。

だんなさんは、さよならを言われて初めて、アカネの考えが

わかったんじゃないでしょうか?

アカネの離婚を決めた理由、とても納得がいきましたね。

それから宗さん!まさか圭さんが借金をしていると思い込んでいたなんて!

ちょっと笑ってしまったけど、やっぱり宗さんもいい仲間なんだなぁと感じる

いいシーンでしたね。

最後、圭介は自転車で病院に向かったのに、美雨を肩車して、歩いて帰っていましたね。

あれ?自転車は?後で取りに戻ったのかな?

今回もフォトギャラリーより
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ビューティフルレイン 第5話 [豊川さん]

今日も暑かったですね。[晴れ]

マンションの排水管清掃だったので

朝から水回りのお掃除を頑張りました!

午後からの順番でしたが、結構長くかかったようで

いつもより待たされましたが、無事済みました。


***************************

ビューティフルレイン 第5話

ラジオ体操に行った美雨は、友達と夏休み中に
どこに出かけるかという話になったが父ちゃんの
病気のことを思い、今年はいけないかも・・と話す。

美雨を送り出した圭介がベランダで洗濯物を干していると
アカネが現れたので「これから社長と奥さんに(自分で)
ちゃんと説明するよ」といい、アカネは自分は(圭介の事を
社長たちには)何も言わなかったと話す。

早めに仕事場に行くと、先に来ていた明生が「来週の
火曜から2泊3日で彼女と熱海旅行に行くから夏休みを
取りたい」と話していた。圭介が来たので明生の夏休みに
OKを出した社長は和室に圭介を通すと、娘のアカネや
妻の千恵子と一緒に話を聞く。
社長が「アルツハイマーっていうのは年寄りがボケてしまう病気
じゃないのか?」と言うと、圭介は
「自分もそう思っていたが、若くても発症するらしく
65歳以下で発症するのが若年性アルツハイマーだそう」だと
答える。
千恵子が「要するに、物忘れの病気でしょう?」と聞き
社長は「あぁ!だから最近・・・」と最近の圭介の様子を
思い出していると、圭介は「迷惑をかけてすみません」と
頭を下げた。
更に社長が「いつからそんな病気にかかっちまったんだい?」と
尋ねると「自分でもよくわからないんですが、医者の話では
まだ初期症状だということです。」と答えた。
千恵子が「いつ頃、治るの?手術しなきゃならないの?」と聞き
社長が「薬を飲めば治るんだろう?」と言うのを聞いたアカネは
ため息をついて、「アルツハイマー病は脳全体が委縮してしまう
病気だから、悪いところを切り取るような手術は出来ないの」と話し
「病気の進行を遅らせる薬は、あるんだけど、治す薬は
まだ開発されていないの」と話して聞かせる。

「じゃあ、ずっと治らないの?仕事続けられるの?」と
心配そうに聞く千恵子に社長は「当たりめぇじゃねぇか。
今だって現に、こうやって働けてんだから」と言うのを聞いて
圭介は「医者は当面は大丈夫だろうと言ってくれているんですが
又いつ迷惑をかけるかわからないし、もし社長の判断で
辞めてくれって言うなら・・」と言いかけると、社長は
その言葉を遮って、「そんなこと言うわけねぇだろう。なぁ。」と
千恵子の顔を見ると千恵子も「もちろんよ」と頷く。
それを聞いた圭介は、そう言ってもらえるなら自分も出来る限り
働かせてもらいたいと思っていると話す。そして病気の事は美雨も
知っているが、薬を飲めば治ると思っている、と明かす。
職場の仲間、宗さん(でんでん)や明生にも、いずれちゃんと説明
しなきゃならないと思っていると言うと、社長は
あの二人には時期を見て自分が話すからと言う。
「本当にすみません」と頭を下げる圭介に、社長は「何を・・・。
困ったときはお互い様。さぁ、そうと決まったら仕事。仕事」と
返し、千恵子も「何でも言ってね。美雨ちゃんの事も」と
言ってくれた。
圭介が仕事に戻り、社長夫妻が「何とかなるよねぇ」と
言い合っているのを見てアカネは「お父さんたちは
アルツハイマー病の事を少し甘く考えすぎていると思う。」と言い
「根本的に治す薬がない以上、圭さんの病気は確実に
進行していくのよ。初期症状の今は、単なる物忘れだけかもしれないけど
これから中期、後期と病気が進んでいけば、もっと色々な
症状が出てくるの。だから、しっかり勉強して、アルツハイマーのことを
理解して圭さんに接していかないと・・・。」と言うのを聞き
千恵子は「アカネ、どうしてあなた、そんなにアルツハイマーの事
詳しいの?」といぶかしげに尋ねると「イマドキ、常識よ。
アルツハイマーの患者は、どんどん増えているんだから」と言い
席を立つアカネ。

工場に戻った圭介は、宗さんと明生から、社長と何の話を
していたのか尋ねられる。今月の給料が遅れるのか?と
心配している二人に「そんな話じゃなくて、オレの個人的な話です」と答え
メモを見てる圭介に明生が「なんで最近、メモを取るように
なったんですか?」と聞かれても「メモ取っちゃ悪いか?」と、ごまかした。

社長は本屋でアルツハイマーに関する本を探し、見ていた。

アカネは、美雨の勉強を見てあげている。絵日記を見付け
美雨に「何を書くの?」と聞くが、美雨は
「まだ決めてない」と答える。ちょっと寂しそうな顔に
何も言わず頷くアカネ。
その時、アカネの携帯が鳴る。
夫の拓哉からだったが出ないので、「どうして話したくないの?
好きになったから結婚したんでしょ?」と不思議そうに尋ねる美雨。
そこに千恵子が「商店街の福引に行こう」と2人を誘いに来る。

福引に行くと菜子ちゃんもお手伝いをしていた。
3回引けると言うので、3人で一回つづ引くことにしたが
「神様、仏様、ジョニーデップ様」と唱えた千恵子も
続いて引いたアカネも残念賞のポケットティッシュだった。
最後に「ママちゃん、お願い」と唱えた美雨が引くと
金の玉が出て見事1等賞の「伊豆大島1泊2日ペアの旅行券」が
当たる!
大喜びで「ママちゃん、ありがとう」と言いながら受け取る美雨。

社長は仕事の合間にアルツハイマーの本を熱心に読んでいた。
千恵子たちが帰って来て福引の事を話すと、美雨に見せない様に
本を隠して「そりゃあ良かったなぁ」と言い、美雨は
「圭さんと二人で楽しんで来な~。」「夏休みの思い出が
書けるじゃん!」と千恵子やアカネにも言ってもらうが
ふと顔を曇らせ「行けるかなぁ?父ちゃん」と、つぶやく。
そこへ工場から圭介たちが戻ってきた。
千恵子が福引の事を話し、宗さんや明生も喜んでくれる。
「圭さん、旅行、行ける?」と聞く千恵子に
「何か行けない事情でもあるんですか?」と尋ねる明生に
社長は「お前は黙ってろ」と言い
圭介の方を見る。圭介は美雨の様子を見て、ニッコリ笑い
「行けますよ。もちろん。」と答え、美雨は「やったぁ!」と
大喜び。「後で旅行の計画立てようね」と言う。
明生は、その後も圭さんが旅行に行けないような空気だったことを
気にしていたが、日程が明生の夏休みと重なることがわかり
社長夫妻や宗さんからも「夏休みは圭さんに譲ってあげな」
と言われて、ガックリ。
社長は明生に「悪いな」と話している圭介を呼び、旅行が
本当に大丈夫なのか?を尋ね、念のため主治医にも聞いてくると言う
圭介に、美雨のためにも、早く行って聞いてくるように言う。
万が一ダメになって、がっかりさせてはかわいそうだから、と。
そして、今夜、宗さんと明生に圭介の病気のことを話すつもりだと
言うのだった。

さっそく病院に行き主治医の古賀に旅行の事を相談する圭介。
古賀はOKを出し、ただし、常に時間に余裕を持つように
心がけること、どこで何をするか、何を食べるかなど
予定を立てて紙に書いて持っておくように話し、念のために・・と
緊急時の連絡先と古賀の名刺を渡し、常に身に着けて
おくように・・・と言う。
そして会社の人に話したことを聞き、「だけど本当に言って良かったのか?
これからいろいろ気を遣わせてしまうこともあるだろうし・・」
と悩む圭介に「病気を知らされるショックより、隠されていることは
つらいものです。患者との関係が近いほど」と励まし
「旅行を楽しんで来て下さいね。娘さん、喜んでるでしょう?」と
言うと、満面の笑みで「はい」と答える圭介。

美雨は、オリジナルのてるてる坊主を作って
千恵子に「気が早いんじゃない?旅行は来週でしょ?」と言われるが
「いいの。絶対晴れにしてよね」と、てるてる坊主に言うのだった。

小太郎の母、はるこ(国生さゆり)の店に、宗さんと明生を連れて行った
社長だが、結局、圭介の病気の事は話せなかった。

美雨は圭介と楽しく話しながら、旅行の計画を立てていた。

ルームランナーで運動する千恵子は、アカネに「ちゃんと
拓哉さんと話をしてるの?理由はどうあれ、そろそろ
はっきりした方がいいんじゃない?」と言い
部屋に戻ったアカネは離婚届の用紙を出し、見つめていた。

美雨は父ちゃんと「花火」を買いに行き、お店の人に
どこに行くのか聞かれて「伊豆大島。お船に乗って行くの」と
嬉しそうに答え、それを嬉しそうに見ている圭介。

千恵子に留守中の挨拶をしていると、宗さんと明生が
大きなシャチとワニのフロートを持って来てくれた。
「とにかく気をつけて」とだけ言う社長に
何かを感じる圭介。

社長は相変わらずアルツハイマーの本を読んで勉強している。

美雨と父ちゃんは持ち物をチェックして、楽しく予定を
確認していた。
大事なチケットをカバンにしまい、父ちゃんがシャワーを
浴びている間に、仏壇のママちゃんに旅行の事を楽しそうに
話す美雨。

眠っている美雨の腕をタオルケットの中に入れ、ベランダで
美雨手作りのてるてる坊主に「(明日のお天気は)頼んだぞ」と
言っていると、アカネが出て来る。
「社長がまだ、宗さんたちに言っていないようだ」と言うと
アカネは「だけど、本を何冊も買って読み始めた」と言い
「工場の大変な時に、俺の事で余計な心配をかけてしまって・・・。
俺、本当にやっていけるのかな?」と弱気なことを言う圭介に
「とにかく旅行楽しんで来て。病気の事は又帰ってから考えれば
いい」と言い「あたしも早いとこ、一歩踏み出さなきゃ」と
言うのだった。
部屋に戻ったアカネは、結婚指輪をはずし、離婚届を書き始める。

社長夫妻は、本を読んで、アルツハイマー病に対する自分たちの
認識が甘かったことを痛感していた。

旅行当日、朝5時半に目覚ましと共に、すっかり支度を終えた
美雨に起こされた圭介。
走って駅に向かうも、ガスの元栓が気になり、家に戻る。
元栓は閉まっていた。走って駅に戻ると、美雨にどやされるが
今度は「洗濯物干しっぱなしだ!」と言うので「そんなのは
ほおっておこうよ。それか、千恵子おばちゃんに電話して
取り込んでもらったら?」と言う美雨に「他にも迷惑かけているから
頼むことは出来ない」と言い、通りかかった健太の自転車を借りて
再度部屋に戻るが、洗濯物は干していなかった。

フェリーターミナルに着く。
美雨はサングラスをかけて気取ってみせる。
乗船が始まり、チケットを係員に見せようと、昨日
しまったところから取り出そうとするが無い。
いったん、横にどいて、カバンを開けて探すが
チケットは出てこない。
「もしかしたら忘れちゃったんじゃない」と言う美雨は
「何でないの?父ちゃんバカ!一番大事なチケットをなんで
忘れちゃうの?2回も途中でお家に帰ったのに、なんで
気付かなかったの?」と圭介を責める。
「やだ!絶対行く」と言う美雨に「待ってろ」と言い、チケットを
買おうとするが、すべて売り切れと言われ、肩を落とす圭介。
無情にも出ていく船を見送るしかなかった。
「美雨、ごめんな」と謝る圭介。

その頃、社長夫妻が「腹をくくったよ。旅行から帰ってきたら
すぐ話す」と話しているのを聞き、圭さんに何を言うのか
気になるアカネ。
そこに圭介が戻って来た。

美雨はママちゃんに旅行に行けなかったことを報告し
「でも、しょうがないよね。父ちゃん、病気だもんね」と
話している時、チケットを見付ける。
戻ってきた圭介に、チケットを差し出し、チケットを忘れたのは
自分だったと話す美雨。父ちゃんがシャワーを浴びている間に
ママちゃんにチケットを出して見せ、仏壇に置いたまま
歯磨きに行って忘れてしまったと話す。「忘れたのは
父ちゃんじゃなかったの。ごめんなさい。」と泣いて謝る美雨に
圭介は「大島なんて、又行けばいい。いつでも行けるんだぞ」
と言い、美雨は「父ちゃんの病気が治ったら行こう。その方が
父ちゃんも楽しいでしょ?」と言う。圭介は「わかった」とだけ
言って、「だけど、その前に今夜は花火をやろう!」と提案する。

アカネや社長夫妻に旅行に行かれなかったことを話すと
社長から話があると言われ、圭介は和室に通される。
「実は若年性アルツハイマー病の事を書いた本を何冊か読んだが
何とかなると思っていた、自分たちが甘かった。これから圭さんが
どうなっちまうのか、俺らが圭さんに何をしてやれるのか?それとも
何もしてやれないのか?さっぱりわからん。」と言い
圭介はクビを覚悟して「はい」とだけ答える。
そして社長は「だからな、圭さん。とにかく一緒に
頑張っていこう」と続ける。
驚いて顔をあげた圭介に「圭さんたちがここに来て、もう8年か。
ともかく圭さんがどう思っているかは知らんが、俺らは勝手に
圭さんの親代わりだと思ってる。圭さんの事は息子。美雨ちゃんの事は
孫みてぇなもんだって。何をどうしていいのか、さっぱりわからんが
病気なんかに負けねぇで、今まで通りガッツリタッグを組んで
信頼関係を大事に頑張っていこうや」と言ってくれたのだった。
それを聞いた圭介の目から大粒の涙がこぼれ「社長、ありがとう
ございます」と頭を下げる。

その夜、圭介、美雨は社長一家と一緒に花火をしている。
美雨は圭介に「ねぇ、父ちゃん。来年には大島で花火したい。
来年には病気も治ってるよね?」と言う。見つめる社長一家。
圭介は一瞬、悲しげな顔になるが、すぐに「うん」と答える。
「父ちゃんの病気、いつ頃、治るの?」と尋ねる美雨。

*********************************

美雨ちゃんが当てた伊豆大島旅行、行かせてあげたかったですね。

でも、実はチケットを忘れたのが美雨ちゃんだった

というのは意外でした。

父ちゃんのファッションには笑っちゃいましたが

きっと、もうずっと自分の服なんて買ってないんでしょうね。

それよりも美雨に、かわいい服を買ってあげたいって。

そんな気持ちなんでしょうね。[黒ハート]

そして、病気のことを打ち明け、一時はクビも覚悟したのに

社長夫妻は、ちゃんと何冊も本を読んで病気のことを勉強した上で

「一緒に頑張って行こう」と言ってくれました。

小さいな工場で、決して経営も楽ではない中、親身になってくれ

これからも圭介と一緒にやっていこうと決意を固めた社長の

器の大きさを感じた回でした。

ビューティフルレインでは、病気が治るわけではないので

そういう意味では辛い展開ですが、病気がテーマの

ただ、つらい悲しい話ではありません。

美雨と父ちゃんの仲の良い親子ぶりや、周りの人たちの温かさを

感じて、日々を大切に生きて行こうと思えるドラマだと思います。

悲しい話と思って見ていない人にも、途中からでも見てもらいたいなと思い

記事を書いています。

写真は今回もフォトギャラリーより
beautifulrain5.jpg

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ビューティフルレイン 第四話 [豊川さん]

ビューティフルレイン 第四話

美雨の小学校の夏休みが始まった。
「夏休みになっても規則正しい生活を送るように」と美雨に言うと
美雨も圭介の生活について「病気を治すためにタバコを止め、早寝
早起きするように」と言うのだった。
圭介は「父ちゃんの病気の事は、アカネちゃんは少し知っているけど
他の皆には心配をかけるだけから内緒にするように」と話す。

ラジオ体操に出かけた美雨は小太郎君から4つ集めて願い事を
書いた紙に挟んでおくと、どんな願い事も叶うという
魔法の葉っぱ(四つ葉のクローバー)の事を聞いた。

洗濯物を干していた圭介はアカネに声をかけられ「この間
言いかけたことは何だったのか?」と尋ねるが、アカネは
それには答えず逆に「ちゃんと病院に行っているの?いつまでも
一人で抱え込んで内緒にはしておけない。これから
どうするつもりなの?」と尋ねるが、圭介は病院に行くから・・と
言って中に入ってしまう。

病院に出かけるから、遅くなったら社長の奥さんのところで
お昼を食べさせてもらうようにと美雨に話す圭介。美雨は
帽子を被り、ママちゃん(仏壇のママの遺影)に「行ってきます」と
言って菜子ちゃんのところへ出かけていく。

美雨を見送り、亡き妻妙子(石橋けい)の遺影に向かって「不思議だなぁ。
美雨は、妙子のことを知らないのに、だんだん
妙子に似てくる」と言い「約束は必ず守るから」と話す圭介。

中村産業では新しく入るプロコン(機械)の話で
盛り上がっている。
社長は「清水の舞台から飛び降りるつもりで買うんだから
大事に使ってくれよ」と話す。
アカネは母から取引先のスマイル工業に
お中元を届けるように頼まれて出かけていく。

美雨は菜子ちゃん(吉田里琴)のところへ行き、魔法の葉っぱのある場所を
知ってる?と尋ね、連れて行ってもらう。
一緒に探してあげたいが、友達と約束があるから・・・と言って
菜子は出かけて行き、一人残った美雨は、はりきって
魔法の葉っぱを探し始める。

病院に行った圭介は主治医の古賀(安田顕)に仕事の事を相談する。
古賀から、圭介の病気は、まだそれほど進行していないので
当面は今の仕事を続けることが可能だろうと聞いて
ホッとする圭介。だが、仕事を続けるためには職場の人の
理解と協力が必要だから、少なくとも経営者には病気のことを
伝えた方がいいとアドバイスされる。
この先、病気が進行することも考えられるが、正しい知識と情報を
共有してもらっておけば、事故やトラブルも未然に防げるかも
しれない。又、今実行しているメモを取ることは重要なことだが
アルツハイマーの患者は、そのメモをどこかに置き忘れてしまうことも
多いので、大切なこと(暗証番号や通帳や保険証券などの保管場所などの他
圭介だけが知っている大切なこと)は信頼出来る人に
伝えておいた方がいいと助言する。

美雨は四つ葉のクローバーを1つ見つけ
クローバー探しに夢中になっていると、アカネが通りかかる。
アカネに「どんな願いを叶えたいの?」と聞かれるが
「言ってしまうと、願いが叶わなくなるから言えないの」と
話す美雨。アカネは、それ以上は聞かず、一緒に
四つ葉のクローバーを探してくれた。

その頃、中村産業の社長のところへはアカネの夫、西脇拓哉から
電話があり今、出張で東京に来ていること、アカネは
まだ会ってくれないということ、でも自分は離婚する気はない
と言うことを話していた。
電話を切った社長はアカネの携帯に電話して、すぐに家に
帰って来るよう言う。

アカネは「帰らなければならなくなったから、一緒に帰ろう」と
言うが美雨は「あと2つ見付けたら、すぐに帰る」と言い
アカネは気になるが、お昼までには帰るように言って
美雨と別れる。

病院から帰って来た圭介は社長に病気のことを話そうとするが
そこにアカネが帰ってきて、社長に「すまんが又後にしてくれ」と
言われてしまう。
社長はアカネに「離婚するつもりで、この家に帰って来たのか?
仕事はどうしたんだ?」と核心をついたことを聞く。
3か月前に仕事は辞めたというアカネは「これからどうするか
一人でゆっくり考えてみようと思い帰って来た。今は
考えているところだ」と言い、部屋に戻ってしまう。

戻ってきた圭介は、「明日プロコンが来るんですよね?」と言われ
何のことかわからず、メモで確認する。

美雨は、又1つクローバーを見付けたところで
帽子を風に飛ばされてしまい、追いかけたところで
めまいを起こし倒れてしまう。

昼食にしようと中村産業の皆が集まったところ、美雨がまだ
帰っていないことに気付く。
美雨を探していた圭介は「離婚するにしてもしないにしても
もう少し考えたいから家には電話しないで」と拓哉に話す
アカネの電話を聞いてしまう。

一方、見回り中に倒れている美雨を発見した警官健太(君嶋麻耶)から
中村産業に電話がかかって来て、美雨は健太に連れ帰ってもらうが
熱中症のようで、頭を冷やして寝かされる。
一緒に運ばれた美雨のクローバーを持って、圭介のところに
行ったアカネは経緯を話すが、クローバーのことは言わず
美雨の事は自分が見ているからと言い、仕事に戻るように促す。
一人残ったアカネは、クローバーをそっと机の上に置き
図鑑に挟んであった、美雨の書いた願い事の紙をこっそり見た後
気が付いた美雨に優しく話しかける。

仕事に戻ると、明生に「そろそろ仕訳を始めますか?」と
言われ、又メモを見る圭介。

夕方、美雨の様子を見ると目を覚ました美雨。
「おかゆを作る」と言う圭介に「ママちゃんに作り方を
教えてもらったおかゆ?」と尋ねる美雨。
「そう。ママちゃんから教わった元気が出るおかゆだ」と
答える圭介。
美雨に「美雨って名前は誰が決めたの?」と聞かれ
圭介は「大切なことを伝えておく」よう勧められたことを思い
「美雨が生まれた8年前の7月11日にママちゃんと二人で
決めたんだ。父ちゃんとママちゃんは赤ちゃんが元気に生まれてきたことが
本当に嬉しかった。その時に急にザーッて大きな音が聞こえて来て
ママちゃんと二人で窓の外を見たら、お日様カンカン照りなのに
雨が降っていたんだ。こんなきれいな雨は初めて見た。
雨粒の一つ一つがキラキラ光ってて、まるで空から宝石が降ってくるみたい
だった。ママちゃん、そのキラキラをじっと見てて、それから
父ちゃんに言ったんだ。『美しい雨って書いて美雨は?』って。
すごくいい名前だって言って、決めたんだ。
ホントは、もっと大きくなってから教えようと思っていたんだけど。」
と言う圭介に美雨は「もっと教えて。」とせがみ、「それからママちゃん、急に
病気になっちゃったの?いつ死んじゃったの?」と聞くと
「美雨が生まれて2週間だった。あなたいろいろありがとう。私
あなたのお嫁さんになれて良かった。短い間だったけど美雨の
ママにもなれて良かった。私、とっても幸せだよ。ほんとに
ありがとうね。」と言った事を話し「ママちゃん、かわいそう」と涙ぐむ美雨に
「いいか。美雨。ママちゃんは最後まで美雨の事を
心配して美雨の幸せを願ってた。だから美雨はママちゃんの分まで
元気に生きて楽しいこと沢山やって、やりたいこと全部やって、絶対に
幸せにならないといけないんだぞ。ママちゃんは、いつも天国から
美雨の事、見てるんだからな。」と言い、美雨は頷くのだった。

中村産業に新しい機械(中古)が届いた。
「まだ十分使えるけど、冷却機能だけは弱っているから
動かす時は必ずこのタンクに油を入れて使って下さい。
そうしないと熱持って、ショートしちゃったら、この機械は
二度と使い物にならなくなっちゃいますから」と皆に話す圭介。

昼ご飯を食べながら美雨の宿題を見ている圭介は、間違っている
ところを見付けて「うっかりミスが多いぞ」と言う圭介に
「人間たまには間違うこともあるさ」と言って笑わせる美雨。
そこへ「なにやってるんだ!」と血相を変えた社長が
飛び込んできた。機械の油がなくなりそうになっていた。
謝る圭介に「いったいどうしちまったんだよ。打ち合わせ
すっぽかしそうになったり、今までしなかったような単純ミスを
したり・・・」と責める社長の様子を見た美雨は「社長さん
父ちゃんを怒らないで。父ちゃんは・・父ちゃんは・・・」と
病気のことを言いかけるが、内緒にするという
父ちゃんとの約束を思い出し「父ちゃんは・・・疲れているの。
だから許してあげて。美雨も一緒に謝るから。」と泣いて謝る美雨。
その姿を見たアカネは「圭さん」と一言だけ言って「大丈夫。誰も
圭さんを怒ったりしないから」と言って、美雨をそこから連れ出す。
圭介は再び謝り「何があったんだ?お金のこと以外なら何でも
相談に乗るから言って。」という社長と奥さんに、圭介は
ついに病名を打ち明ける。詳しいことは明日改めて説明する
と言って、話があるという美雨の元に急ぐ圭介。
「父ちゃん、ごめんね」と言う美雨に「何が?美雨は何も気にする
ことないんだぞ。父ちゃんが全部悪いんだ」と話す圭介。
すると美雨は「違うよ。美雨がいけないの。ほら。3つしかない
でしょ?」と四つ葉のクローバーを見せる美雨。「あと1つ
見つけてたら、父ちゃんの病気は、すぐ治ったんだよ。」と言う
美雨に「どういうことだ?」と尋ねる圭介。
「この紙に願い事を書いて魔法の葉っぱを4つ挟んでおいたら
どんな願い事でも叶うはずだったの。」と言って、願い事を
書いた紙を見せる。
紙には「とうちゃんのびょうきがはやくなおりますように。」と
書かれていた。
「だけど3つしか集められなかった。アカネちゃんにも手伝って
もらったのに、どうしてもあと1つ見付けられなかったの。美雨が
あと1つ見付けていたら、父ちゃんの病気は、すぐ治ったのに。」と
泣きながら「ごめんね。父ちゃん」と言う美雨に「美雨。もう
いいんだよ。父ちゃん、嬉しいよ。美雨の、その気持ちだけで
もう充分だ。あとはもう何も要らない。」と言って美雨を
抱きしめた。
「美雨も。父ちゃんが居れば、何にも要らない。」
「ダメな父ちゃんでごめんな。だけど、父ちゃん、頑張って
ママちゃんとの約束だけは守るから。父ちゃんな、最後にママちゃんに
言われたんだ。美雨の事、よろしくねって。何があっても一緒に
いてあげてね。約束だよって。」と明かした。
「ずっと一緒にいるって約束したの?」
「うん。ずっと一緒だ。だから父ちゃん、絶対頑張るからな。」
「うん。」

社長から「お前、圭さんが若年性アルツハイマー病だって知ってたのか?」
と尋ねられるアカネ。

「病気が治ったら、一緒にお墓参りに行こうね」と圭介に言う美雨。

**********************************

美雨ちゃんの願いは父ちゃんのことに違いないと思いましたが

やっぱりそうでした。

自分のことは何一つ言わず、父ちゃんの病気が治ることだけを考えて

魔法の葉っぱを探した美雨。

神様、美雨ちゃんの懸命な願いをどうか叶えてあげて!

誰もが思ったシーンでしたね。

亡くなった奥さんの妙子さん、写真だけでなく、回想で

初めて動く姿が見られました。

美雨ちゃんとの間では「ママちゃん」と呼んでいるんですね。

美雨ちゃんの名前の由来や、ママちゃんの事

伝えなくてはならない、圭さんだけが知る、大切なことを

美雨ちゃんに伝えました。

そして、とうとう社長夫妻に病気を打ち明けた圭さん。

これから仕事はどうなるのか?周りの理解は得られるのか?

気になる第四話でした。

今日の写真もフォトギャラリーより。
beautifulrain4.jpg
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